ユベントスのセリエA復帰という公約を果たしながら、監督辞任を決めたディディエ・デシャン氏が27日、フランスのラジオ番組「RMCアンフォ」にその理由と現在の心境を語った。

 デシャン氏は、自分が辞任せざるを得なかった原因をユベントスというクラブの特殊な「仕組み」にあると説明した。「あとは監督がそれに合わせるか、合わせないかだ。私がすべてを決定したいと思ったわけではない。問題の本質はそこではなく、物事の全体にあった。(…)どこでも大抵そうだが、ぞれぞれのクラブには特殊な状況や事情というものがある。今シーズン、さまざまな困難に出会ったのは確かだが、今からそれをどうやってうまく組織できるかを考えた。そのためには、落ち着いた環境が必要。状況を分析した結果、(クラブを去るという)自分にとっていちばんよい決定をとった」と語り、具体的な事情の説明は避けた。来シーズン、セリエAで戦う上で必要と思って出した要求を、クラブ側が聞き入れなかった、という経緯が推測できる。

 クラブの特殊な「仕組み」の中で「困難」なシーズンを送りつつも、セリエB優勝という最高の結果をもたらしたのは、「選手とスタッフのおかげ」と振り返る。来シーズン、セリエAでユベントスを指揮できないことに、「落胆」してはいるが、1年で再昇格を果たしたことには「満足と誇り」を感じている。

 今後については、「今日からは自由の身。来シーズンもどこかのクラブで監督を務めたい。これから数日あるい数週間、オファーがあれば検討する」と語るデシャン氏。この1年間で監督しての名声を高めただけに、オファーはすぐに殺到すると見られている。「とくにどのクラブ、という好みはないが、高いレベルのクラブがいい」と語るデシャン氏だが、候補としてメディアが挙げているのは、ウリエ監督が辞任したばかりのリヨンに加え、マルセイユ、チェルシー、アーセナルなど。ただしデシャン氏は、「監督の座が空席になっていないクラブとの交渉はしたくない」と語っている。