国家情報院が最近、ウクライナ情報機関との協力で、ロシア・ウクライナ戦線で活動中の北朝鮮軍と推定される人物の写真(右)を確保したとし、関連写真を18日に公開した。 [写真 国情院]

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韓国の国家情報院(国情院)が「北が8日からロシア派兵のための特殊部隊兵力の移動を始めた」と18日、明らかにした。北朝鮮が地上軍を大規模で派兵するのは今回が初めてだ。国際社会が朝ロ間の軍事協力強化を懸念する中で出てきた今回の北朝鮮軍派兵は、今後、韓半島(朝鮮半島)の安保地形にも莫大な影響を及ぼすとみられる。また、韓ロ関係を考慮してウクライナに非殺傷武器に限り支援してきた韓国政府の方針にも影響を及ぼすという見方が出ている。韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領はこの日、緊急国家安全保障会議(NSC)を開いた。その後、大統領室は「現状況を座視せず、国際社会と共同で可用なあらゆる手段を動員していく」とし、強硬対応を予告した。

国情院はこの日、記者団に配布した報道資料で「北の軍の動向を密着監視する間、北が8日から13日にかけてロシア海軍輸送艦で特殊部隊をロシア地域に輸送するのを捕捉し、北の軍の参戦開始を確認した」と明らかにした。続いて「ロシア太平洋艦隊所属の揚陸艦4隻および護衛艦3隻がこの期間、北の清津(チョンジン)・咸興(ハムフン)・舞水端(ムスダン)近隣地域から特殊部隊員1500人をロシアのウラジオストクに1次移送するのを完了し、近いうちに2次輸送作戦が行われる予定」と伝えた。

対北朝鮮情報筋は「北の軍は『暴風軍団』と呼ばれる最精鋭特殊作戦部隊である第11軍団所属4個旅団(1万人規模)の兵力を派兵すると予想される」と述べた。平安南道徳川市(トクチョンシ)に駐留中の暴風軍団は配下に計10個旅団(狙撃旅団3個、軽歩兵旅団4個、航空陸戦旅団3個で構成)を置いていて、首都圏および後方浸透任務などを遂行する特殊戦部隊だ。国情院によると、ロシア海軍艦隊(輸送支援)の北朝鮮海域進入は1990年以降初めて。またロシア空軍所属のAN−124など大型輸送機もウラジオストクと平壌(ピョンヤン)を随時行き来しているという。

ロシアに派兵された北朝鮮軍人は極東地域のウラジオストク・ウスリースク・ハバロフスク・ブラゴヴェシチェンスク などの複数の部隊に分散配置されたことが把握された。「適応訓練を終えしだい戦線に投入されるとみられる」というのが国情院の観測だ。

また国情院は「北の軍にはロシアの軍服とロシア製武器が支給され、北朝鮮人と似た容貌のシベリアのヤクーチア・ブラチア地域住民の偽造身分証の発給を受けた」とし「戦場投入の事実を隠すためにロシア軍に偽装したとみられる」と明らかにした。

この日、国情院はウクライナ戦線で活動中の北朝鮮軍と推定される人物の写真も公開した。この人物は激戦地のウクライナ東部ドネツク地域近隣で捕捉されたが、「北朝鮮版イスカンデル」と呼ばれる「KN−23」短距離弾道ミサイルの発射場でロシア軍人と共にロシア軍服を着ていた。国情院は「(写真は)ウクライナ情報当局と協力して入手した」と明らかにした。