by Jakec

ペンシルベニア州にあるAmazonのデータセンターは、電力事業者・タレンエナジーのサスケハナ原子力発電所に直結して設けられていて10年にわたる電力購入契約を結んでいます。しかし電力消費量が増加しているため、タレンエナジーとAmazonは使用容量を拡大する内容への契約の修正を求めていました。このたび、連邦エネルギー規制委員会(FERC)が提案を拒否したことがわかりました。

ER24-2172 | PJM’s Susquehanna Co-Location Proposal | Federal Energy Regulatory Commission

https://www.ferc.gov/media/er24-2172-pjms-susquehanna-co-location-proposal



US regulators reject amended interconnect agreement for Amazon data center | Reuters

https://www.reuters.com/business/energy/us-regulators-reject-amended-interconnect-agreement-amazon-data-center-2024-11-02/

FERC Blocks PJM Proposal to Expand Amazon Data Center Load at Susquehanna Nuclear Plant

https://www.powermag.com/ferc-blocks-pjm-proposal-to-expand-amazon-data-center-load-at-susquehanna-nuclear-plant/

サスケハナ原発と直接接続するデータセンターは、もともと、タレンエナジーが所有するデータセンターでしたが、2024年3月にAmazon傘下のAWSに6億5000万ドル(約100億円)で売却されました。売却にあたり、タレンエナジーとAmazonは10年間の電力購入契約を結んでいます。

米国 原子力発電所直結のデータセンターをアマゾン子会社に売却 | 原子力産業新聞

https://www.jaif.or.jp/journal/oversea/22198.html

しかし、データセンターはAI用途などで需要が伸びており、タレンエナジーとAmazonは使用可能容量の増加、つまりサスケハナ原発からの電力供給量を300MWから480MWへ拡大するよう求めていました。

この件についてFERCでは投票が行われ、2対1で使用容量拡大を認めないことが決まりました。マーク・クリスティ委員は反対票を投じた理由について「送電網の信頼性と消費者コストの両方に大きな影響を及ぼす可能性がある」と述べています。

一方のタレンエナジーは、契約内容の見直しは正当かつ合理的で、消費者の最善の利益になるものであり、今回のFERCの決定はペンシルベニア州、オハイオ州、ニュージャージー州などの経済発展に恐ろしいほどの影響を与えることになると、FERCを非難する声明を発表しています。

Talen Energy Statement on FERC Order Rejecting Susquehanna ISA | Sun, 11/03/2024 - 19:00

https://ir.talenenergy.com/news-releases/news-release-details/talen-energy-statement-ferc-order-rejecting-susquehanna-isa



なお、Amazonはデータセンター買収時から最大960MW規模にする計画を立てており、最小契約電力は複数年で120MWずつ増加予定でした。一方、もし最大電力量が必要ないとAmazon側が判断した場合は、契約を480MWに制限するオプションが1回だけ設けられているとのことです。

AWS Eyes 960 MW for Newly Acquired Nuclear Power Data Center in Pennsylvania | Data Center Frontier

https://www.datacenterfrontier.com/hyperscale/article/33038288/aws-eyes-960-mw-for-newly-acquired-nuclear-power-data-center-in-pennsylvania