【観察眼】中国の犬型ロボットが登山に成功、新たな国際協力の可能性を示す
中国東部に位置する名山・泰山を登った犬型ロボットが最近話題になっている。中国の会社が開発したこの犬型ロボットは、このほど険しい山道を登り荷物を運ぶテストを受け、通常、人間では4時間以上かかる山頂までの道をわずか2時間で踏破した。また、重さ約40キロの荷物を背負い速いスピードで登山することが可能であり、かつ安定性も高いことが検証された。この犬型ロボットは、将来的に泰山の荷物やゴミの運搬への利用が期待されている。
実は、ロボットはすでに中国人の日常生活に広く普及している。中国のホテルでは、配送ロボットがエレベーターに乗って各フロアを行き来し、宿泊客が注文したデリバリーなどを部屋まで運ぶ姿がよく見られる。一部の都市の繁華街では、人型ロボットがチラシを配る姿も日常となった。アリババ、京東集団(JD)、順豊(SF)エクスプレスなどのネット通販・配達大手の物流センターで忙しく運搬、積み込み、仕分けをしているのは人間ではなく、物流ロボットだ。
さらに、人と音声でコミュニケーションする「盲導犬ロボット」や、家事をこなしつつ、高齢者に物語や笑い話を語り、高齢者の健康状態をモニタリングする「介護ロボット」などの新型ロボットの研究開発も急速に進められている。その背景には中国の人工知能(AI)、デジタル産業の発展がある。中国のロボット関連企業の数は2014年の1万3300社から2023年には17万8500社に増え、10年間で13倍になった。また、中国は11年連続で世界最大の産業用ロボット市場となっており、ここ3年間の新規設備台数は世界の半分以上を占めている。スマート製造における世界最高レベルの先進的工場「ライトハウス」は、現在中国で72カ所が認定されており、世界の42%を占めている。
中国は自国のAI関連産業の発展にとどまらず、BRICS諸国を含む各国と積極的に経験を共有し、交流、協力を深めている。例えば、中国は南アフリカの複数の技術学校の講師を対象にビッグデータ、AI、クラウドコンピューティングなどに関する研修を行い、イノベーションセンターを設立して最新のデジタル技術とソリューションを提供している。アラブ首長国連邦のドバイのリゾート地では、中国企業が開発したロボットが観光客の間を巡回している。これは、自転車や電動スクーターなどのグリーンな交通手段の利用状況を記録しつつ、交通違反の有無を監視するためだ。また、中国の提唱による「BRICS新産業革命展」は、これまでに4回開催され、AI分野などの最新成果の展示を通じて、BRICS諸国および「BRICSプラス」協力パートナーとの交流と協力を促進した。そして今月、中国-BRICS人工知能発展・協力センター運営基地が正式に稼働し始めた。これにより、各加盟国の医療、スマートシティ、農業などの分野におけるAI技術の活用がさらに加速することが予想されている。
BRICS内部に目を向けてみよう。インドは世界最大のコンピュータソフトウェアアウトソーシング拠点であり、プログラミングや通信などについて経験豊かな若手人材を豊富に抱えている。ロシアは数学、自動制御システム、ソフトウェア工学などの分野での研究と教育に特に優れている。ブラジルはラテンアメリカで最もAI技術の応用率が高い国となっている。南アフリカのAI関連企業はアフリカ全体の半分を占めている。また、今年1月に新たにBRICSに加盟した5カ国にもそれぞれ大きなポテンシャルがある。BRICS諸国が共同で開発を行えば相互補完が可能となり、世界の技術競争において協同発展を実現できるとみられている。
中国の習近平国家主席はこのほど開催された第16回BRICS首脳会議で、「われわれは新たな技術革命と産業変革の時代の歩みに対応し、『イノベーションのBRICS』を築くべきである。中国は、各国とイノベーション協力を深めていくことを望む」と表明した。習主席がこれまで繰り返し強調してきたように、BRICS協力は決して閉鎖的なものではなく、全世界に開かれたものである。もちろん「イノベーションのBRICS」も各国に対して開かれている。
中国は近隣の日本、韓国と長期にわたり、AIやデジタル分野での交流と協力を続けてきた。中国企業が開発した物流ロボットや産業用ロボット、サービスロボットは日韓両国の物流企業やレストラン、工場の生産ラインで活躍している。「イノベーションのBRICS」の構築に伴い、今後も中国は各国とともにAIの技術進歩と基準づくりを推進していく。それにより、それぞれの国の経済成長はもちろん、世界の関連業界の健全な発展をも期待することができるだろう。(提供/CRI)