「Microsoftは独占禁止法に違反している」としてGoogleがEUに提訴、クラウドコンピューティング分野で不当なライセンス契約を使用
クラウドコンピューティング市場のトップ3はAmazon、Microsoft、Googleがしのぎを削っています。その中で「Microsoftがソフトウェア製品の優位性を背景に、顧客の他社への移行を妨害している行為は独占禁止法違反に当たる」として、GoogleがEUに提訴したことがわかりました。
Filing EU complaint against Microsoft licensing | Google Cloud Blog
Google files EU antitrust complaint accusing Microsoft of stifling cloud competition - CNBC
https://www.cnbc.com/2024/09/25/google-files-eu-antitrust-complaint-accusing-microsoft-of-stifling-cloud-competition.html
Google Files EU Antitrust Complaint, Accuses Microsoft of Stifling Cloud Competition - Business Times
https://www.btimesonline.com/articles/169510/20240926/google-files-eu-antitrust-complaint-accuses-microsoft-of-stifling-cloud-competition.htm
Googleによると、MicrosoftはWindows ServerやMicrosoft Officeといったソフトウェア製品群を保有する優位性を背景に、顧客が競合サービスに移行できないように妨害を行っているとのこと。
Google Cloudのバイスプレジデントであるアミット・ザベリー氏は、Microsoftが行っている具体的な妨害策として、Microsoft以外のクラウドサービスを利用する場合に課すライセンス料、いわゆる「クラウド税」を挙げています。ヨーロッパ全土の企業がMicrosoftに支払う「クラウド税」は、年間10億ユーロ(約1610億円)に上っているそうです。
ザベリー氏は、Microsoftの施策は顧客の自由な選択を阻害し、市場の競争に悪影響を及ぼすものであり、「EUの独占禁止法ルールに100%違法している」と非難しています。
Microsoftは、ヨーロッパのクラウドプロバイダー代表団体・CISPEとの間にも同様の紛争を抱えていましたが、2024年7月に和解しています。
CISPE and Microsoft Agree Settlement in Fair Software Licensing Case | CISPE - The Voice of Cloud Infrastructure Service Providers in Europe
https://cispe.cloud/cispe-and-microsoft-agree-settlement-in-fair-software-licensing-case/
しかし、CISPEに加盟していないGoogleは和解に同意せず、合意にも参加しなかったとのこと。このほか、Amazon Web ServicesとAlibabaのクラウド部門であるAliCloudも和解合意に参加していません。
ザベリー氏は「よりオープンで競争のあるクラウド環境が、小規模なヨーロッパのクラウドベンダーをはじめとしたすべてのプロバイダーに利益をもたらすものです」と語っています。
なお、Microsoftは「クラウド市場の競争を阻害している」という主張を否定し、イギリス当局の調査に対して「クラウド市場はうまく機能していると確信している」と回答しています。