4日、来季からセリエAに復帰するユベントスがクラウディオ・ラニエリ新監督の就任会見を開いた。昇格へ導いた前監督デシャンの辞任後、新生ユベントスは今季後半パルマを奇跡的に残留させた手腕に賭けることになった。ライバル候補と見られていたジャンルカ・ビアリ(現イタリアSKY解説者)は、年俸300万ユーロの3年契約を要求し、ユーベに突っぱねられた。謙虚かつ老獪なラニエリは、法外な高額年俸よりもお抱えの専属スタッフ契約要求をクラブ側に認めさせることを選んだ。

「(監督就任は)困難だが、美しくしびれるような決断だった。クラブは5年でトップに返り咲くことを望んでいる。少しでもその期間を短縮できるよう努力するつもりだ」

 就任会見でこう語ったラニエリは、カリアリ、フィオレンティーナなどで指揮をとった後、イタリアの外へ出た。スペインではバレンシア、イングランドでチェルシー。それぞれのチームでカップ戦を勝ち、さまざまな経験を重ねた。だがこれまでリーグ優勝だけには縁がない。

「今回は種をまくだけでなく、収穫する立場でありたい。昨季サポーターはユベントスがBにいたことで苦しい思いをしたはずだ。だが今季はもっと苦しむことになるかもしれない。現在の最重要事項は、スクデットを獲ることではない。“イタリアの恋人”であること、我々ユベントスは何よりそれを取り戻さなくてはならないのだ」

 クラブ史を彩るかつての栄光はノスタルジーにすぎない、と断じたラニエリ。彼の新たな冒険の第一章はこうして幕を明けた。

弓削高志