14戦5得点「まさに最強」 加入半年で救世主、代表OBが驚き「助っ人外国人以上」【見解】
【専門家の目|太田宏介】山形で得点を量産、プレーオフ出場に貢献した土居聖真の才能とは
2024年7月25日、MF土居聖真はJ1の鹿島アントラーズから、J2のモンテディオ山形へ完全移籍した。
鹿島を離れる際、約20年を過ごしたクラブへの深い愛着を語っていた土居だが、山形に移籍し大活躍を見せた。背番号を鹿島時代の「8」から「88」に変えたアタッカーは、14試合出場5得点という数字を残して、チームのプレーオフ進出の立役者となっている。元日本代表DF太田宏介氏も、その躍動ぶりに驚きを隠さなかった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)
◇ ◇ ◇
現役時代に対戦経験のある元日本代表DF太田宏介氏は、土居について「フィジカル的に凄いとか、そういうタイプではないのですが、本当に間で受けるのが上手いです。僕はサイドバックでしたが、DFラインとMFの間のスポットに入ってくる。捕まえたくても、捕まえきれないポジショニングの上手さがあって、スルスルと裏へ抜けていってゴールも決めることができます。本当に捕まえにくい印象ですね」と対戦時に感じたプレーの特徴に言及する。
「決して大きい選手ではないですし、身体も細い。でも寄せに行ってもクルッと反転されたり、かわされてしまいます。勝負どころにも強いですし、貴重なゲームで決勝点を取ったり、勝負強さも抜けていますよね。プレーに余裕を感じます。乾貴士選手みたいに、常に程よく力が抜けている。姿勢も良い。周りも使いながら自分で得点も取れる存在ですね」と、2018年のロシアワールドカップ(W杯)でもゴールを決めるなど、活躍を見せた元日本代表アタッカーの名前を出し、その能力の高さを称賛した。
さらに「何より鹿島があれだけ監督がたくさん変わってきたなかで、継続的に出場してきた選手ですから…。あの鹿島というクラブの強烈な攻撃陣のなかで、あれだけの実績を誇っていたというのはそれだけでも凄いと思います」と、“常勝軍団”鹿島で残した実績の重みを強調した。
シーズン途中に移籍したクラブで結果を出すことは、決して簡単なことではない。新しいチームメイトの特徴を掴めず、救世主として期待された助っ人が結果を出せずに終わることは珍しくない。それでも土居はチームに勝利をもたらし続けた。先に挙げた個人の成績も素晴らしいものだが特筆すべきは、土居加入後のチームの成績だ。加入直後の第25節ファジアーノ岡山戦(1-1)、第29節の横浜FC戦(1-2)。この2試合以外の12試合に勝利している。今季4位に入った山形の成績は20勝6分け12敗。土居の加入前は8勝5分11敗、加入後は12勝1分1敗という驚異の回復ぶりを見せている。
「土居の加入まで苦しんでいた山形があそこまで復活して、順位を浮上させました。そのなかで彼の力って本当に凄いと思います。順応力というか、試合を見ていても本当にチームメイト、特に若手から慕われている感じも伝わってきます。距離感もすごく良い」
太田氏は「何よりあれだけの実績を誇っている選手が加入後、チームの成績を上げて個人も点を取るし、アシストもする。土居聖真選手、恐るべしですね」とチームに与えた影響が非常に大きい部分に驚いていた。
「これでプレーオフも勝って昇格したらもう伝説じゃないですか? 助っ人外国人を大金払って呼ぶよりもそれ以上の活躍を示していると思います。出場試合数が足りなくてJ2ベスト11には入らないかもですが、それ並みのレベルの活躍ですよね。まさに『J2最強助っ人・土居聖真』っていう感じですね」
太田氏は山形の救世主となった土居を絶賛。32歳のストライカーはすでに多くの人が賛同するような活躍を見せているが、J1昇格プレーオフでの結果次第では、本当に伝説となるかもしれない。(FOOTBALL ZONE編集部)