2010年10月末、アシストは市ヶ谷本社にアマチュア無線の社団局を開設する。アシストの本業は企業向けコンピュータ・ソフトの販売および技術支援。まさにハイテクの分野であるが、アマチュア無線はどちらかといえばローテク。モバイル通信機器全盛のこのハイテクの時代に、なぜIT企業がアマチュア無線を始めるのか。アシストのアマチュア無線プロジェクトのリーダー、今田一男がその理由を語る。

【アマチュア無線プロジェクト・リーダー】
株式会社アシスト システム基盤ソフトウェア事業部企画部 今田一男
― 1982年、アシストに入社。米国製会計パッケージ・ソフトウェアの日本語化と導入サポートに係わり、その後、システム管理ソフトウェア等各種パッケージのサポートと販売に携わる。東京、大阪、名古屋での勤務を経て、2009年より本社市ヶ谷勤務。小学生の時にアマチュア無線の存在を知り、電波に興味を持つ。アマチュア無線歴は昨年からの1年半、現在第1級アマチュア無線技士。

アシストに入社してから、社長、ビル・トッテンの考え方には、社員向けに出されるレターや著書、顧客向けの講演内容など常に目を向けてきたが、数年前から、視点が環境や社会に向けられるようになったと今田は感じていた。2006年に農業を社員に勧め始めたのも、石油文明がすでに変革期にあり、今から脱石油の時代に向けた生き方、企業経営をしていかなければならないという焦りのようなトップからのメッセージの1つであったと思う、と言う。

トッテンが経営者としていかに社員を大切にしているか、という点では、リストラはしないという以外に、もう1つのエピソードを思い出す。

平成15年、ある民間研究者が関東地方に大地震が来るという予測をした際に、トッテンはその研究者の出版した本や報告書を調べた上で、発生時期と予測した一週間、自社で行うセミナーなどをキャンセルし、また社員にも出社を禁じたのである。


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