「バイナリーオプション」で大損こいたエリート証券社員の「凶行」…かつてのガリバー・野村證券はなぜここまで劣化したのか
本人は放火を否定
かつて証券業界のガリバーと呼ばれた野村證券に異変が起こっている。
10月31日には国債の先物取引における相場操縦で、2176万円の課徴金を納入。その前日には同社の元社員が広島県警に逮捕された。
「広島支店の営業職だった梶原優星容疑者(29歳)が、7月28日に広島市西区の資産家宅に放火し、強盗殺人を企てた疑いです。80代の夫婦に睡眠薬を飲ませて朦朧とさせたうえ、住宅に火をつけて現金およそ2600万円が入ったボストンバッグを奪ったと見られます。夫婦は家が燃えていることに気がついて逃げ出し、無事でした。本人は放火を否定しています」(全国紙社会部記者)
梶原容疑者は法政大学を卒業後、野村證券に就職。エリート証券マンはなぜ杜撰な蛮行に手を染めたのか。
「梶原容疑者は老夫婦を担当しており、自宅に多額の現金があることを知っていた。梶原容疑者は業務外で他人の投資を代行するなかで多額の借金を抱えており、損失を取り戻すべく、奪ったカネを『バイナリーオプション』につぎ込んでいたとされます」(同前)
「バイナリーオプション」のワナ
バイナリーオプションとは何か。
「簡単にいえば相場が上がるか下がるか、どちらかに賭ける丁半博打のようなもの。極めて投機性が高く、負ければ損失が雪だるま式に膨らむ可能性もあります」(大手証券会社社員)
高給取りだった梶原容疑者が犯行に及んだ背景を、さるベテラン証券マンが推測する。
「野村證券に限らず、金融機関に勤める若手社員は、アベノミクス以降の右肩上がりの相場しか知らず、投資で簡単に儲けられると過信している傾向があります。
かつての野村證券は、客に損をさせてでも支店のノルマを達成させる、めちゃくちゃな営業方針でしたが、近年はそこまで過剰なノルマもないと聞きます。そして自分で投資に失敗して、それをまた相場で取り返そうと客のカネを奪うような社員が生まれてしまった。劣化も著しいですね」
証券マンを自宅に上げることにも気をつけたほうがよさそうだ。
「週刊現代」2024年11月16日・11月23日合併号より