「2000万円」で自民内に不満「ありがた迷惑」「開いた口ふさがらず」…幹事長の応援断ったという候補も

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 自民党が衆院選候補者の党支部に2000万円を支給したことを巡り、党執行部への不満の声が候補者から相次いでいる。

 公認の有無にかかわらず同額が支出されたことが批判の的となっているためで、選挙戦の最終盤で与党への逆風がさらに強まっている。

党本部に返却

 「なぜ選挙期間中に支給を決定したのか、疑問を抱いている。ありがた迷惑な話だ」。政治資金問題で自民党から公認されず無所属で出馬した萩生田光一・元政調会長は24日夜、事務所のX(旧ツイッター)への投稿でこう不満をあらわにした。翌25日には党本部に返金したことを明かし、「無所属候補として正々堂々と戦い抜く」と強調した。

 2000万円の支給は23日に判明した。非公認の候補にも公認候補と同額が「活動費」として振り込まれ、野党は「裏公認料」などと連日追及している。自民はあくまでも支部への支出で、非公認だと「選挙運動に使えない」と主張するが、支部の代表は候補者で、その使い道を後から検証するのは困難とされる。

 石破首相(自民総裁)に近い岩屋外相は25日の記者会見で、「支部の活動は必要だ。党が資金を手当てすることは問題がない」と執行部を擁護したものの、自民内では「選挙妨害だ」などと恨み節が広がる。

 非公認の小田原潔・元外務副大臣も24日、東京都内で記者団に「迷惑だ。親心からかもしれないが、いくら何でもタイミングが悪い」と述べ、返金する意向を示した。党員資格停止の処分を受けている下村博文・元文部科学相と西村康稔・元経済産業相は、いずれも支部長を辞任しているため「資金を受け取っていない」などと説明に追われた。

応援演説断る

 政治資金の問題とは関係ない公認候補からも批判が出ており、古屋圭司・元国家公安委員長は25日、岐阜県土岐市での街頭演説で、「開いた口がふさがらない」と党の対応に不満を述べた。この日に予定していた森山幹事長の応援演説を断ったことも明らかにした。