/乞食にもプライドはある。一方、有名作家でも、パクリばかりではうしろめたかろう。仕事で人は褒めてはくれない。しかし、それで世の中と関わっているのであれば、ただ自分自身の誇りとして、日々、ミスの無い、きちんとした仕事をやり遂げたいものだ。/

 海外の街にはいまでも数多くの乞食がいる。もちろん、飲み代を稼ぐだけという自堕落な即席乞食も多いが、昔ながらの伝統的な乞食には、こちらが威圧される。彼らには彼らのルールがある。まず、敷物はなし。石畳のうえに直接に座っている。顔は上げず、皿かコップを持ち、前に差し出したまま宙に浮かす。手やひじを地につけることはない。これで眠ってはいないことを示している。この姿勢で、まったく動かず、ただ無言で座っている。小銭を得ても、軽く頭を下げるだけ。彼らのその独特のプライドを前にすると、ただ忙しく動き回っている我々の方がなぜか気恥ずかしくなる。彼らは、見るからに老い、見るからに弱い。だが、彼らがいると、その通りは治安がよくなる。子供でさえ、小さなゴミを投げ捨てることもはばかられる。つねに彼らがつねにそこにじっと見ているのだ。

 一方、日本で本を読んでいると、あまりにもたびたび内外の書物からの盗作に出くわす。いや、盗作などという水準ではない。一章まるまるそのまま。それが、コンビニでまで売られている著名なベストセラー作家だったりする。マンガに人の作品からトレースした絵を使っているなどというのは、いまや珍しくもない。ましてそのプロットに関しては、さほど有名ではない古い小説や映画からのパクリが大量にある。編集者が不勉強、というより、話が作れないくせに人気だけある作家に教唆した主犯だったりする。ハリウッドで映画化、などと騒ぎながらボツになるのは、おうおうにこういう著作権絡みの話。


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