《首都圏で多発する強盗事件》「闇バイト」夫婦が地元で見せていた「仲睦まじさ」と、2児への「子煩悩ぶり」
首都圏を中心に首都圏で強盗事件が相次いでいる。警察庁によると今年8月以降、一都三県で発生した主な強盗事件は18件。「実行役」「見張り役」など、事件に関与した10代から40代までの40人がこれまでに逮捕されている。中には「夫婦」で闇バイトに応募したケースも――。そんな2人の暮らしぶりについて報じる。
闇バイトを持ち掛けたのは夫だった
「一連の事件はいわゆる『闇バイト』によるものとみられています。主に金銭的に困った人たちがSNSなどで応募する。そして秘匿性の高い通信用アプリを介してやり取りをし、犯行を指示され、実行する。
その報酬は1回につき数万円とみられています。逮捕されたほとんどは実際に強盗をした『実行役』や『見張り役』でした。ですが、実行役を集める『リクルーター役』の男も今回、初めて逮捕されました」(全国紙社会部記者)
加害者たちのほとんどは20代。住まいも首都圏に限らず、さまざまな地域から応募していた。
そして世間を驚かせたのは「夫婦で闇バイト」に応募していたケースだ。
神奈川県警は横浜市の強盗殺人事件の現金回収役だった木本未穂容疑者(30歳)を11月2日、逮捕した。
「10月15日に横浜市青葉区の後藤寛治さん(当時75歳)宅に3人の男が侵入、身体を拘束したうえ、暴行して殺害。現金約20万円を奪って逃走しました。後日、実行役の寳田真月被告(22歳)らが逮捕・起訴されています。未穂容疑者はこの時に強取した現金を回収する役だった」(前出の全国紙社会部記者、以下「」も)
未穂容疑者は「現金を回収したことは認めているが、強盗したことは否定する」といった旨の供述をしており、容疑の一部を否認している。
未穂容疑者に事件への関与を持ち掛けたのは、夫だった。
育児に協力的だった夫
「警察の調べに対し、未穂容疑者は『夫から何度もお願いされて引き受けてしまった』と供述しています。夫の康寛容疑者(31歳)はオレオレ詐欺に関与した疑いで10月19日に北海道警察に逮捕されました。11月7日にも詐欺容疑で再逮捕されています」
最初の逮捕は青葉区の事件が起きた4日後のことだ。康寛容疑者は一連の強盗事件とも関わっていたとみられており、さらなる捜査が続けられている。
なぜ夫婦は「闇バイト」に堕ちてしまったのだろうか――。
夫婦が東京・足立区の約築60年の戸建て住宅に引っ越してきたのは、少なくとも2年ほど前のことだという。
「白い乗用車に荷物を積んで、どこかからかやってきて、自分たちで引っ越しをしていました。引っ越しの挨拶に来るわけでもなく、深い近所づきあいをしているわけでもない。この辺の近所の住民とは顔を合わせれば挨拶する程度の付き合いでした。未穂さんはおとなしくて、どちらかというと暗い印象。反対に旦那さんは関西弁で明るい雰囲気の人でした」(近隣に住む女性)
夫婦の間には、就学前の子どもが2人いた。
「一人は引っ越してきた前後に生まれたと思います。朝、旦那さんが子ども2人を連れて保育園か幼稚園の送り迎えをしている様子を見かけていました。遊びにも付き合っていたので、育児に協力的な子煩悩なご主人に見えました。ただ、ずっと家にいるようで…。なんの仕事をしているのだろう、と思っていました」(前出の近隣に住む女性)
夫婦仲は良好だったが…
首元が伸びたシャツを着て、フラフラと出歩く康寛容疑者の姿を複数の住民が目撃している。一方で、未穂容疑者はいつも地味目な服装でうつむき加減で歩いていたという。
前出の近隣女性によると、未穂容疑者は康寛容疑者に比べ、近所で見かけることはほとんどなかったと明かす。
だが、そんな夫婦仲は「良好な様子だった」と別の近隣女性が明かす。
「買い物なのか、デートなのかわかりませんが、2人で車に乗ってよく出かけていました。喧嘩する声もご近所の人は聴いたことはありませんし、仲良さそうなご夫婦でしたよ」
この女性によると、夫婦の自宅は、住人の入れ替わりが多い物件だったという。
「木本夫妻がどのような経緯であの家に引っ越してきたのかはわかりませんが、これまでも引っ越してきては短期間で引っ越していく、そんな入れ替わりが激しい家でした。相場に比べると安いかもしれませんが、家賃だってそれなりの金額を支払っていたはずです」(前出の女性)
近隣に駐車場も借りていて、子どもたちの保育園代などもかかっている。そうした費用を合わせると月々、相当の出費があったとしても不思議ではない。
「近隣住民によると、2人が就労している様子は見られなかったそうです。もちろん、在宅で働いていた可能性はありますが、夫婦で闇バイトをするくらいですから、生活に困っていたのかもしれません」(前出の全国紙社会部記者)
子どもたちの生育や将来にも関わる問題だが
だが、2人には幼い子どもがいる。逮捕されれば子どもたちと引き離されることはわかっていたはずだし、子どもたちの生育や将来にも関わる重大問題だ。
夫婦で犯罪するほどに生活は困窮し、追い詰められていた。もしくは、子どものことまで考えないほどの短絡的な考えで闇バイトに及んだのだろうか――。
「今、2人の子どもがどこにいるかもわかっていません。上の子は分別が付く年ごろ。突然、両親と離されてどういう思いを抱いているのか」(前出の全国紙社会部記者)
誰もいなくなった木本家のカーテンもついていない窓からは、真っ暗な室内で電化製品の緑色のランプだけが点滅していた。
※「現代ビジネス」「週刊現代」では、みなさまからの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまで情報をお寄せ下さい。
情報提供フォーム:https://tips.weeklygendai.com/
「あなたは詐欺事件の加害者です」…いきなり“警視庁”から64歳男性にかかってきた「驚きの電話」と、“鹿児島県警”から送られてきた逮捕状の「ヤバすぎる中身」