こちらは「いて座(射手座)」の方向約5500光年先の星雲「M17(Messier 17)」です。M17は新たな星を生み出す星形成領域のひとつとして知られており、海外では望遠鏡を通して見たその姿から「オメガ星雲(Omega Nebula)」や「白鳥星雲(Swan Nebula)」とも呼ばれています。


【▲ VISTA望遠鏡の高感度赤外線カメラ「VIRCAM」で観測された星雲「M17」(Credit: ESO/VVVX survey)】

この画像はヨーロッパ南天天文台(ESO)が運営するパラナル天文台の「VISTA望遠鏡」に搭載されている高感度赤外線カメラ「VIRCAM」で取得したデータをもとに作成されました。


ESOは2010年から2023年にかけてVIRCAMで取得された観測データをもとに、20万枚もの画像で構成される天の川銀河の新たな赤外線マップを作成しており、M17を捉えたこの画像もその一部となります。満月8600個分に相当する空の領域をカバーしたマップ全体に含まれる天体の数は、実に15億個以上。そのなかには、塵を含む雲に包まれた誕生したばかりの星、古い星々が集まる球状星団、恒星と惑星の中間的な性質の天体である褐色矮星、恒星を周回していない浮遊惑星(自由浮遊惑星)なども含まれるということです。


ESOの望遠鏡を用いたものとしては最大規模になったというこの観測プロジェクトを通じて得られたデータの科学的調査は、今後数十年にわたって続くと見込まれています。冒頭の画像はESOから2024年9月26日付で公開されています。


 


Source


ESO - ESO telescope captures the most detailed infrared map ever of our Milky Way

文・編集/sorae編集部