JAL、国内線A350などで搭乗順序変更 窓側席を早期案内、東工大との混雑緩和研究で
日本航空(JAL)は9月11日、搭乗時の機内混雑緩和のため、双通路のワイドボディ機で運航する国内線の搭乗方法を変更した。グループ番号順を導入した2021年7月以来、約3年ぶりの変更で、搭乗時間の短縮により定時性や快適性の向上を見込む。
従来の搭乗方法は、2歳以下の子ども連れや車いす利用者などを対象とした事前改札に続き、JMB上級会員を「グループ1・2」、座席番号40番以降と非常口座席を「グループ3」、座席番号20番以降を「グループ4」、その他の座席を「グループ5」として順番に案内していた。
新たな搭乗方法では、事前改札とグループ1・2については従来通りで、グループ3を座席番号40番以降と非常口座席に加えて窓側席(A・K列)も対象とし、グループ4をその他の座席に変更。グループ5は廃止となる。
これに合わせて、旅客搭乗橋(PBB)の使い分けも変更。従来は機体前方のL1ドアにつながるPBBがファーストクラスとクラスJ用、その後方のL2ドアにつながるPBBが普通席用だったが、11日からは、L1側はファーストクラスとクラスJに加えて普通席の右側(F・G・H・J・K列)も対象となり、L2側は普通席の左側(A・B・C・D・E列)用とする。
ボーイング737-800型機など単通路のナローボディ機での運航便については、いずれも従来通りで案内する。
搭乗方法の変更は、JALと東京工業大学による機内混雑緩和に向けた共同研究の結果を反映したもの。研究では2022年度から、エアバスA350-900型機で運航する基幹路線のうち、7便の機内の通路やドア付近に360度カメラを計6台設置して乗客の搭乗時の動きを調査。改札の通過時間や歩行速度、立ち止まるタイミング、手荷物の種類や数、収納に要する時間などのデータから搭乗シミュレーションモデルを構築した。そのモデルを使って12種類の搭乗方法とPBBの使い割け2種類について1,000通りのシミュレーションを行い、実際のオペレーションを考慮して最も合理的な方法を選んだ。
[caption id="attachment_312564" align="alignnone" width="900"] ▲東京工業大学 環境・社会理工学院 建築学系 大佛俊泰教授[/caption]
従来、A350-900型機の搭乗時間は平均20分程度かかっていたが、東京工業大学 環境・社会理工学院 建築学系の大佛俊泰教授によると、新たな搭乗方法の導入によって約50秒の短縮効果が見込めるという。
変更初日、座席数391席に対し333名(ほか幼児15名)が利用した東京/羽田発沖縄/那覇行きJL915便(A350-900型機、機体記号:JA01XJ)では、午前11時41分に事前改札が始まり、同49分に一般搭乗(グループ1〜4)が開始、同57分に最後の乗客が改札を通過、正午に搭乗が終了した。
JALによると、国際線の搭乗順序は現在のところ変更の予定はないが、国内線での結果次第では変更を検討する可能性もあるという。