(イラスト◎大野舞)

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スピリチュアリストとして、さまざまな角度から読者のお悩みに答え、生きる指針を示してくれる江原啓之さん。現在は熱海に在住し、ていねいな暮らしをしながら日々「生きる上で大切なこと」を発信し続けています。『婦人公論』のリニューアルにあたって始まった新連載「〈幸せぐせ〉を身に着けよう」。第33回は「順番で自治会の役員になったが、何かと役割が多く休日がつぶれて負担」です。

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Q 順番で自治会の役員になったが、何かと役割が多く休日がつぶれて負担

A)理由を作って役員を辞める

B)頑張って続ける

生活する中で生じる役割

読者のなかには賃貸の集合住宅にお住まいで、自治会には入っていないという方もいるかもしれません。そうすると役員などの負担はないでしょう。また、自治会の活動内容も地域によって千差万別。役員であっても回覧板を回すくらいしか仕事がなく、さほど大変ではないというところもあると思いますが、ぜひ今回のテーマを一緒に考えてみてください。

昔ながらに葬儀の手伝いを自治会で担ったり、地域のお祭りや盆踊りなどの運営があったり。ゴミ集積所の掃除、公園や土手の草刈りといった奉仕作業、会費の集金など、自治会によっては多種多様な仕事があるものです。マンションにお住まいの方なら、管理組合や理事会があって、住民がある程度の自治を任うところもあるでしょう。住民からのクレーム処理や、共用部分の修繕をどこに頼むかなどを理事会で決める場合もあります。そのような自治会の役員となり、それが負担とのことですが、みなさんはどう思いますか?

義務と権利はセット

答えの予想がついていた方もいるかもしれませんが、幸せぐせは、Bの「頑張って続ける」です。「順番で」と前置きがあるのを見ると、きっと任期を終えたら次の方に代わる当番制だと思われます。その点も重要で、期限があるのだから頑張るべきではないでしょうか。

その地域に住んでいる限り、原則、地域のルールに従うのは当たり前。安全で平和な町を維持するためにも、住民同士、ある程度の役割を担わなければならないのは明白でしょう。「義務と権利はセット」という言葉がありますが、義務を果たさずして権利は主張できないのです。なかには「うちは地域の仲間に入れてもらわなくて結構。だから自治会には入りたくない」と言う方もいるかもしれません。そうなると、自治会が管理するゴミ集積所を利用できないなどの制限も出てきます。自分で役所と交渉してゴミを出す場所を別に作るなり、処理場までゴミを運ぶなりして、すべて自分たちだけでできるなら、それもひとつの生き方だとは思うものの、そこまでの覚悟はあるのでしょうか?

いったんは役員を引き受けたのに休日がつぶれるのがイヤだから辞めたいというのは、身勝手。役員の義務を果たさずして、自治会には残りたいと権利ばかり主張するのは、いかがなものでしょうか。


(イラスト◎大野舞)

メリットにも目を向けて

人とのコミュニケーションが稀薄な現代社会において、自治会というコミュニティは必要ない、各自がそれぞれにやればいいという人もいるかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか? それぞれが勝手なルールで生活して、住みやすい町は成り立つのでしょうか? たかが自治会やご近所付き合いといえども、その人の生き方や人間性が表れるものです。

小学生のとき、掃除当番や給食当番が面倒でイヤだったという人はいますよね。子どもの頃なら、先生から「掃除当番ですよ」と決められれば、我慢して最後までやらなければいけなかったでしょう。けれど、大人になって先生のような強制力を持った人がいなくなったからやらない、と主張しているだけのように思えてなりません。そんな自分勝手な言動をとるのは、大人になりきれていない証拠。

私は、役員として自治会に参加するメリットもあると思います。というのも参加して意見を出したほうが、自治会に対する不満は少なくなるからです。もし役員のなり手がいなくて、同じ人が長年続けた結果、いつのまにか運営が私物化されていたら? マンションの理事会による共用部分の管理がずさんで、必要のないところまで修繕してしまっていたら? こうした苦情を、私は実際に聞いたことがあります。自分が役員として参加していたら、住民から集めた自治会費の使われ方や修繕業者の選定なども、ある程度わかるはず。行事や会議に参加するのは大変かもしれませんが、「勝手に決められた」という不満はなくなるでしょう。なかには、マンションの理事会で意見を述べたり、アイデアを出したりと積極的に参加して、マンション全体のルールを変えたという方もいます。

たとえば、自治会長さんが市議会議員で顔が広く、困りごとの相談に乗ってくれた。お店を始めることになり、町内会の人がお客として来てくれたり、宣伝してくれたりして助かった。自治会を通して地域の人と交流を深めれば、こうした嬉しい出来事も大いにありうるのです。

ただし、役員の任期がない場合は、あまりに負担が大きいですよね。そうしたときは、役員在任中に当番制を提案してみてはいかがでしょうか。もしかしたら「短い期間ならやってもいい」と、手を挙げる人が出てくるかもしれません。共助のためにも、近所の人とは付かず離れず、ほどよい関係を続けるのがベストです。ですから、期限までは頑張って最低限の役割をまっとうするのが幸せの道と言えるでしょう。

前回「夫の介護を娘が手伝いたいと言ってきた。受け入れる?受け入れない?どちらが〈幸せぐせ〉か」はこちら