トヨタ自動車・小畑尋規が値千金の同点タイムリー 代打の切り札が3年連続の2大大会優勝誓う
◇第49回社会人野球日本選手権準決勝 トヨタ自動車4―2JFE西日本(2024年11月8日 京セラD)
トヨタ自動車が接戦を制し、2年ぶりの決勝進出を果たした。試合の流れを引き寄せたのは1点を追う5回。2死一、二塁の好機が訪れると、代打・小畑尋規が告げられた。
「今まで練習してきたスイングをすることだけ考えて打席に入りました」
カウント1―2と追い込まれたが、焦りはなかった。「(ストライクは)2球とも良いボールだったので」。4球目以降も際どいコースを投げ込まれたが、鍛え抜かれた選球眼とファウルで逃げる技術を駆使。フルカウントまで持ち込むと、最後は8球目の148キロ直球を左前へ運んだ。二塁から徳本健太朗が生還する同点タイムリー。今大会4試合目で初めて先制を許し、嫌な流れが漂う中での貴重な一打に、藤原航平監督は「相手投手が良い中で小畑が打ってくれた。期待している中で粘りながら安打にしてくれたことがチームとして大きかった」と称賛した。
捕手としての思いが込められた一打でもあった。先発はチームの絶対的エースである嘉陽宗一郎。22年日本選手権、23年都市対抗の優勝に導いた右腕が、この日は4回までに2点を失っていた。
「嘉陽の調子は良くなかったと思う。でも、今まで野手はおんぶにだっこだったし、今日は打線がカバーしてあげないと嘉陽も報われない。だからこそ、あそこで同点打を打てたのはチームとしてもデカかったと思います」
立正大から入社して今季が7年目。代打の切り札としてチームを支える中、今大会は2回戦のNTT東日本戦と合わせ2打数2安打だ。小畑は9日に行われるHondaとの決勝戦を前に力を込める。
「トヨタとして3年連続の日本一がかかっている。逢沢(崚介)がキャプテンになって初めての2大大会。何としても優勝で飾ってあげたい」
試合出場の機会に恵まれないことがあっても、自らの役割に徹し、さまざまな形で貢献してきた背番号27。チームの勝利を願う熱い気持ちで、大一番でも快音を響かせる。