女優として活躍の場を広げる倉沢杏奈(撮影・西岡正)

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 女優の倉沢杏菜(19)がNHK大河ドラマ「光る君へ」(総合、日曜、後8・00)で三条天皇の妃・藤原妍子(きよこ)を演じ、異彩を放っている。奔放な言動の陰に孤独を秘めた“平安のパリピ姫”として物語を立体化。1月から途切れなく連ドラ3作に出演し、初の大河で躍動する新星を直撃した。

 平安のパリピ姫が暴れている。藤原道長(柄本佑)と嫡妻・倫子(黒木華)の次女・妍子は、政治的な思惑から入内。初登場から、率直な物言いと、とがめられてのプンプン顔が話題を呼び、三条天皇の妃ながら第一皇子に色目を使う火遊び描写など、視聴者をハラハラさせる存在だ。

 史実でも派手好きだったとされ、衣装合わせの際、演出の中島由貴氏から「妍子は平安のパリピだから」とアドバイスを受けたという。倉沢は「それがすごくふに落ちて『なるほど!』と、それはすごく意識しました」と回想。大河にインする前には弾丸で京都に飛び、妍子のお墓や京都御所を巡って役作りした。

 独自に日本舞踊の先生のもとで所作を学ぶなど役に向き合ったが「自分でもオンエアを見て『妍子は異質だな』と思ったので、みなさんが丁寧に大切に作られている世界観を壊していないか心配でした」と率直に吐露。不安を払拭する反響を受け「見て下さっている方たちがむしろすごく楽しんでくれていて、現場でも『妍子いいね』と言っていただいたので、役作り頑張ってよかったなって思います」と笑顔を浮かべた。

 躍進の1年だ。1月期に日テレ系「先生さようなら」に出演すると、4月にはNHKの夜ドラ枠「VRおじさんの初恋」でおじさんのアバター女子を好演。大河も同作のアバター役が縁でオファーを受けた。

 7月期にはフジテレビ系「ビリオン×スクール」で葛藤を抱えた一軍女子を明暗演じ分けて体現。作品が途切れぬ売れっ子ぶりで「私自身は変わっていないですが、喜んでくださる方が増えてくださっているのが嬉しいです」と好循環を冷静に受け止めている。今月23日には舞台「138億年未満」が開幕と、幅はますます広がるばかりだ。

 22年に「レプロ30周年主役オーディション」を受け、芸能界入りした。5歳から8年間、時に週6で取り組んだクラシックバレエ譲りの表現力が魅力。SNSで募集を見つけ、衝動的に応募した当時について「そのときの突発的な行動は自分でもよくやったなって思うくらい。無謀な挑戦でしたけど、無謀で新しいことを楽しんでいる姿を見て下さっていたみたいです」と振り返る。

 目指すは「元気や笑顔のきっかけになる女優」。持ち前のハッピーオーラで「やりたい役はたくさんあるんですけど、1つあげるなら…走り回ってる役!ぶつかりながらも、負けない!頑張る!みたいな役です」と宣言し「ちょっとおバカっぽいですか?」と朗らかに笑った。

 ◇倉沢杏菜(くらさわ・あんな)2005年3月18日生まれ。神奈川県出身。大学2年生。22年、レプロ30周年企画主役オーディションに応募し、約5000人の中から事務所入り。23年1月、日本テレビ系「パパとなっちゃんのお弁当」でドラマデビュー。舞台「138億年未満」(東京・本多劇場で23日〜12月8日、大阪・サンケイホールブリーゼで12月12〜16日)が待機している。