小中学生の“本塁打狙い”は正解か 飛ぶバットの弊害も…専門家推奨の「打球角度」
選手個々に合った打球角度とは…スマホ1つでできる計測方法を専門家が紹介
本塁打を打つためには、適切な打球角度が必要になる。ただ、学年や個々の能力にあった適切な“角度”を知らないと凡フライを打ち続け、出場機会を失う。オリックスの杉本裕太郎外野手ら30人以上プロ野球選手を指導してきた高島誠氏は、「本塁打を打つにも条件はある。まずは自分を知ることが大切」とアドバイスを送る。
打撃の正解は「本塁打を打つ形」とも言われるが、一発を狙いすぎて、極端な打球角度をつけるスイングを行う選手が増えている。特にウレタン素材などを使用した複合バットを使う小学生に目立つ傾向があるという。高島氏は「打てる打球スピードがあるかが重要。打球スピードがないのに角度をつけた打球は、ただの凡フライです」と指摘する。
体が成長していく中学、高校を見据え、小学生時代に凡フライになる打球を打ち続けているのが正解なのか……。高島氏は、プロを含めて好打者の条件を「打ちそこないがヒットになる確率が高い選手」だといい、杉本にも「角度を上げすぎないように、とは言っている」と、適切な打球角度を推奨している。
最も長打が出やすいとされる打球角度と打球速度の範囲を「バレルゾーン」といい、その範囲を求める打者は多い。しかし「打球角度は26〜30度ですが、打球スピードは約158キロが必要です。小学生で出せる選手はほとんどいません」。よって角度を上げるのは、しっかりと体ができて打球スピードが増してからで十分と考えている。
小学生なら10度、中学生なら12度〜15度を目安に
高島氏が考える打球角度は小学生なら10度、中学生なら12度〜15度が目安。多少、打ち損じても、内野と外野の間に打球が落ちるため、自然と安打が増えていくからだ。そして、打球角度はスマートフォン1つで計測できる。
iPhoneを使った一例になるが、まず、打者は置きティーでスイング。その様子を真横から動画撮影し、打球が上がっていく場面でスクリーンショットする。そして、画像編集画面の定規マークのアイコンを使い、ティーを支点として打球を定規に合わせることで打球角度が判明する。
「それで、コンスタントに狙った打球角度が出せているかを確認してください。慣れてきたならば、(立ち位置やティーの高さで)コースを変えながら同じように確認していくと、より良いでしょう」。何を目的に練習をするのか――。結果を残せる選手になるためには、自分を知ることが一番の近道になる。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)