トヨタが強すぎる! 8月の登録車販売ランキングTOP10は7台がトヨタ車で圧巻の内容
この記事をまとめると
■2024年8月単月の車名(通称名)別新車販売ランキングではトヨタ一強が鮮明だった
■軽自動車のトップは依然としてN-BOXだが徐々にスペーシアが追い上げてきている
■国内新車販売で圧倒的トップシェアであるトヨタの安定感がランキングに出ている
2024年8月の車名別新車販売台数ランキング
年々ひどくなる酷暑、さらには台風上陸などなど、2024年8月の新車販売は例年以上に逆風が吹き荒れていた。そのような特殊状況ではあるものの、自販連(日本自動車販売協会連合会/登録車)と全軽自協(全国軽自動車協会連合会/軽自動車)それぞれが発表した2024年8月単月の車名(通称名)別新車販売ランキングをみると、トヨタ一強が鮮明となっていた。
ランキングトップ10内におけるトヨタ車の数をかぞえると、登録車のみで7台、軽自動車との合算(含軽統計)でも4台入っていた。登録車のみのランキングでは1位から4位までをトヨタ車が占めている。
登録車で1位となったカローラは、とくにセダンとツーリングについて、いまのトヨタ車のなかでは順調に納車、つまり短めの期間で納車可能となっている。登録車2位のシエンタも新型になったばかりのホンダ・フリードが納車まで約1年待ちとなっているなか、「フリード包囲網」とばかりにフリードより短い納期で販売を続けている。3位のヤリスは売れ筋のヤリスクロスが出荷停止となっていたなかでも、登録車のみで3位を維持している。フリート販売に強いハッチバックの底力発揮といったところかもしれない。ちなみに出荷停止が解除されたヤリスクロスではあるが、話を聞いた時点ではいまだに新規受注はできない状況になっているとのことであった。
ルーミーは10月の改良、そして一時的とされる生産停止を控え生産及び販売がまさにフル稼働している様子が見てとれる。「すでに改良前モデルは各ディーラーが確定台数を販売していくフェーズに入ったとのことです。現行モデル狙いならばとにかく早めに動いたほうがいいでしょう」(事情通)。
軽自動車だけではなく、総合ランキングトップはホンダN-BOXとなっているが、その販売台数は気になるところである。2023年8月は10月の新型(現行モデル)発売を控え先代モデルの在庫処分販売がされていた時期。そうはいっても、すでに新型(現行型)のティザー(事前告知)キャンペーンも始まっており、新型へ流れるお客もいるなか約1.6万台を販売していた。
一方、2024年8月は約1.4万台となり、前年同期比で85.9%となっている。それだけならまだしも、軽自動車及び含軽ランキングでそれぞれ2位となるスズキ・スペーシアとの台数差が3275台とかなり迫られているのである。
2023年8月ではスペーシアは3位となっており、トップN-BOXとはダブルスコアほど差を付けられていた。スペーシアもN-BOXとほぼ同じタイミングで現行モデルを発売しており、スペーシアでは2023年8月時点では在庫がかなり限定的となっていたことも影響していたようだ。2023年8月の軽自動車のみのランキングで2位となっていたのはダイハツ・タントで、1位N-BOXとの差は約6000台だった。タントはダイハツの認証問題によるブランド全体の出荷停止の影響が残っているのか、いまだ本調子とはいえない販売状況が続いている。
その傾向のなか、スペーシアがタントから流れてくるお客の囲い込みに成功している状況が、統計を見て伝わってくる。現状、自社届け出(新車販売台数の上積みのため、メーカー正規系ディーラー名義などでナンバープレートだけつけること)の産物といえる、届け出済み未使用軽中古車の様子をみると、ダイハツ車全般とN-BOXを多く見かけることができる。夏商戦を経たいまでは、日産系軽自動車やスズキもいつもより目立っているが、ダイハツの軽自動車やN-BOXは未使用中古車の流通台数が多く、本来新車で買おうとしていた人も未使用中古車へ流れるようになり、未使用中古車の流通台数も多いので、自社届け出もある意味制限がかかってきているといった見方もでき、販売台数に勢いがないように感じている。
全体1位のホンダN-BOXに忍び寄る影
それもあるのかダイハツでは軽トラック、日産の軽自動車では軽バンといった商用車の未使用中古車がここのところ目立ってきている(ブランド別新車販売台数稼ぎのため?)。
本稿執筆時点では、ホンダが「プレミアム決算フェア」と銘打って、事業年度締め上半期末となる9月の半期決算セールを積極展開している。9月はホンダだけではなく、ほかのブランドでも、事業年度末の3月に次いで新車が売れる時期となっている。現状ではそれまでに受注したものの納車ができていない受注残車両メインで販売台数が積みあがっているが、ホンダは軽自動車だけではなく、短納期可能な車両が目立つのでとくに販売主力車種となるN-BOXが、9月にどこまで販売台数を積み上げ、そして「2024事業年度締め上半期累計販売台数ナンバー1」になるのかが最大の見ものとなるだろう。
ただ、スペーシアは派生モデルの「スペーシア・ギア」を市場投入した。N-BOXもスペーシア・ギアのようなSUV風派生モデル「N-BOX JOY」を発表している。
スペーシア・ギアはすでに現行モデルである程度の成功を納め、スペーシアシリーズとして販売台数上積みにも貢献している。N-BOX JOYの売れ行き次第(苦戦する)では、スペーシアが軽自動車販売トップの常連になる可能性も出てきている。
登録車ではトヨタ一強のなか、ホンダはフリード、日産はノートやセレナといった看板車種が登録車のみのランキングでトップ10入りしている。コンパクトモデルから大型ミニバンまで、まんべんなく好調に販売するトヨタに対し、得意分野死守と防戦一方になっているように見えてならない。
社会不安が高まる現状では、単にモデル、つまりハードだけの魅力だけではなかなか新車も売れなくなってきているようにも見える。また、新車の買い方も残価設定ローンが普及して久しいなか、「再販価値」も重視して購入車種を検討する人も増えており、そうなると、国内新車販売において圧倒的トップシェアブランドであるトヨタの安定感が消費者へのアピール効果を高めているようにも見える。
さらに、他メーカーより納期混乱がまだ残るなか、販売台数自体も多いので受注残車両(受注したものの納車できていない車両)も多く抱えており、8月のような閑散期であってもコンスタントに販売台数を積み上げることとなり、新車販売が活発化する増販期よりも目立ってトヨタの存在感を強めているのである。