数年前にヘアメイクさんのYouTubeに出た時のもの
 橋田壽賀子脚本の人気長寿ドラマシリーズ『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)で10歳から12年間、“加津ちゃん”こと野々下加津役を演じていた宇野なおみさん(36歳)。かつて“天才子役”と呼ばれた宇野さんは現在、フリーライター、エッセイストとして活動中です。

 そんな宇野さんが30代女性として等身大の思い、ちょっとズッコケな日常をお届けするエッセイ連載。今回は「ギリギリの自分とキメキメの自分」について綴ります(以下、宇野さんによる寄稿)。

◆久しぶりの取材に、なかなかモードを切り替えられず

 ギリギリの日も、キメキメな日もあっていいじゃないの。人間だもの。なをみ。

 皆様ごきげんよう、ついこのあいだ梅雨明けと思ったらもう夏の気配ですね、低気圧にも暑さにも弱い、宇野なおみです。

 先日、久しぶりにインタビューを受ける側に回りました。文藝春秋社さんのオンラインメディアです。何かやらかしたわけではなく、子役時代から今までの話をお話しました。

 昔は取材のオファーが来ると無邪気に喜んでおりましたが、今回は胃が痛くて胃が痛くて。数日顔色が悪かったです。

 というのも、「表に出るモード」が全然出てこず、“布団古墳”モードから切り替えられなくて……。

 何の話かとお思いでしょうが、

・テレビに出たり、雑誌に出たりするとき
・部屋でひとりものを書くとき
・人と会うとき

 キメキメ人間からギリギリ人間まで、幅広い己がいる、というお話です。

◆プロに仕上げてもらうと違う

 ある時、X(旧Twitter)でこんなことをつぶやきました。

「ありがたいことにプロにヘアメイクしてもらう機会を経験しているので、わたしはわたしの最大値を知っていて、そこに辿り着いてると表に立つ仕事がしやすい、という話をね、いずれ、したくてな 今は普段メイクも髪の毛もわりと適当 めんどくさがりだから」

 プロにヘアメイクしてもらうと、もうまったく仕上がりが違うんですよね、当たり前ですが。で、お洋服も気合を入れるなり、用意してもらうなりでやる気を持って、人前に立つ。これが「最高の私」。ポイントはあくまで自分比です。

 きちんとした服を着て、美容院などに行き、おめかしをする。橋田賞のパーティーなどがこれにあたります。

 自分の好きな服を着て、メイクばっちりする。これは女友達とお出かけするとき。

 TPOに合わせた比較的控えめな服を着て、社会人メイクをする。これは取材(する側)の時の基本。

 さらに段階があり、めがね、パジャマルック、当然すっぴん、前髪クリップで留めまくった髪、布団にくるまって動かない「布団古墳」が誕生します。さすがに人前には出られません。でも、原稿は進むスタイルです、起き上がった場合は。

 ちなみに、コミュニケーション能力にも差が出ます。

 外に出るモードは例えば「俳優として」「インタビュアーとして」「接客業として」と出かけますが、ひとりで買い物するときは無表情です。

◆どれもわたしで、どれも慈しみたい

 このグラデーションのような自分の、どれが本当の自分かというと……これはもう、全部だと思います。わたしの中には、いろいろなわたしがいて、それら全部、わたしである。

 こう思うようになって、ずいぶん気が楽になりました。

 人前に出る、というのは覚悟も体力もいることです。以前エッセイに書いた、どれだけ自分に“はなまる”をつけてあげたって、賛否両論は聞こえてきます。

 ライターは「顔出ししてくれる人がまあまあ珍しい」と言われるんですけど、その理由が、最近はよくわかります……。

 YouTubeはさておき、インスタに載せているのは装飾済(※虚飾まではいかないと自分では思っています)の己です。