“FIFAウィルス”の犠牲者となったフェルナンド・トーレス<br>【Photo by B.O.S.】

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 リーガも残すところあと2節となったこの時期、優勝争い、UEFAカップ出場権争い、降格争い、と各ポイントで大激戦を演じるリーガにあって、代表ウィークのためリーガが一時中断されることは、あらかじめ日程が決まっていたこととはいえ各クラブや監督にとって嬉しくない状況であることは確か。スペインでは“FIFAウィルス”と表現しているくらいだ。他国のリーグは日程を終了しているため、スペインが、特に各国代表に多くのメンバーを送り込んでいるレアル・マドリー、バルセロナ、セビージャの上位3チームがこの“FIFAウィルス”の影響をもろに受けている。

 優勝争いを演じる上位3チーム、首位レアル・マドリーからはカシージャス、セルヒオ・ラモス(スペイン)、ベッカム(イングランド)、ロビーニョ、マルセロ(ブラジル)、ディアラ(マリ)、ガゴ(アルゼンチン)、カンナバーロ(イタリア)、トーレス(U-21スペイン)の9選手。

 2位バルセロナからはプジョール、チャビ、イニエスタ(スペイン)、テュラム(フランス)、グジョンセン(アイスランド)、エトー(カメルーン)、デコ(ポルトガル)、ジオ(オランダ)、ロナウジーニョ、エジミウソン(ブラジル)、メッシ、サビオラ(アルゼンチン)、ザンブロッタ(イタリア)とリーガのチーム最多、13選手が各国代表に招集されている。

 3位のセビージャも負けていない。ハビ・ナバーロ(スペイン)、カヌーテ(マリ)、ドゥダ(ポルトガル)、エスクデ(フランス)、ケルジャコフ(ロシア)、ドラグティノビッチ(セルビア)、ポールセン(デンマーク)、アウベス(ブラジル)、アルファロ(U-21スペイン)、とレアル・マドリー同様9選手を8カ国へと送り込む多国籍ぶりを見せている。

 そして、UEFAカップ出場権を争うアトレティコ・マドリーに早くも“FIFAウィルス”の犠牲者でた。キャプテン、フェルナンド・トーレスがスペイン代表練習初日にセルヒオ・ラモスの激しいタックルを受け、足首に重度2の捻挫を負い、全治2〜3週間。代表から離脱となった上にリーガ次節のセルタ戦への出場も厳しい状況だ。アトレティコ・マドリーは、スペイン対アルゼンチンの親善試合(06年10月11日)でもマキシ・ロドリゲスが左膝前十字靭帯断裂という重症を負い、約半年間同選手を失うことになったなど、同シーズンで2人目の“FIFAウィルス”の犠牲者を出すことになってしまった。アトレティコ・マドリーからは離脱したフェルナンド・トーレスの他に、アントニオ・ロペス(スペイン)、レオ・フランコ(アルゼンチン)、セイタリディス(ギリシャ)、ペレア(コロンビア)、ペトロフ(ブルガリア)、フラード(U-21スペイン)を送り込んでいる。

 レアル・マドリー、バルセロナ、セビージャの次節の相手を見てみると、サラゴサはアイマール、カビ・ミリート、ディエゴ・ミリート兄弟(アルゼンチン)、ピケ(U-21スペイン)、ディオゴ(ウルグアイ)と5選手となっているが、ディオゴは出場停止処分と契約上の理由からいずれにしても欠場するので4選手、エスパニョールはカメニ(カメルーン)、モハ(モロッコ)、マルク・トレホン(U-21スペイン)の3選手、そしてマジョルカはバシナス(ギリシャ)、ヤンコビッチ(セルビア)、アランゴ(ベネズエラ)、ホナス・グティエレス(アルゼンチン)の4選手となっている。

 ヨーロッパの大半の国は、ユーロ2008予選で6月2日と6日に1試合もしくは2試合が組まれており、気の抜けない試合をこなす上、ハードスケジュールを強いられることになる。そして、リーガ次節の日程が変更になり、レアル・マドリー対サラゴサ、バルセロナ対エスパニョール、マジョルカ対セビージャ戦は、9日(土)夜9時同時開催となった。つまり選手が揃っての練習は実質2日間しかないということになる。監督としては選手達のコンディションが気になるところであり、“FIFAウィルス”の犠牲とならず、ケガをせずに戻ってきてくれることを祈るばかりの1週間となるだろう。

(スペイン通信)