7月に湘南から町田に加わった杉岡大輝【写真:(C) FCMZ】

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町田の杉岡大暉「優勝のために必死に国立で勝利を飾れるように頑張ります」

 今夏、J1昇格初年度で首位を走っていたFC町田ゼルビアの大型補強が話題を集めた。

 湘南ベルマーレから期限付き移籍で加入したDF杉岡大暉もその1人だ。日本代表の経験も持つ実力者だが、今季の前半戦では出場機会を失った。そんな状況で届いたオファーだった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大/全2回の1回目)

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 さらなる飛躍を期すはずのシーズンだったが、チームの戦い方の変化で思わぬ落とし穴に嵌(はま)った。「今考えると、チームとして何をすべきか、このシステムだったらこうすべきだというところに囚われてしまって」。3バックから4バックとなり、丁寧なビルドアップを意識しすぎると、持ち味の積極性を失った。

 結局、チームは降格圏に低迷し、杉岡自身も途中出場やベンチ外が増えるなど出場機会が激減。負のスパイラルに陥っていた7月、町田からラブコールが届いた。「嬉しかったです。この夏だからこそというか、巡り合わせにすごくありがたいなと思いました」。一方で、湘南への申し訳ない思いもよぎった。

 2017年に湘南でデビューし、2020年には鹿島へ移籍。しかし、出場機会に恵まれず、2021年途中に湘南に帰ってきた。2022年には29試合、昨季は33試合に出場して欠かせぬ存在に。このままチームを引っ張っていくのかと思われた。

「湘南も苦しい状況でなかなか貢献できていなかった部分もあったので、迷いました。でもやはり選手である以上、試合に出たかったですし、そういう思いを優先させてもらったというか。悩みましたけど湘南で出られていなかったのでこれ以上落ちることはないというか、こんなチャンスはないと捉えました」

 批判も覚悟のうえでの移籍だったが、新天地の町田で出番を掴むと徐々に輝きを取り戻した。7月20日の横浜F・マリノス戦でデビューすると、8月7日のセレッソ大阪戦からはレンタル元の湘南戦を除いて6試合連続でフル出場。しかし、自身のパフォーマンスとは反対にチームは勝ち点を伸ばせず、3位に順位を落としてしまった。

 一難去ってまた一難。「1位と優勝に1番近いところで加入して、この順位にまで落ちてしまったのはすごく責任を感じています。なかなかチームが勝てていないことに対して、悔しいしもどかしい気持ちもあります」と唇を噛む。優勝へはもう1つも落とせないなか、次節ではホームの国立でFC東京と対戦する。

「国立でまだ勝てていないですし、リーグの順位的には絶対に負けられないというか、勝たないといけない試合。盛り上がる首都同士の戦いだと思うので、絶対に勝ちたいなと思います。まだ諦めていないので、優勝のために必死に国立で勝利を飾れるように頑張ります。たくさんのご来場お待ちしております」

 まだ優勝の可能性が消滅していないだけではなく、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)エリートの出場圏内である3位以内を死守することも至上命題だ。杉岡にとって苦悩の連続だった1年の集大成となる残り3試合。笑顔で終わるためにも、勝ち点3を掴みにいく。

[PROFILE]
杉岡大暉(すぎおか・だいき)/1998年9月8日生まれ、東京都出身。FC東京U-15深川―市立船橋高校―湘南―鹿島―湘南―町田。年代別代表の常連として活躍し、2019年のコパ・アメリカではA代表にも初招集された。湘南時代の2019年には、ルヴァンカップ制覇に貢献。決勝でミドル弾を決め大会MVPに輝いた。(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)