日本のアニメがアメリカ都市部の子どもに与える「影響」とは。『犬夜叉』好きのアメリカ人女性に聞いた
バングラデシュ系アメリカ人で、ニューヨーク在住のインフルエンサー、アクター・シャラニカさんにインタビューを行いました。アニメから日本文化に興味を持ち、大学で日本語を学び、関西外国語大学に留学を果たしたシャラニカさん。今回は日本への関心のきっかけとなったアニメ、その背景についてうかがいました。
【Instagram投稿】アクター・シャラニカさんのコスプレ姿
「実は来週からも行く予定なんです。今回は友人の結婚式に出席するために行きます。それを含めると全部で6回ほど日本に旅行しています。最初は2015年でした」
--日本に興味を持ち始めたのもそれぐらいの時期だったのでしょうか?
「日本に興味を持ち始めたのはもっと前です。子どもの頃からアニメを見て日本に親しんでいましたから。その頃見ていたのは『ポケットモンスター』や『遊☆戯☆王』とかですね。日本のアニメだというのはなんとなく知っていました。
もう少したって『犬夜叉』を見るようになってから、主人公たちの着ている着物、桜の木、田舎の風景など、ストーリーの背景にある日本文化にも次第に興味を持つようになりました。『犬夜叉』には日本の伝統がたくさん含まれているように感じます」
--当時、日本のアニメがニューヨークでもはやっていましたか?
「そうだと思います。みんな日本のアニメを見て育っていたので、中学生の頃になると『次は漫画を読んでみようよ』という感じで私の周りでは広まっていました。その頃読んでいた漫画は『D・N・ANGEL』などです。幸運にもニューヨークの公立図書館には日本の漫画の英語版があったので、それをみんなで読んでいました。だから中学時代は日本の漫画とアニメがとても人気でしたね。
高校に入ると、勉強が忙しくなり漫画カルチャーからは遠ざかりました。でも高校生の最後の年に勉強が落ち着いた時、リラックスしたいなと思ってアニメのことを思い出したんです。そこで『会長はメイド様!』を見始めました。今でも大好きなアニメです。それから『桜蘭高校ホスト部』も。
その時点で、私は本当にアニメが好きだなと自覚しました。アニメを見るとハッピーになります。だからこの、自分を幸せな気持ちにさせてくれるものをもっと追いかけようと決めました」
「大学で日本のポップカルチャーを勉強しました。そこで少女漫画の中にはフェミニズムに関する重要な観点がたくさん含まれていることを知りました。その授業を選択したのは、アニメ好きだった少女の頃からうっすらと感じていた、何かがあったからだと思います。私の最初の少年・少女漫画は『犬夜叉』でしたが、アニメは少女の心の機微、欲望、大人の女性の課題や願望など、さまざまな重要な側面を見せてくれたように思います。
強調しておきたいのは、私はニューヨーク・ブルックリンの出身で、そこは世界で一番安全だとは言えない場所です。両親は共働きで、私はいつも妹たちと家に居ました。アニメがあったから退屈せずにやってこられたのです。ある意味では、アニメの存在がストリートに潜むさまざまなリスクから私を守ってくれたとも言えます。アニメのおかげでドラッグやギャングに夢を見ることなく大人になれ、いつか日本に行ってみたいと思うようになりました。
私の地元のような、決して安全ではない場所で育った子どもにとっては、アニメの存在そのものが非常に有意義だと思います。現実とは別の存在感で子どもを守ってくれる、物語の力を感じます。そしてアニメを通じて、日本には安全な環境があるのだと知った気がします」
--アニメを見てから10、20年後、実際に日本に来てどう感じましたか?
「東京や大阪はブルックリンと比べてとっても安全だと感じます。韓国にも何度か行ったことがありますが、日本のほうが安全な感じがしました。一人で日本に行くこともありますが、そんな時でも怖い目に遭遇したことはありません」
この記事の筆者:Gena プロフィール
ドイツ在住3年目のライター、ボディポジティブモデル。個人ブログをきっかけに執筆活動を開始し、現在はヨーロッパのモデル事務所に所属しながら、「ヨガジャーナルオンライン」にてエッセイを連載中。学生時代にはアメリカ・ニューヨークにも留学経験あり。日本と欧米における視点の違いに関する情報を発信する。
(文:Gena)
【Instagram投稿】アクター・シャラニカさんのコスプレ姿
『犬夜叉』『桜蘭高校ホスト部』などに親しむ
--SNSでは日本旅行に関する投稿をたくさんされていますが、これまでに何回日本に旅行に来たことがありますか?--日本に興味を持ち始めたのもそれぐらいの時期だったのでしょうか?
「日本に興味を持ち始めたのはもっと前です。子どもの頃からアニメを見て日本に親しんでいましたから。その頃見ていたのは『ポケットモンスター』や『遊☆戯☆王』とかですね。日本のアニメだというのはなんとなく知っていました。
もう少したって『犬夜叉』を見るようになってから、主人公たちの着ている着物、桜の木、田舎の風景など、ストーリーの背景にある日本文化にも次第に興味を持つようになりました。『犬夜叉』には日本の伝統がたくさん含まれているように感じます」
--当時、日本のアニメがニューヨークでもはやっていましたか?
「そうだと思います。みんな日本のアニメを見て育っていたので、中学生の頃になると『次は漫画を読んでみようよ』という感じで私の周りでは広まっていました。その頃読んでいた漫画は『D・N・ANGEL』などです。幸運にもニューヨークの公立図書館には日本の漫画の英語版があったので、それをみんなで読んでいました。だから中学時代は日本の漫画とアニメがとても人気でしたね。
高校に入ると、勉強が忙しくなり漫画カルチャーからは遠ざかりました。でも高校生の最後の年に勉強が落ち着いた時、リラックスしたいなと思ってアニメのことを思い出したんです。そこで『会長はメイド様!』を見始めました。今でも大好きなアニメです。それから『桜蘭高校ホスト部』も。
その時点で、私は本当にアニメが好きだなと自覚しました。アニメを見るとハッピーになります。だからこの、自分を幸せな気持ちにさせてくれるものをもっと追いかけようと決めました」
アニメが救った少女時代
--シャラニカさんのアニメへの深い思い入れは、さかのぼれば子ども時代の環境にあるそうですね。「大学で日本のポップカルチャーを勉強しました。そこで少女漫画の中にはフェミニズムに関する重要な観点がたくさん含まれていることを知りました。その授業を選択したのは、アニメ好きだった少女の頃からうっすらと感じていた、何かがあったからだと思います。私の最初の少年・少女漫画は『犬夜叉』でしたが、アニメは少女の心の機微、欲望、大人の女性の課題や願望など、さまざまな重要な側面を見せてくれたように思います。
強調しておきたいのは、私はニューヨーク・ブルックリンの出身で、そこは世界で一番安全だとは言えない場所です。両親は共働きで、私はいつも妹たちと家に居ました。アニメがあったから退屈せずにやってこられたのです。ある意味では、アニメの存在がストリートに潜むさまざまなリスクから私を守ってくれたとも言えます。アニメのおかげでドラッグやギャングに夢を見ることなく大人になれ、いつか日本に行ってみたいと思うようになりました。
私の地元のような、決して安全ではない場所で育った子どもにとっては、アニメの存在そのものが非常に有意義だと思います。現実とは別の存在感で子どもを守ってくれる、物語の力を感じます。そしてアニメを通じて、日本には安全な環境があるのだと知った気がします」
--アニメを見てから10、20年後、実際に日本に来てどう感じましたか?
「東京や大阪はブルックリンと比べてとっても安全だと感じます。韓国にも何度か行ったことがありますが、日本のほうが安全な感じがしました。一人で日本に行くこともありますが、そんな時でも怖い目に遭遇したことはありません」
この記事の筆者:Gena プロフィール
ドイツ在住3年目のライター、ボディポジティブモデル。個人ブログをきっかけに執筆活動を開始し、現在はヨーロッパのモデル事務所に所属しながら、「ヨガジャーナルオンライン」にてエッセイを連載中。学生時代にはアメリカ・ニューヨークにも留学経験あり。日本と欧米における視点の違いに関する情報を発信する。
(文:Gena)