準優勝に終わった高校侍 「甲子園不出場組」ゼロのチーム編成は是か非か U-18アジア野球選手権

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小倉監督率いる侍ジャパン高校日本代表は、惜しくも決勝で台湾に敗れた(C)産経新聞社

 アジアの頂点にはあと一歩、届きませんでした。

 このほど台湾で行われたU−18アジア野球選手権に出場した侍ジャパン高校日本代表です。日大三高の指揮官として2度の全国制覇を成し遂げた名将・小倉全由監督のもと、18人の精鋭が日の丸をつけて奮闘。決勝へと駒を進めましたが、台湾の前に1−6と完敗。銀メダルに終わったのです。

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 スポーツメディアの関係者は言います。

「決勝で台湾が投げた投手はともに150キロ超を投げるパワーピッチャーで、日本代表の打者陣が『高校野球では見たことのないボールだった』とコメントしていたのが印象的でした。夏の地方大会、甲子園大会にピークを持っていく日本代表と、ホスト国として今大会に懸けていた台湾代表の差が最後の最後に出た試合だったと言えるでしょう。今大会の日本代表18人は全て夏の甲子園大会に出場していますから。疲労も抜けていなかったと思います」

 ここで一つ、素朴な疑問が浮かびます。

 昨年のU−18ワールドカップでは、明徳義塾監督の馬淵史郎監督が采配を振るう中、史上初の世界一に輝きました。その原動力となったのが、大阪桐蔭・前田悠伍(現ソフトバンク)、横浜高・緒方蓮(現国学院大)、霞ヶ浦・木村優人(現ロッテ)ら「甲子園不出場組」だったのです。

 前述の関係者は続けます。

「昨年のU−18ワールドカップでは、猛暑の甲子園で決勝まで戦い抜いた慶応高の丸田湊斗や仙台育英勢が序盤、精彩を欠く中で、国際大会へとしっかり調整をしてきた前田や緒方、木村らの活躍は目覚ましいものがありました。地方大会で敗退していることから疲労とは無縁ですし、『もう一度活躍するんだ』とモチベーションも高かった。甲子園に出られなかった高校球児に対しても『まだまだ日本代表で活躍の機会があるぞ』というメッセージは励みになると思っていたら、今大会は全員が甲子園組。2、3人でいいですから、フレッシュな逸材を選ぶのも手だったと思うんですよね」

 しかし、これも結果論。もしもアジア王者になっていたら、「やはり甲子園組の勝負強さは本物」という論調になっていたでしょうから、一概には断言できないかもしれません。

 それでも、こんなメンバーを選考しても面白かったと、前述の関係者は言うのです。

「中央学院の颯佐心汰はショートもリリーフ投手もできる二刀流。ベンチに入れておけば何かと役だったはずです。打線の起爆剤という意味では桐光学園の森駿太、愛工大名電の石見颯真あたりの打力が台湾投手陣にどう対応できたのかも、見たかったところです」

 高校日本代表は全ての高校球児にとっての憧れ。今回の反省を生かし、来年どんなチーム編成が行われるのか、期待しましょう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]