Image: Adriano Contreras - Gizmodo US

サブでちょいちょい使うなら、これくらいがちょうど良いのかも。

iPad miniが3年ぶりにアップデートされました。長く新作が出ないと自然消滅しそうで不安にさせる小さめiPadですが、やっぱりこのサイズならではの良さがありますよね。米GizmodoのKyle Barr記者がレビューしてますので、以下どうぞ!

第7世代iPad miniは今まで以上に、Appleのスマホとタブレットの良いとこどりをしています。ポケットには入らないものの、小さなバッグにはぴったりです。8.3インチ画面では細かいスケッチは難しいものの、手書きメモを取ったり、Apple Pencilでちょこっと写真編集をしたりするには手頃です。

数万円足せばもっと強力なiPadも買えますが、iPad miniの小さめディスプレイは、iPadOSにはより適したサイズのように感じられます。

第7世代iPad mini

これは何?: Appleの最新の8.3インチiPad。

価格: 500ドル(日本価格7万8800円)〜

好きなところ: 小さいサイズは大きめiPadよりもiPadOSに向いてる、RAMとストレージが前より増強、バッテリー持ちもOK

好きじゃないところ: マイナーアプデで実質2021年版と同じ、古いApple Pencilが使えない、一部のゲームは互換性・性能的に問題あり

コンピューター作業の横で使うなら、13インチのM4 iPad Proと8.3インチのiPad mini、どちらでしょうか?

僕の場合、強力で大きなタブレットより、iPad miniのほうがずっと合ってると思います。今年のアップデートは完全オーバーホールではないですが、数年来でベストなiPad miniではないでしょうか。唯一わからないのは、Apple IntelligenceによってiPad miniの使い方がどれくらい変わるのか、ということです。

価格は前者は1,300ドル(日本価格21万8800円)からで、Apple最薄最強にして、最高価格でもあります。一方iPad miniは、500ドル(同7万8800円)から買えます。筐体は2021年の第6世代iPad miniと同じAirっぽい感触ですが、RAMも最小ストレージも2倍になり、それぞれ8GB、128GBになりつつ、価格は(米国では)同じです。

ハードウェア: Airっぽい感触

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第7世代iPad miniの筐体は、前世代と基本的に同じAirライクな6.3mm厚で、ベゼルもしっかり太めですが、全然問題ありません。iPad Airと違い、iPad miniにはブルーやパープルといった楽しい色展開があります。僕のレビュー機はライトグレーですが、ごくかすかな色で、ライティングによっては色が付いてるかどうかもわかりにくいほどです。

今回アップデートされたのは、チップ以外ではWi-Fi 6E対応と、USB-Cでの最大10Gbps(前世代の倍)のデータ転送対応です。

iPad Proは最新Appleシリコン・M4を搭載しましたが、iPad miniのチップは去年のiPhone 15Proと同じA17 Proです。先代はA15 Bionicだったので当然それより速いんですが、使用感は同じです。iPad miniはAppleのタブレットのベースラインですが、今回は僕のお気に入りのApple Pencil Proにも対応したのがうれしいです。

残念ながら、2024年の他のiPadと同様、iPad miniが対応しているApple PencilはApple Pencil Proか、Apple Pencil USBのみで、第2世代以前のものは新iPad miniにくっつかないし、使えません。Appleいわく、これはM4 iPad Proをより薄くするために接続ポイントのデザインを変えたからだそうです。

iPad mini、残念ながらフロントカメラは今回もタテ向きに付いていて、これはApple Pencilを磁気でくっつけるためのスペースが必要だからだと思われます。古いApple Pencilが使えないことも、前世代のiPad miniから乗り換えたい人にとって痛いですね。

それ以外のカメラのスペックは予想通り、背面は1200万画素、前面は1200万画素超広角です。カメラのためにiPadを買う人も少なそうですけどね。前面カメラはセンターフレーム機能でユーザーがフレームに収まるようズームを自動調節してくれて、長いビデオ会議でも機能していました。ただ、Microsoft Teamsアプリでセンターフレームをオンにしていたとき、40分の会議でバッテリーを20%も使ってました。

ディスプレイはApple独自の液晶「Liquid Retina」で、明るさは普通程度です。僕らはもうiPhoneにiOS 18.1 Betaを入れてAppleのAI性能を試してみましたが、同じ機能がiPadにインストールされたとしても、使い方が劇的に変わるわけではなさそうです。

ソフトウェア: AI機能追加、Siriのアプデなど

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今回のiPad miniのアップデートは3年ぶりになりましたが、ここまで時間が空いたのは、Apple Intelligenceを待っていたからです。最新のiPadOS 18.1を使うと、AppleがそのAI機能をユーザーにどう使ってほしいのかの様子がわかります。作文ツールや通知サマリ、「クリーンアップ」のような写真編集機能などです。

まずクリーンアップは、ベータ時点より大幅改善されましたが、Googleの消しゴムマジック同様、写真のミスを全部直してくれるわけじゃありません。背景は前景よりずっとうまく消してくれますが、その後に残像というか影が残ります。インターフェースは比較的シンプルで、消したいものを指かApple Pencilで囲むと、自動で消してくれます。ただ、クリーンアップボタンを押してから立ち上がるまでにわりと時間がかかります。

作文ツールの中身は玉石混交で、その機能のひとつ、メールを「プロっぽく」書き換えるツールは使う気がしません。プルーフリーディング機能は、メールの中の文法ミスを自動で直してくれたりして、悪くないです。ただ残念ながら、Google Docsを使ってるときは作文ツールを使えません。将来的には変わるかも知れませんが、Google Docsの中では、Google自身のAIツールを使わなきゃいけないようです。

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要約機能も便利かもしれませんが、ベースの「要約」機能は長いメールを切り詰めすぎて、ニュアンスが吹っ飛んでしまいます。良いなと思うのは、メールを箇条書きにしてくれる「キーポイント」機能で、これを使うと長々しい製品PRの文章も簡潔で読みやすくなります。が、場合によっては、ちゃんと原文に戻りながらチェックする必要があります。

Siriのインターフェースは、良い具合にアップグレードされました。iPadOS 18.1からは、Siriは今までみたいにビー玉みたいなモヤモヤじゃなく、画面全体を囲むカラフルなフレームのように表示されます。またSiriに文字で話しかけられるようになり、周りに人がいるときに使いやすくなりました。

SiriはAppleのサポートページも全部学習してる…と思うんですが、たとえば「iPadで文書をスキャンする方法は?」とか「写真で目をつぶっちゃった人を修正するには?」といった質問をしても、Appleから直接答えを教えるんじゃなく、ネット検索結果を出してきます。これも今後は変わるんじゃないかと思いますが、とりあえずは今までと同じ動作です。

iPadOSは2021年の第6世代iPad miniのときからだいぶアップグレードしましたが、iPad miniでは使えない機能もまだあります。たとえば新iPad miniでは、マルチタスクをうまく取り回すためのステージマネージャが使えず、できるのはSplit Viewのみです。

ステージマネージャは、13インチiPadでも、macOSほど自由が効かないのを無理やりごまかしてる感じです。Split Viewを使っても、iPad miniでのマルチタスクは、iPhoneよりちょっとだけマシ、程度です。SamsungのGalaxy Z Fold 6なら、6.2インチディスプレイで複数のウィンドウを取り回せます。もちろんスマホのディスプレイでそれができても直感的ではありませんが、できたほうがうれしいです。

パフォーマンス: 最強ではないけど十分

iPad miniのチップは去年のiPhoneと同じA17 Proですが、基本的なタスクをこなすだけなら問題ありません。ただ、お手頃価格にハイエンドなパフォーマンスを求めるとしたら、iPad miniはそれじゃないです。Mac並みのチップを載せる必要はないと思いますが、iPhoneの最新チップじゃないことは残念でした。

iPad miniのRAMは8GBで、通常のベンチマークテストではそれなりに良い結果でした。でももちろん、特に高性能というわけではないです。Geekbenchのスコアは、2021年版のA15チップと比べて、シングルコアでは約700ポイント、マルチコアでは約1,700ポイント高いという結果でした。

それでも、大きいiPadに搭載されたMシリーズのチップとiPad miniのモバイルチップでは雲泥の差です。iPad miniはGeekbench 6のマルチコアでは、iPad Proより3,000ポイント低い結果でした。3D Markでのグラフィックス性能比較でも大きな差が付いています。

ためしに『Death Stranding: Director’s Cut』や『バイオハザード4』のような負荷の高いゲームをiPad miniでプレイしてみました。『Death Stranding〜』は動作自体は大丈夫でしたが、デフォルトではアスペクト比の関係で操作部分が若干見切れてました。M3 MacBookやiPad Pro/Airでプレイするほどきれいな見え方ではなく、アンチエイリアシングも限定的でしたが、プレイ自体はきちんとできます。ただ、ちゃんとプレイするには別途コントローラーが要ります。

『バイオハザード4』に関しては、基本的にプレイできません。デフォルトのアスペクト比がiPad miniのアスペクト比に合わないだけでなく、ずっとラグがあってテアリングが起きてました。iPad miniと同じA17 Proを載せたiPhone 15 Proではこの問題は起きなかったので、何らかの互換性の問題ではないかと思われます。ただざっくり言うと、iPad miniではヘビーなゲームをプレイしないほうがいいです。

iPad miniでは画像や動画編集をしちゃいけないってことじゃありませんが、それにはもっと適したデバイスがあります。OctaneXで標準の画像のレンダリングをするのにも、M4 iPad Proの倍の時間がかかりました。Adobe Premiereでの動画編集はシンプルなタスクならできますが、複雑なことをしようとするとA17 Proでは処理しきれなくなります。

バッテリー: おとなしく使えば1日分

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AppleいわくiPad miniのバッテリー容量は5,078mAhで10時間持つので「丸1日使える」とのことですが、それはもちろん使い方によります。Apple Intelligenceはまだオンデバイスで負荷の高いことをしてないので、たしかにコンスタントに使っていても9時間はフルに使えていました。

「コンスタントに」とは実際どんな使い方かというと、そんなにヘビーに使わないときは、ただ作業中に横に置いておいて、たまにiPad miniも眺めるという程度でした。それで5時間後にチェックすると、バッテリーは15%しか減っていませんでした。動画閲覧その他のライトなタスクでは、10時間ほど持ちましたが、画面をつけっぱなしにしていたらそんなには持たないはずです。

ざっくり言って、2021年のiPad miniとほぼ同じバッテリー持ちです。新iPad miniはUSB-Cで外付けモニターにもつなげられますが、経験的に、それをやると(モニターの解像度にもよりますが)バッテリーがどんどん減ります。なのでiPadを単体で、想定される方法で使うなら、Appleの言う「丸1日」使えるでしょうけど、いろいろダイナミックに使いたい人はそこまで持たないかもしれません。

結論: 実際使えるタブレット

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第7世代iPad miniは、小さいながらも何の不足も感じませんでした。ランドスケープモードで親指タイプできる程度に小さく、かつiPhoneよりも大きくて動画閲覧や手書きメモも快適にできるデバイスはうれしいです。これ以上の機能は要らないと思うほどですが、それはApple Intelligenceを推したいAppleにとっては都合が悪いかもしれません。

iPad miniはAIでバリバリ何かこなすというよりも、日常の相棒としてMacBookの隣で使い、より大事なことへの集中を助けてくれる存在です。ほどよいサイズの画面を、通知やカレンダー確認、YouTubeでの息抜きといったことに使っていきたいです。iPad ProやiPad Airには憧れるかもしれませんが、iPad miniはもっと日常の中で、実際に使えるiPadなのです。

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