食事の時間が不規則な人ほどうつ病の症状が現れやすいことが判明

うつ病は世界中で数億人が罹患(りかん)しているとされる精神疾患であり、近年は運動や日々の食習慣といった生活要因が、うつ病の症状緩和や治療に役立つ可能性が注目されています。韓国の研究チームが行った新たな研究では、食事の時間が不規則な人ほどうつ病の症状が現れる可能性が高いことがわかりました。
Irregular meal frequency and depressive symptoms: Moderating roles of dietary diversity and breakfast skipping - ScienceDirect
Skipping meals and irregular eating habits linked to depression symptoms
https://www.psypost.org/skipping-meals-and-irregular-eating-habits-linked-to-depression-symptoms/
食事の時間が不規則になると、睡眠パターンやホルモン分泌などに関連する概日リズムが乱れる可能性があります。また、脳と密接に信号を送り合っている腸内に生息する細菌の構成を変化させ、情報伝達ネットワークに悪影響が及ぶ可能性があるとのこと。
しかし、これまでの食事とメンタルヘルスに関する研究の多くは特定の食品に注目したものであり、食事の時間帯を具体的に調べた研究は限られています。そこで、韓国のソウル聖母病院ストレスクリニックの研究員であるヘジン・テ氏らの研究チームは、2014年〜2022年にかけて実施された韓国国民健康栄養調査に参加した2万1568人の成人のデータを分析しました。
調査では対面式の面接や身体検査、栄養評価などを通じてさまざまな情報が収集されたほか、血圧および体重測定、採血なども行われました。被験者は訓練を受けた栄養士との面談で24時間以内に食べたものすべてを詳細に報告し、過去1年間の食事パターンについても回答しました。被験者が朝食・昼食・夕食のうち、どれかを1週間に5回未満しか食べていない場合、食事パターンが不規則だと判定されたとのこと。また、調査では栄養摂取の幅広さを測定するために、穀物・野菜・果物・肉・豆類およびナッツ類・乳製品からどれほどの食品を摂取しているかが追跡されました。
被験者のメンタルヘルスは、うつ病の症状に関する9つの質問を含む標準的な臨床ツールを用いて評価されました。さらに研究チームは、年齢・性別・収入・学歴・婚姻状況・喫煙習慣・飲酒量・筋力トレーニングのレベル・肥満・高血糖なども考慮に入れて分析を行っています。

分析の結果、食事のスケジュールが不規則な人は食事の時間帯が規則的な人と比べ、うつ病の症状が現れる確率が1.55倍も高いことがわかりました。この関連性は食事の不規則性の度合いにかかわらず一貫しており、食事のスケジュールが不規則であればあるほど、メンタルヘルスが悪い可能性が高かったと報告されています。
さらに、食事の多様性が大きい被験者は、不規則な食事スケジュールとうつ病の症状との関連性が弱まることも判明しました。この結果については、多様性のある食事によってビタミンや抗炎症栄養素を定期的に補給できていることや、健康な腸内細菌叢(そう)を維持できていること、食事以外でも健康面に気を遣っている可能性が高いことなどが影響していると考えられます。
一方、習慣的に朝食を抜いている被験者は、不規則な食事スケジュールとうつ病の症状との関連性が高かったとのこと。朝食を抜くと消化代謝が遅れ、1日を通して血糖値が不安定になり、感情や認知処理に関連するホルモン分泌が阻害される可能性があるとのことです。さらに、多様な人口統計学的グループ間でのパターンを調べたところ、男性・喫煙者・夜9時以降に食事をする習慣のある人では、不規則な食事とうつ病の症状との関連性がやや強いこともわかりました。

今回の研究はある一時点での関連性を調べたものであるため、食事を抜くことがうつ病を引き起こすことが証明されたわけではありません。むしろその反対で、「うつ病のせいで食欲不振や意欲の著しい低下を経験し、結果的に食事を抜いたり、簡単なもので食事を済ませたりする可能性が高まる」というパターンも考えられます。
心理学系メディアのPsyPostは、「今後のプロジェクトでは、不規則な食生活が精神状態の低下に先行するかどうかを確認するため、ボランティアを長期間追跡調査する必要があるでしょう」と述べました。
