(C)日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会

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昨年末の『NHK紅白歌合戦』に初出場して注目を集めた3人組バンドのOmoinotakeが、TVアニメ『薬屋のひとりごと』第2期第2クールエンディングテーマ「ひとりごと」を担当、5月21日に同曲のCDをリリースした。最愛の人の本音に気づけなかった悲哀と、日常に存在した会話が「ひとりごと」になってしまった喪失感を歌った、このエモーショナルなバラードナンバーはどのようにして生まれたのか。楽曲に込められた思いやギミックについて話を聞いた。

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――もともと『薬屋のひとりごと』は読んでいたのですか?

冨田洋之進(Dr):僕とエモアキ(福島)は、今回のお話をいただく前からマンガを読んでいました。マンガアプリのオススメに出てきて、それで気になって読み始めたら面白くて、気づいたらハマっていました。伏線がすごくたくさん張られていて、それが繫がったときにスッキリする感じがあったり、ハッとさせられたり、そういうところに引き込まれました。

福島智朗(Ba):作品の舞台となっている世界やそこで起きる事件、人間ドラマが、今まで無かったなと思いました。また、猫猫の知識の豊富さもすごくて、トリックも自分たちに身近なもので作られているので「これってアレなんじゃないか?」と思えたり、「やっぱりアレだ」と気づいたときの爽快さもあると思いました。

藤井怜央(Vo/Key):僕はお話をいただいてから読んだのですが、舞台設定も手伝って落ち着いた雰囲気がありますが、その落ち着いた雰囲気だからこそ、心の機微に気づくことができる。そういう雰囲気が、僕としてはすごく好きだなと感じながら読ませていただきました。

――ちょっとした謎解きのようなお話の連続から、クライマックスはすごく大きな話になって。

福島:構成がすごく考えられていて。1話完結で話が終わっているようでいて、実は繫がっている。それに作品全体を通して描かれるテーマが、どの時代でも変わらないものなので、人間ドラマとして普遍性のある作品だなと思いました。単純にミステリー作品ということだけじゃなく、そこに人間ドラマも描かれているからこそ、こんなにも面白いのだろうと思います。

――皆さんが制作したエンディングテーマ「ひとりごと」は、どのようなイメージで制作しましたか?

藤井:この曲はメロディーを先に作ったのですが、アニメ制作サイドから曲はバラードでというオファーがあり、Omoinotakeが『薬屋のひとりごと』を見て感じたものをそのまま曲にして欲しいと言っていただきました。作曲はピアノを弾きながら、Aメロから順にBメロ、サビという順でできていきました。そのときはまだ歌詞は無かったのですが、クライマックスのグッときたシーンがあったので、そのエモーショナルさを曲に落とし込みたいなと思い、曲を作っていきました。

――『薬屋のひとりごと』を表現する上で、楽曲で工夫したことは?

藤井:アニメ制作サイドからのオファーで「二面性」というものもあって、その二面性を曲調で表すにはどうしたらいいか考えました。曲には調というものがあるのですが、長調(メジャー)と短調(マイナー)の転調を、さりげなく繰り返すことで、キャラクターの二面性を表現しました。

――作詞については、どんなことをイメージしましたか?

福島:クライマックスのすごく大事なストーリーの後に流れる曲として、どういうものがいいかすごく悩みました。人の裏側に気づけなかった自分の後悔みたいなもの、これまでの会話がひとりごとになってしまった描写がとても印象的で、その二つを軸に歌詞を組み上げていきました。ただ文字数がそれほど多くないので、本当に必要な情報は何か取捨選択することが難しかったです。少ない言葉で聴いた人に絵を浮かばせるには、どの言葉がいいのかと。

――喪失感がリアルなバラードですが、誰から誰に向けて歌っているイメージですか?

福島:いろいろな関係性の歌になってほしいという間口の広さもありつつ、やはり猫猫が子翠に対して思うことが基本的なテーマになっています。

藤井:すごく素敵な歌詞で、〈花〉とか〈虫〉といった子翠を表す言葉の入れ方が、すごくいいなと思いました。

冨田:歌詞はめちゃくちゃ作品に寄り添っているなと思ったし、そのなかにエモアキ自身の実体験も交えている部分があると思うので、寂しさや切なさがすごくリアルに伝わって来る歌詞だと思いました。

福島:今の僕らの世界で聴いても、『薬屋のひとりごと』の世界で聴いても、どちらでも共感してもらえるように意識しています。『薬屋のひとりごと』の世界から一旦離れ、この曲を単体で聴いたとしても「いい曲だな」と思ってもらえるものにしたくて。そのためには実体験も踏まえた上でリアルでなければ、そういう曲にはならないと思いました。

――歌声としては悲しみも感じつつ、寂しく思っている人を包み込んでくれるような温かさも感じました。

藤井:声や歌い方がそういう印象を持たれるものになったのは、1番のAメロの歌詞によるところが大きいと思います。曲の調で言うとAメロは長調でBメロは短調になっているのですが、Aメロの歌詞の言葉と長調から来る温かさで始まるので、それが全体を印象づけているのだと思います。

(C)日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会

■体が動いて結果的に心も動いて涙が出る。そんな体験をして欲しい

――Omoinotakeは、『ブルーピリオド』『ホリミヤ -piece-』『僕のヒーローアカデミア』第7期といったアニメ作品のタイアップもあれば、ドラマ『Eye Love You』主題歌「幾億光年」などの実写作品のタイアップも手がけています。アニメと実写のドラマや映画のタイアップで何か違いはありますか?

福島:作詞は、アニメのほうはより原作に寄り添って、実写の映画やドラマの場合は、アニメよりも受け取られ方が広くなるような言葉で書いています。アニメは、普段の楽曲ではほとんど使わないような言葉を使える場で、今回の「ひとりごと」では〈虫〉や〈万能薬〉という言葉を使っています。『僕のヒーローアカデミア』第7期エンディングテーマ「蕾」では〈オリジン〉という、アニメに出て来る言葉を使ったりしています。アニメのタイアップ曲は、単純にそのアニメや原作のファンの人と一緒に、どっぷりとその作品に入り込めるようにしたいと思っていて、自分もその作品のいちファンになって書いています。

藤井:作曲においては、アニメなら前クールのアニメを見たり、原作を読んで書くのですが、実写のドラマや映画は、俳優さんが演じている映像は無い状態で、台本を読んで作曲することが多くて。キャラクターの表情の絵や映像があるとか、台本を読んでその先の情報がたくさんあったほうが、作りやすいかもしれませんね。どちらが良いとか悪いとかの話ではなく、マンガやアニメのほうが感情移入しやすい気はします。

――『薬屋』や『ヒロアカ』のように、前クールがあるアニメ作品を見るときは、どんなことを意識しながら見るのですか?

藤井:作品全体の空気感を感じ取るよう意識します。その日の放送が終わってエンディングに自分たちの楽曲が流れたとき、空気感が違うものにはしたくないので。作品に通底している空気感が何なのか、それを自分の体に落とし込むようにして見ている気はします。例えば『ヒロアカ』は『薬屋』とは全然違う世界観で、そこにはそこに感じられる空気感があるので、その作品ごとの空気感を感じ取るようにしています。

――アニメの作品に携わったことでファン層が広がった実感はありますか?

福島:去年初めて台湾と韓国でライブをやらせていただいたのですが、アニメきっかけの方がすごく多いことを実感しました。みんな日本語で大合唱してくれて。

冨田:海外は、感情の伝え方が日本とは違ってダイレクトで驚きました。嬉しさや楽しさがフルMAXで伝わって来ました。

藤井:レスポンスを熱くもらえるんです。

――9月からは「Omoinotake ONE MAN TOUR 2025」が始まります。
――意気込みは?

藤井 : 春のツアーを経て、そしていろいろなミュージシャンのライブを観て、改めて自分達ならどういうライブができるのか、したいのかを考える時間を過ごしてます。どんなライブを作り上げられるか、今からワクワクしています。

福島 : 今回の『薬屋のひとりごと』をきっかけに出会えたファンの方もいらっしゃると思いますので、Omoinotakeには良い曲がいっぱいあるんだなと、改めて思って頂けるようなツアーにしたいです!

冨田 : 春のツアーや夏フェスを経てパワーアップした我々を楽しみにして欲しいです!

――どのようなツアーになりそうでしょうか?

藤井 : 春のツアーで培った、サポートメンバー含む5人のグルーヴにさらに磨きがかかったツアーになると思います!
その先に待ち構える来年3/15の武道館公演ではさらにホーン隊、ストリングスを加え、よりゴージャスにお届けできる記念すべき初武道館公演にしようと思っています!

――そうした皆さんのライブや楽曲から何を感じて欲しいですか?

藤井:ずっと踊れて泣ける曲を作りたいと思って、これまで活動して来ています。実際にライブ会場で、踊って泣くことが一番のデトックスになると思って。体が動いて、結果的に心も動いて涙が出る……。そんな一生に残る体験をしに、ぜひいらしてください!