10月12日に入札が終了した銀座コインオークション「第120回 入札誌『銀座』」から、筆五の5円玉落札価格を取り上げます。筆五の5円玉は簡単に見つけることができるものの、ある条件のものが見つかると価値は一気に高まります。

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2024年10月12日に入札が終了した銀座コインオークション「第120回入札誌『銀座』」から、筆五の5円玉落札価格を取り上げます。

筆五の5円玉自体は簡単に見つけることができるものの、“ある条件のもの”が見つかると価値は一気に高まります。いったいどのような条件なのか、解説していきます。

【実際の画像】よ〜く見ると分かる現行の5円玉が「3万8000円」に大化けしたワケ

筆五の5円玉の価値が6000倍以上に!

2024年10月12日に入札が終了した銀座コインオークション「第120回入札誌『銀座』」では、現行の5円玉が3万3000円(手数料込みで3万8445円)で落札されました。

今回落札されたのは昭和28年の5円玉で、いわゆる「筆五」と呼ばれる、書体が楷書体の5円玉です。昭和24〜33年にかけて発行されたものであり、今ひそかに集めている若いコレクターもいるほどです。

しかしながら、筆五の5円玉自体はそう難しくなく探すことができます。もらったお釣りや貯金箱から探せば見つかる可能性があるのです。

では、一体なぜ今回の5円玉は本来の価値の6000倍以上の値段で落札されたのでしょうか?

ゴシック体の5円玉に比べれば発行枚数は少なめ

まず、筆五と呼ばれる楷書体の5円玉の発行枚数は、現在多く流通しているゴシック体の5円玉に比べると少なめであること、ギザ十と呼ばれる硬貨の縁に多数の溝が刻まれている昭和26〜33年に発行された10円玉と比べても発行枚数が少ないため希少性はあります。

とはいえ、落札された昭和28年の5円玉は4500万枚発行されています。しかも未使用というわけでもありません。商品の説明には「VF」とあります。VFとは、美品レベルのことを指し、未使用や極美品から見ればランクは下がります。

このコインのポイントは、“穴”にあります。ぱっと見ても分かる通り、穴が本来の位置からずれています。これを「穴ズレエラー」といいます。この穴ズレがひどければひどいほど価値を生むのです。

少しでも穴ズレを確認したら保管しよう

実は穴ズレエラーのコインは数多く存在します。5円玉に限りません。特に価値を生みやすいポイントは、大きく穴ズレをしていることと、発行年号が新しいこと。新しいものほど製造技術が向上しエラーは少ないため穴ズレエラーコインがあれば価値は高くなります。

この観点からいえば、今回の5円玉は見てはっきり分かるほどの穴ズレであるため落札価格が高くなったと考えられます。もしこれが平成や令和発行のもので穴ズレとなっていればさらに高い価値となるでしょう。場合によっては数十万円になる可能性もあります。

この穴ズレエラーコインの探し方はいたって簡単で、ただ穴がずれているものを探せばよいだけ。見つけられるかどうかは運次第です。

なお、昔貯金していたお金が貯金箱に眠っている場合には見つけ出せる可能性があります。古いコインほど穴ズレはあるからです。普段のお釣りから探すのはなかなか難しいかもしれませんが、ないとは限りません。ぜひ日ごろから意識してお釣りなどを確認してみてください。

<参考>
銀座コインオークション「第120回 入札誌『銀座』」 Lot番号:609 5円黄銅貨 昭和28年 穴ズレエラー

▼伊藤 亮太プロフィール慶應義塾大学大学院商学研究科修了。一般社団法人資産運用総合研究所代表理事。ファイナンシャルプランナーとして、家計・保険等の相談、執筆、講演、大学講師を主軸に活動。大学院時代の専門は社会保障で、経済・金融に関する解説も得意。コイン収集マニアの一面も。
(文:伊藤 亮太(株式・ファイナンシャルプランナーガイド))