/昔の先輩後輩の関係など、地方の中でしか通用しない。いま、地位や財力があっても、いずれ落ちる者と関われば、自分にも害しかない。十年の後に世の善であるか、悪であるか、よく吟味して人を量り、友人知人を厳選すべきだ。/

 地方の人々はおもしろい。会ってまず聞くのは、どこ高校の何年卒か、という話。高校の序列がきっちりとある。旧制が一番、明治時代からの私学が二番、そして、新制のその他が順に並ぶ。そして、卒業年度で先輩後輩が決まる。ああ、なんだ、XX高校か、となると、卒業年度に関わらず、旧制卒の方がとたんに態度が大きくなる。同じ高校だと、当然、先輩の方がいばる。そうか、おまえ、MMくんの下だね。

 学歴と言えば大学ではないのか、と思うのだが、大学は、みな同じ地元国立ばかり。差がつかないのだ。東京の大学へ出て行った者は別格だが、地元以外の地方旧帝大に進んだ者は、あいつはOO大に行かれなくて「都落ち」をしたんだ、などと言われる。

 相手が国会議員だろうと、県知事や市長だろうと、この調子。同じ高校の先輩となれば、おれがおまえを当選させてやったんだ、感謝しろよ、と、みな平然と人前に立って言う。政治家の方も、同じ高校の後輩である以上、永遠に頭が上がらない。そして、恩着せがましい正体不明の先輩たちが、行政の各種委員会の諮問委員に潜り込む。予算をチェックするはずの連中が、自分たちで予算を山分けにして、仕事を受注してしまう。


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