(漫画:©︎三田紀房/コルク)

記憶力や論理的思考力・説明力、抽象的な思考能力など、「頭がいい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があり、後天的に獲得している能力は少ないと考える人が多いのではないでしょうか。

その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当の西岡氏は、小学校、中学校では成績が振るわず、高校入学時に東大に合格するなんて誰も思っていなかったような人が、一念発起して勉強し、偏差値を一気に上げて合格するという「リアルドラゴン桜」な実例を集めて全国いろんな学校に教育実践を行う「チームドラゴン桜」を作っています。

そこで集まった知見を基に、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載。連載を再構成し、加筆修正を加えた『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』は、発売後すぐに3万部のベストセラーとなっています。連載第139回はSNSで波紋を呼んだマーク方式の試験に対する、東大生の考えを紹介します。

早稲田大学のマーク方式採点で波紋


先日、早稲田大学で実施されたマーク方式の期末試験において、「不自然な解答をしている」と教授が判断した場合、不正行為とみなして「一律0点」にするといった採点方式が取られたことが、SNS上で大きな波紋を呼びました。

たしかにマーク方式の試験では、答えがわからなくても、適当にマークを塗りつぶせば点数が取れることがあります。それを「不正」と呼ぶかどうかは議論が分かれるところですが、空欄にしたほうが「自分の本当の実力」と考えられるかもしれません。

一方で、多くの東大生はこのニュースに対して違和感を持っているようです。「マーク試験は、わからなくてもマークをするべきだ」という考え方もあります。そのほうが、長期的に見て学力アップにつながるのではないか、と。今回はその理由をみなさんにお話ししたいと思います。

まずは『ドラゴン桜2』のワンシーンをご紹介します。これは、「当てずっぽう」の運で生徒が点数を取ったことを、桜木先生が褒めているシーンです。

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(漫画:©︎三田紀房/コルク)





(漫画:©︎三田紀房/コルク)




(漫画:©︎三田紀房/コルク)



(漫画:©︎三田紀房/コルク)

「わからない問題でマークしなかった」天野くんを叱り、「運でいい点数を取った」早瀬さんを褒めています。

おそらくですが、桜木先生は「点数に拘泥する姿勢」を褒めているのだと思います。天野くんは、「わからないから」という理由で、マークをしていません。


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でも、テストでは「点数を1点でも稼ぐ姿勢」が必要不可欠です。難しい問題でも点数を取ろうと懸命に考えて、とにかく解答欄を埋めるという姿勢が大切なのです。逆にそういう姿勢がないと、「これは難しいから解かなくていいや」と、難しい問題で粘らなくなってしまいます。

また、マーク試験で「答えがわからない」という程度にも、グラデーションがありますよね。「まるっきり本当に、どれが正解か1ミリもわからない!」というときに鉛筆を転がしてマークするというのは、確かに自分の実力を測るテストにおいてよくない行為かもしれません。

「わからない」にもいろんな程度がある

でも、「本当にまるっきりわからない」という以外にも、いろんな「わからない」があります。「『ア』じゃないことはわかるんだけど、『イ』『ウ』『エ』のうちどれが正解かわからないんだよな」と思うときもあるでしょう。

「書き方的に、なんとなく『ウ』の可能性が高そうだと思うんだけれど、どうなんだろうなぁ」と考えている場合もあるでしょう。わからないなら、わからないなりにあがいて、「ここは、『イ』にしておこう。自信ないけど!」と考えるのも大切なことなのです。

わからなくてもあがいてマークをしたほうがよいですし、それをまるっきり「運がいいから当たった」というふうに断じるべきではありません。

逆にいえば、マーク試験では全員が全員、すべての問題で「絶対これは『ア』だ! 間違いない!『イ』『ウ』『エ』は間違っているし、『ア』で書かれている内容も正しいもん!」と考えて解答していることはないはずです。

「点数に拘泥する姿勢」を持つこと。そのために、わからなくても答えを書こうとすること。これはとても重要な行為だと思います。ぜひみなさん、参考にしてみてください。

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(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)