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 プロ野球の新人選手選択会議(ドラフト会議)がきょう24日、午後4時50分から都内のホテルで開催される。阪神は23日、都内でスカウト会議を開き、約70人の候補を最終確認した。1位指名を非公表としながら、最速154キロ左腕の関大・金丸夢斗投手(21)が最有力とみられる。初ドラフトになる藤川球児新監督(44)は「クジを引くことになれば僕が引きます」と宣言。黄金の右手で引き当てる。 

 報道陣があの手この手で切り口を変える質問を、藤川新監督はにこやかにかわした。注目の1位が誰なのかを、おくびにも見せない。最終決定は「当日になる」として詳細を明かさず。最後まで、補強ポイントに至るまでのドラフト戦略にかかわるすべてを伏せた。

 競合覚悟でもいい選手を狙うのか、なるべく避けるのか。個人としての勝負哲学を聞かれると、「それも当日のお楽しみですね。僕らしいのかどうかは、(指名した選手が)所信表明みたいになる。見ておいてもらえれば」と意味深に答えた。

 阪神の1位は、投手なら関大・金丸、内野手なら明大・宗山、外野手なら青学大・西川が候補に挙がる。チームを俯瞰(ふかん)すれば、先発左腕が手薄なのは明白。球団がここ数年続ける「地元優先」の戦略を加味すると、兵庫県神戸市生まれで、伸びしろを残しながら完成度が高い金丸の優先順位はおのずと高くなる。

 実力は今年の候補投手の中で頭一つ飛び抜ける。関西学生リーグ通算20勝3敗で防御率0・83。239回2/3で312三振も奪い、43与四死球にとどめた。奪三振率は11・72、与四死球率は1・61の数字が能力の高さを示す。最速154キロのストレートとスプリット、スライダーは一級品。数年に1度の選手で、獲得できればV奪回のキーマンになり得る。

 巨人、ヤクルト、中日、そして阪神の4球団が手を挙げるとみられる。藤川新監督は左腕について「やっぱりいいですよね。当然。他の投手もいいけどね」と言葉を濁した。あくまで仮定の話だが、「クジを引くことになれば、僕が引きます。スカウトとチームの皆さんの総意なので。代表である自分がクジを引くべき」と宣言。この時は、にこやかな表情が真顔になった。

 引く手は「あまり左で引いたことがないので」と、プロ野球5位タイの243セーブを挙げた黄金の右を繰り出すことを暗に示した。験担ぎは「全くしない」。自然体で初のドラフト会議に臨む。

 金丸を巡り巨人との争奪戦勃発が有力。近年の1位指名重複は、20年に矢野元監督が4球団競合の佐藤輝を引き当て、22年は岡田前監督が一騎打ちとなった浅野を逃した。球児新監督の初仕事。運勢は果たして――。 (倉世古 洋平)

 ◇金丸 夢斗(かねまる・ゆめと)2003年(平15)2月1日生まれ、兵庫県神戸市出身の21歳。広陵小1年から広陵少年野球部で野球を始めて投手や一塁手。広陵中では軟式野球部に所属した。神港橘では1年秋から背番号10でベンチ入りし、2年秋から背番号1。関大では1年秋にリーグ戦初登板。今年3月には欧州代表との強化試合で侍ジャパンのトップチームに初招集された。50メートル6秒5、遠投110メートル。1メートル77、77キロ。左投げ左打ち。

 ≪チームの全休日で金丸は静養≫関大の金丸は、前日に秋季リーグの全日程を消化し、チームの全休日だったこの日は静養に努めた。阪神以外に巨人も競合覚悟での1位指名で一本化しており、ヤクルト、中日も1位候補に挙げているとみられる。「(入札球団が)多ければ多いほど良い評価をしていただけているということ。楽しみではある」。心待ちにする運命の日を、最大級の評価を得て迎えることになる。

 ≪外れ1位はNTT西日本・伊原が有力≫関大・金丸を1位指名し、クジで外した場合は、NTT西日本・伊原陵人(たかと)投手(24)の指名が有力だ。最速149キロのサウスポー。1メートル70と小兵ながらキレのある直球とスライダー、フォークが武器。智弁学園(奈良)でも大商大でも社会人でも全国大会に出場し、ゲームを組み立てる能力に優れる。高校では、昨季MVPの村上の2学年後輩。中継ぎもこなせるだけに、即戦力の呼び声が高い。