元助っ人投手の死球で高校生が顎骨折…韓国野球バラエティーで生じた衝撃事故が波紋 被害選手の父が本音「もう野球はしない」
かつてはメジャーリーグでもプレーしたニッパード。彼のボールがキッカケに起きた波紋が広まっている。(C)Getty Images
前代未聞のアクシデントが波紋を呼んでいる。
物議を醸しているのは、韓国のバラエティー番組「最強! 野球団」での一幕だ。
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この番組は、かつてKBO(韓国プロ野球)リーグで活躍したレジェンドたちを集めたチームを結成。高校、大学、社会人を中心としたアマチュアチームと試合をするものだ。対戦相手にはKBOのドラフト候補となる逸材もおり、元プロとのガチンコ勝負が人気を博している。
日本でも『Netflix』で放映されている同番組にあって問題視されたのは、元助っ人投手ダスティン・ニッパートのボールだ。韓国高校球界の名門・安山工業高校との試合でマウンドに立った43歳は、相手選手の顔面に誤って速球を投じてしまったのだ。
ガチンコ勝負であるがゆえの不可抗力ではあった。しかし、顎付近にニッパートの一球を受けた高校2年生のキム・ギョンミンは、その場にうずくまったまま動けず。すぐに病院へ運ばれた結果、顎骨骨折と判明。即座に手術を執行して全治6か月となったという。
死球を投げてしまったニッパートはもちろん番組制作会社も、安山工業高校とキム・ギョンミン本人に謝罪。これに同選手の父親も韓国メディア『FNN News』で「製作陣、選手たち、そしてキム・ソングン監督が、心からギョンミンが慰めて心配してくれた。ただ彼はもう野球はしない。残念ながらアクシデントも試合の一部であり、運がなかっただけだ」と説明した。
顎骨折の大怪我により、高校2年生で野球を諦めたというキム・ギョンミン。この驚きの決断に至った背景は、学校関係者の対応にも問題があったという。
今回の騒動について「一大事だ」と報じた韓国メディア『MHN Sports』は「番組側は心からの謝罪をした。キム・ギョンミンが野球を辞めてしまった理由は学校側の言葉と行動のせいである」と断言。そして番組側の配慮に感謝を述べていた同選手の父親による怒りのコメントを紹介した。
「息子はもう野球をしない。これはグラウンドに戻ってきた彼に暖かい言葉ではなく、無色の言葉や行動をしたチームのせいだ。私たちは一生忘れず、恨みながら生きていく」
同メディアによれば、キム・ギョンミンが顎骨折手術の治療を終えてチームへ復帰。6か月のリハビリ期間であったものの、チーフコーチは捕手だった同選手にブルペンでの捕球を強制。本人が「体調が悪い」と申し出ると、「外に出てろ。お前ができることは何だ」と罵倒したという。
なお、安山工業高校は「暴言や悪口のようなものはなかった。指示しただけだ」と釈明。パワハラまがいの指導があったのかどうかを調査していく意向を示している。
全国的なバラエティー番組のアクシデントがキッカケで明るみになった名門校のパワハラ騒動。その波紋は韓国球界で広まっている。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]