しばらく観察した後、感謝を伝えリリースされました

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伝説の川魚「ヤマノカミ」を採取したという投稿がSNSで大きな反響を集めている。

【写真】鮮やかな鰓蓋(鰓膜)が特徴

国内での生息域は九州・有明海の奥部とその流入河川のみ。絶滅危惧種に指定されている珍魚ヤマノカミは、海で生まれ河川に戻り成長する降河回遊魚です。2024年9月13日、九州某所の川で採集に成功したのは、お魚雑貨を制作販売する川鮫工房の川鮫さん。採取時の状況について話を聞いた。

――採取の経緯は?

川鮫:九州に生息する魚を求めて遠征した時のことです。関西在住で何度も九州遠征をしているのですが、いつも限られた時間で沢山の種類の魚種に会うために九州内を友人と奔走していて、今までヤマノカミだけを集中して探す日が作れなかったんです。今回の遠征は九州固有のドジョウの探索と、一番会いたかったヤマノカミを探索するためのものでした。

――目的を達成されたわけですね。

川鮫:場所の詳細は伏せますが、川に入り探していると友人が「これヤマノカミかも!!!」と声を上げました。走り出したい気持ちを抑えながら驚かさないようにゆっくり近づきました。そっと川を覗くと、そこには石などにも隠れず、川底でじっとしている魚を発見。大きな頭や体の模様などを見て「間違いなくヤマノカミだ!」と2人で狂喜乱舞。

そのまま水中撮影をしようとしたのですが逃げられてしまいそうで撮影は中断し、お互いのタモ網で挟み撃ちをして採取することに。掬い上げると紅色に輝く鰓蓋が見え、思わず「うわぁ~」と再び感激!採取後は、観察ケースに入れて撮影したり、手乗せ写真をしたり、ずっと2人で嬉しくてにやにやしながら撮影していました。

しばらく堪能し、感謝の気持ちを伝えてそっと元いた石の近くへリリースしました。本当に贅沢な時間でした。

――普段の活動についてお聞かせください。

川鮫:幼い頃から日本産淡水魚が大好きでした。魚好きのまま成長し、水族館飼育員の仕事を経て、現在は沢山の人に主に日本産淡水魚の魅力や発信をするお魚専門のクリエイター「人とフィールドを繋ぐ生き物作家」として活動しています。一人でも多くの方に作品を通じて、魚と共に身近な生き物に興味をもって頂けたら嬉しいです。

◇ ◇

採取成功を報告するポストには、「激レア」「生息地が限られているから捕まえた時の喜びは計り知れなさそう」「私もいつか獲ってみたい!」「実物を間近で見られるなんてうらやましい」などの反響が集まった。河口堰などにより遡上が阻害され、生息数は年々減少しているとのこと。貴重なヤマノカミの動画は、一見の価値ありです。

(よろず~ニュース特約・ゆきほ)