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NNNは、読売新聞と衆議院選挙の世論調査を行い、独自の取材も加えて序盤の情勢を分析しました。その結果、自民・公明の与党で過半数の勢いであるものの、自民党は議席を減らし単独で過半数を維持するかは微妙な情勢で、多くの選挙区で与野党が競り合っています。

与野党はこの結果を、どう受け止めているのでしょうか? 日本テレビ・政治部官邸キャップの平本典昭記者が3つのポイントに沿って解説します。

1.与党「過半数」も…自民厳しい戦い
2.立憲「議席増」で「健闘」も…
3.注目“裏金議員”の戦いは?

鈴江奈々キャスター
「与党で『過半数』を獲得できる勢いということですが、自民党としては厳しい戦いとなっているんですね」

政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「与党で『過半数』獲得の勢いということには、ある自民党幹部は『最悪の事態はなさそうだ』と安心した様子でした。というのも、これは石破首相が掲げた“最低ライン”は突破できそうだからです。衆議院選挙の後は特別国会で首相を選ぶ首相指名選挙があります。与党で過半数を確保できれば、今のまま石破茂首相を選べ、政権を維持できるため、233は“最低ライン”といわれているわけです」

「ただ、自民党は単独で233議席を維持できるかは微妙な情勢です。公示前から減らす厳しい戦いであることには、自民党のある若手議員は『裏金問題の逆風は現場では強く吹いている』と話しています。裏金問題で自民党へ向けられている厳しい視線は、選挙戦でも影響がある程度出ているといえます」

鈴江キャスター
「一方で野党ですが、立憲民主党は議席を増やす勢いで、健闘もしているんですよね」

平本キャップ
「立憲民主党は、公示前より30議席程度は増やす勢いで、健闘していることに、ある立憲民主党の幹部は『裏金問題での反自民の受け皿になれている』と手応えを感じています。選挙戦でも『裏金だけは許さない』といった声を有権者からよくかけられるそうです」

「ただ、これで満足かといえば、そうではなさそうです。というのも、トップの野田代表の目標は『政権交代』、そして『比較第一党』でした。その実現は厳しい状況です。ある立憲民主党の幹部は『2009年、15年前に政権交代を実現した時のような追い風は全く感じない』と話しています。立憲の多くの人が指摘するのは『候補者調整の不調』です。野田代表は、自民党候補に野党が力を合わせて戦おうと、候補者の一本化を模索しました。しかし解散から時間がなく、調整は不調に終わっています」

「前回は、与野党“一騎打ち”の選挙区は140ほどありましたが、今回は45程度と約3分の1に減っています。ある立憲民主党の幹部は『候補者調整がつけば勝てていたという選挙区が複数ある』と、悔しがっていました」

鈴江キャスター
「そして、注目されるいわゆる“裏金議員”の戦いはいま、どういう状況になっているのでしょうか?」

平本キャップ
「いわゆる“裏金議員”が立候補している選挙区は46あります。ここには自民党を離党したり、一度議員辞職した候補の選挙区も含まれています。この46の中の情勢は、いわゆる裏金議員の候補者たちの『半数近くが相手にリードを許す』厳しい戦いになっています」

「ただ、やはり特徴的なのは、公認はされたものの比例代表への重複立候補を認められなかった候補の選挙区では、僅差でも負ければ復活当選はないため、厳しい展開となっています」

鈴江キャスター
「復活当選ができない、つまり議員にはなれないということで、かなり厳しい戦いだと思いますが、石破首相が決断した、いわゆる裏金議員の一部を非公認、そして重複立候補は許さずという判断は、今のところ、選挙戦にどんな影響を与えているのでしょうか?」

平本キャップ
「まだ序盤戦なので、ここまでの戦いの状況分析になりますが、いわゆる裏金議員1人1人にとっては、選挙戦に大きなマイナスとなっている一方で、自民党全体にとってはプラスの評価になったのでは、という見方が、自民党内から出ています。ある自民党幹部は『非公認の判断で逆風が止んだ。苦しい決断だったが選挙戦にはプラスになっている』と話しています」

「ただ、まだ選挙戦は始まって3日目です。今回の情勢調査も、一定数の回答者が『まだ決めていない』と答えていますし、選挙情勢もこれからの論戦、そして選挙戦でかわる可能性もあります」