『ぐりとぐら』なかがわりえこ 作 おおむらゆりこ 絵/福音館書店

写真拡大 (全9枚)

青と赤のつなぎと帽子がトレードマークの、ふたごの野ねずみを描いた絵本『ぐりとぐら』の作者で、作家の中川李枝子さんが亡くなったことを福音館書店が発表しました。89歳でした。代表作『ぐりとぐら』シリーズとともに中川さんの歩みを振り返ります。

中川さんは、北海道・札幌市出身。保育園に勤務しながら創作をはじめました。1962年、童話『いやいやえん』を出版。1980年『子犬のロクがやってきた』で毎日出版文化賞を受賞。童話『かえるのエルタ』『ももいろのきりん』、絵本『ぐりとぐら』シリーズ、『そらいろのたね』『はじめてのゆき』『とらたとおおゆき』など多くの作品を手がけました。

『ぐりとぐら』は、おはなしを作った中川さんと絵を描いた山脇百合子さんの姉妹による作品。1963年にお母さん・お父さん向けの雑誌『母の友』で読み切りのおはなしとして登場しました。その時のタイトルは『たまご』です。そして、同年12月に月刊絵本『こどものとも』(93号)で絵本『ぐりとぐら』が登場しました。

これまで刊行されたシリーズは『ぐりとぐら』、『ぐりとぐらのおきゃくさま』、『ぐりとぐらのかいすいよく』など、20作品以上。累計発行部数2200万部超え(出版社発表)のロングセラーとなりました。

■物語のもとのエピソード

日テレNEWSでは、『ぐりとぐら』が60周年の2023年に中川さんを取材。物語のもとになった出来事や、大切にし続けていたことなどを明かしてくれました。

中川さんは、『ぐりとぐら』が誕生から60周年を迎えることについて「感無量です。はじめに書いたときには、こんなにたくさんの方に読んでいただけるなんて思ってもいませんでしたから。本当に読者のおかげです」とコメント。また『ぐりとぐら』について「保育士の17年間、毎日“今日は何して遊ぼうか”と考えた日々を思い出します。その時代のことが全部お話の元になっていますから。出てくる人はモデルがいることもあります」と、明かしていました。

■“ぐり”と“ぐら”の名前の由来

そして、由来については「ある日、保育園で、白猫と黒猫が登場するフランスの絵本『プッフ・エ・ノワロ』を子どもたちと楽しんだときに、キャンプ場で野ネズミの一団が大騒ぎするシーンがあって、そこに“ぐりっぐるっぐら、ぐりっぐるっぐら”というリフレインが出てくるんですよ。そこにくると、子どもたちは、待ってましたとばかりに、一緒になって、楽しそうにさけぶんですよ。だからね、そこからもらったのです」と教えてくれました。

■大切にし続けた思い

『ぐりとぐら』シリーズを制作される中で、大切にし続けた思いについて、中川さんは、「やっぱり子どもが喜ぶということ。子どもは遊んで遊んで大きくなる。楽しい遊びを絵本にとり入れることですかね。子どもは正直だから、おもしろくないと、すぐにそっぽをむいてしまいますからね。崖っぷちですよ」とコメント。また、“『ぐりとぐら』シリーズを読んでくれた人に、どのようなことを感じてほしいですか?”という質問には「ご自由に。とにかく楽しんでください、のひとことです」とメッセージを送りました。