ASUSがCopilot+ PCを一挙拡充! 新素材のZenbookは“触りごこち”も良好
ドイツ・ベルリンで開催したASUSの新PC発表イベント。「Always Incredible」と書かれた看板が至る所に貼られていた
ASUSは9月4日(ドイツ時間)、大型エレクトロニクスショー「IFA 2024」に先駆け、現地ドイツ・ベルリンにて最新のIntelプロセッサ「Core Ultra シリーズ2」などを搭載したノートPC製品発表イベントを開催した。キーワードの「Always Incredible」は特にAIの文字が協調され、高いAI処理性能を備えた「AI PC」のローンチを祝うイベントとなった。
発表されたPC新製品は薄型軽量の高機能ノートPC「Zenbook」、高い強度とデザイン性を備えたノートPC「Vivobook」、ビジネス向けのノートPC「ExpertBook」、小型デスクトップPC「NUC Mini PC」など。いずれも11月の機能アップデートを見据えたCopilot+ PCの扱いとなる。
AI PCとしての能力を発揮する用途の一つとして紹介されたのが、新しいZenbookとVivobookに搭載される独自ソフトの「StoryCube」だ。
これはPC上でローカル実行されるAI技術を活用した画像・動画管理ツールで、AIがコンテンツの内容を識別しファイルを自動的に分類するという。現在「People(人物)」「Scene(場面)」の認識が可能となっており、ある人が写っている画像だけを抽出したり、「スキー」「ハイキング」などの場面が含まれる画像を検索したりできる。
新しいZenbookおよびVivobookには独自のAIアプリ「StoryCube」が、Copilot+ PCとなる新モデル全てに搭載されるという
このような機能は既に多くのクラウドストレージサービスからも提供されているが、クラウドの場合データの容量が大きいとサービス料金が高額になるほか、サービス事業者側にコンテンツの内容を分析されるという点で、プライバシーが気がかりな面もある。
StoryCubeは、ソフトの使用状況など品質改善のための匿名化されたデータは一部取得するものの、AIによるコンテンツの分析自体はローカルで完結し、クラウド側へは送信されない仕組みとなっているのが特徴だ。
StoryCubeはQualcommのSnapdragon X Eliteを搭載した「Vivobook S 15」や、AMDのRyzen AI 9を搭載した「ProArt」シリーズなどにも提供されているが、今回Intel製CPUを搭載した多数のモデルに拡大したことで、ASUS独自のAI機能の提供が本格化する格好となる。
ASUSはクアルコムの最新プロセッサ「Snapdragon X Plus」(X1P-42-100)を搭載した13.3型2in1ノートPCや15.6型ノートPCなども同じタイミングで発表しているが、今回参加した発表イベントではIntel Core Ultra シリーズ2搭載ノートPCのみを発表、展示していた。
○最大120TOPS&長時間駆動のCore Ultra シリーズ2を積極採用
コードネーム「Lunar Lake」で知られるIntel Core Ultra シリーズ2は、前世代のMeteor Lakeと同じく、AI処理向けのNPUを備えており、CPU・GPU・NPUなどプロセッサ全体で最大120TOPSという高い処理性能を持つ。
Copilot+ PC機能は、これまでQualcommのSnapdragon X EliteおよびX Plusプロセッサを搭載したPCのみに提供されていた。しかし今回のCore Ultra シリーズ2および、6月3日に発表されたAMDのRyzen AI 300シリーズはNPU単体でもMicrosoftの「Copilot+ PC」の基準を満たす40 TOPS以上を実現しており、2024年11月からはIntelとAMDの最新プロセッサを搭載したWindows 11 PCであれば「Copilot+ PC」機能が無料で機能アップデート提供される予定だ。
ASUSのWilliam Huang氏(同社General Manager of W.EMEA)は冒頭“インテル社とは30年以上にわたる協力がある”と前置き。また、発表会の中では、Lunar Lakeは前世代のプロセッサと比べグラフィックス性能が50%、効率が40%向上したことが紹介された。Lunar Lake搭載モデルの開発はIntelと共同で2年前から進めてきたといい、最大TDP 45WのMeteor Lakeに比べても、最大TDP 37WのLunar Lakeのほうが高い性能を発揮できるとした。
35年にわたるASUSのプロダクト変遷。Intelとの協力関係も30年以上におよぶ
○セラミック+アルミの新素材が魅力、Zenbook S 14
多くの新製品を発表したASUSだが、ここでは注目の3モデルを紹介したい。まずは薄型軽量の高性能ノートPCシリーズ、Zenbookの最新モデルで14型3K OLEDディスプレイの「Zenbook S 14」。
Zenbook S 14の実機。1.1cmの厚みや72Whバッテリー搭載ながら1.2kgの軽さも特徴だ。なお16型モデルも同時発表されている
外装に、アルミをハイテクセラミックで強化した独自素材「Ceraluminum」を採用。特殊な加工で色とテクスチャを付け、幾何学的な天板デザインとした。厚さは11mmと薄く、72Whバッテリー搭載ながら重さ1.2kgと薄型軽量な点も特徴となる。なおキーボード面には冷却効率を高めるため2,715もの通気口を開けているとのこと(ジオメトリックグリルデザインと呼称)。
Core Ultra シリーズ2のCore 7/9プロセッサを搭載し、マザーボードのサイズは従来の14型から27%小型化し、13型Zenbookと同程度になったという。画面は3K 120HzのOLEDで、メモリは最大32GB、ストレージは最大1TB。4基のスピーカーを搭載する。価格は1,499ユーロからで、すでに予約を開始。10月に出荷予定という。
セラミックとアルミを組み合わせた独自素材「Ceraluminum」を開発
加工で色とテクスチャを付与。カラーはホワイトとグレーの2色
Zenbook S 14のマザーボード。中央にCore Ultra シリーズ2プロセッサが載っている
Zenbook S 14の構造を紹介する展示
Zenbook S 14の天板。「Ceraluminum」を使った天板は反射のない陶器のような見た目で“しっとり滑らか”な心地よい手触りだった。幾何学模様も高品位
こちらはグレーのモデル
展示機ではIntel Core Ultra 9 288Vプロセッサ(32GBメモリ)を内蔵
Zenbook S 14の概要。バッテリー駆動時間は最大27時間
○ビジネス向けPCの新シリーズ、ExpertBook P
ビジネス向けモデル「ExpertBook」からは、Core Ultra シリーズ2を搭載した新たなラインナップとなる「ExpertBook P」シリーズが登場。14型または15.6型で最大144Hzリフレッシュレートを実現、産業用のリサイクルアルミ合金などを採用し環境負荷にも配慮した新しいフォームファクタとなる。
ExpertBook Pシリーズの実機(画像はP3)。14型のディスプレイは2.5K解像度・144Hzで、画面占有率90%の狭額縁デザインだ
「Trusted Platform Module」(TPM 2.0)などのセキュリティ機能を内蔵し、マカフィーのセキュリティソフト「McAfee+ Premium」も1年間無料で利用可能。またAI機能としてオンライン会議の文字起こしや翻訳、要約などを表示する独自アプリ「ASUS AI ExpertMeet」を搭載する。
本体はMIL-STD-810Hに準拠した堅牢性を備えながら、厚みを14.9mm、重さを1.29kgに抑えた。バッテリー駆動時間は最大28時間。メモリは最大32GB、ストレージは最大3TBを搭載可能。価格はベースモデルのP1で599ユーロから、上位モデルのP5で999ユーロから。出荷は10月を予定。
天板を閉じたところ。MIL-STD-810Hに準拠しながら薄型の筐体デザインとなっている
ExpertBook Pシリーズのマザーボードに載っているCore Ultraシリーズ2。左側にある2つの黒い四角が統合されたメインメモリ、中央にあるのが各タイル(コンピュート・タイル、プラットフォーム・コントローラー・タイル、フィルター・タイル)だ
ExpertBookシリーズの新たなラインナップ
○ついにNUCもCopilot+ PCに、NUC 14 Pro AI
小型デスクトップPC「NUC」シリーズにも、Core Ultra シリーズ2を搭載した新モデルが発表された。
NUC 14 Pro AIの実機。最大でCore Ultra 9プロセッサを搭載可能。前面右側にCopilotキーも備える
ASUSは2023年7月にIntelから小型PC事業「NUC」を引き継いでおり、「ASUS NUC 14 Pro AI」は高さ34mm・幅130mm・奥行130mmのコンパクトな筐体(0.6L)にCore Ultraシリーズ2を搭載した最新モデル。対応するAIアプリは前世代と比べ最大3倍のAI性能を提供するという。こちらもCopilot+ PCの要件を満たす“Copilot+ PC レディ”の製品だ。
インタフェースはThunderbolt 4×2や2.5G対応イーサネット、USB 3.2 Gen 2およびGen 1、HDMI、Bluetooth 5.4、Wi-Fi 7など豊富に搭載。前面にCopilotキー(ボタン)を搭載している点もユニークだ。小型デスクトップ型のCopilot+ PCは本機くらいとなるため、販売を期待して待ちたい。
NUC 14 Pro AIのインタフェース側
画面が360度回転する「Vivobook 16 Flip」もCore Ultraシリーズ2搭載の新モデルが登場
このほか若年層向けのスタンダードブランド「Vivobook」の新モデル「Vivobook S 14」もCore Ultraシリーズ2モデルが追加された。価格は1,299ユーロから
ASUSは9月4日(ドイツ時間)、大型エレクトロニクスショー「IFA 2024」に先駆け、現地ドイツ・ベルリンにて最新のIntelプロセッサ「Core Ultra シリーズ2」などを搭載したノートPC製品発表イベントを開催した。キーワードの「Always Incredible」は特にAIの文字が協調され、高いAI処理性能を備えた「AI PC」のローンチを祝うイベントとなった。
AI PCとしての能力を発揮する用途の一つとして紹介されたのが、新しいZenbookとVivobookに搭載される独自ソフトの「StoryCube」だ。
これはPC上でローカル実行されるAI技術を活用した画像・動画管理ツールで、AIがコンテンツの内容を識別しファイルを自動的に分類するという。現在「People(人物)」「Scene(場面)」の認識が可能となっており、ある人が写っている画像だけを抽出したり、「スキー」「ハイキング」などの場面が含まれる画像を検索したりできる。
新しいZenbookおよびVivobookには独自のAIアプリ「StoryCube」が、Copilot+ PCとなる新モデル全てに搭載されるという
このような機能は既に多くのクラウドストレージサービスからも提供されているが、クラウドの場合データの容量が大きいとサービス料金が高額になるほか、サービス事業者側にコンテンツの内容を分析されるという点で、プライバシーが気がかりな面もある。
StoryCubeは、ソフトの使用状況など品質改善のための匿名化されたデータは一部取得するものの、AIによるコンテンツの分析自体はローカルで完結し、クラウド側へは送信されない仕組みとなっているのが特徴だ。
StoryCubeはQualcommのSnapdragon X Eliteを搭載した「Vivobook S 15」や、AMDのRyzen AI 9を搭載した「ProArt」シリーズなどにも提供されているが、今回Intel製CPUを搭載した多数のモデルに拡大したことで、ASUS独自のAI機能の提供が本格化する格好となる。
ASUSはクアルコムの最新プロセッサ「Snapdragon X Plus」(X1P-42-100)を搭載した13.3型2in1ノートPCや15.6型ノートPCなども同じタイミングで発表しているが、今回参加した発表イベントではIntel Core Ultra シリーズ2搭載ノートPCのみを発表、展示していた。
○最大120TOPS&長時間駆動のCore Ultra シリーズ2を積極採用
コードネーム「Lunar Lake」で知られるIntel Core Ultra シリーズ2は、前世代のMeteor Lakeと同じく、AI処理向けのNPUを備えており、CPU・GPU・NPUなどプロセッサ全体で最大120TOPSという高い処理性能を持つ。
Copilot+ PC機能は、これまでQualcommのSnapdragon X EliteおよびX Plusプロセッサを搭載したPCのみに提供されていた。しかし今回のCore Ultra シリーズ2および、6月3日に発表されたAMDのRyzen AI 300シリーズはNPU単体でもMicrosoftの「Copilot+ PC」の基準を満たす40 TOPS以上を実現しており、2024年11月からはIntelとAMDの最新プロセッサを搭載したWindows 11 PCであれば「Copilot+ PC」機能が無料で機能アップデート提供される予定だ。
ASUSのWilliam Huang氏(同社General Manager of W.EMEA)は冒頭“インテル社とは30年以上にわたる協力がある”と前置き。また、発表会の中では、Lunar Lakeは前世代のプロセッサと比べグラフィックス性能が50%、効率が40%向上したことが紹介された。Lunar Lake搭載モデルの開発はIntelと共同で2年前から進めてきたといい、最大TDP 45WのMeteor Lakeに比べても、最大TDP 37WのLunar Lakeのほうが高い性能を発揮できるとした。
35年にわたるASUSのプロダクト変遷。Intelとの協力関係も30年以上におよぶ
○セラミック+アルミの新素材が魅力、Zenbook S 14
多くの新製品を発表したASUSだが、ここでは注目の3モデルを紹介したい。まずは薄型軽量の高性能ノートPCシリーズ、Zenbookの最新モデルで14型3K OLEDディスプレイの「Zenbook S 14」。
Zenbook S 14の実機。1.1cmの厚みや72Whバッテリー搭載ながら1.2kgの軽さも特徴だ。なお16型モデルも同時発表されている
外装に、アルミをハイテクセラミックで強化した独自素材「Ceraluminum」を採用。特殊な加工で色とテクスチャを付け、幾何学的な天板デザインとした。厚さは11mmと薄く、72Whバッテリー搭載ながら重さ1.2kgと薄型軽量な点も特徴となる。なおキーボード面には冷却効率を高めるため2,715もの通気口を開けているとのこと(ジオメトリックグリルデザインと呼称)。
Core Ultra シリーズ2のCore 7/9プロセッサを搭載し、マザーボードのサイズは従来の14型から27%小型化し、13型Zenbookと同程度になったという。画面は3K 120HzのOLEDで、メモリは最大32GB、ストレージは最大1TB。4基のスピーカーを搭載する。価格は1,499ユーロからで、すでに予約を開始。10月に出荷予定という。
セラミックとアルミを組み合わせた独自素材「Ceraluminum」を開発
加工で色とテクスチャを付与。カラーはホワイトとグレーの2色
Zenbook S 14のマザーボード。中央にCore Ultra シリーズ2プロセッサが載っている
Zenbook S 14の構造を紹介する展示
Zenbook S 14の天板。「Ceraluminum」を使った天板は反射のない陶器のような見た目で“しっとり滑らか”な心地よい手触りだった。幾何学模様も高品位
こちらはグレーのモデル
展示機ではIntel Core Ultra 9 288Vプロセッサ(32GBメモリ)を内蔵
Zenbook S 14の概要。バッテリー駆動時間は最大27時間
○ビジネス向けPCの新シリーズ、ExpertBook P
ビジネス向けモデル「ExpertBook」からは、Core Ultra シリーズ2を搭載した新たなラインナップとなる「ExpertBook P」シリーズが登場。14型または15.6型で最大144Hzリフレッシュレートを実現、産業用のリサイクルアルミ合金などを採用し環境負荷にも配慮した新しいフォームファクタとなる。
ExpertBook Pシリーズの実機(画像はP3)。14型のディスプレイは2.5K解像度・144Hzで、画面占有率90%の狭額縁デザインだ
「Trusted Platform Module」(TPM 2.0)などのセキュリティ機能を内蔵し、マカフィーのセキュリティソフト「McAfee+ Premium」も1年間無料で利用可能。またAI機能としてオンライン会議の文字起こしや翻訳、要約などを表示する独自アプリ「ASUS AI ExpertMeet」を搭載する。
本体はMIL-STD-810Hに準拠した堅牢性を備えながら、厚みを14.9mm、重さを1.29kgに抑えた。バッテリー駆動時間は最大28時間。メモリは最大32GB、ストレージは最大3TBを搭載可能。価格はベースモデルのP1で599ユーロから、上位モデルのP5で999ユーロから。出荷は10月を予定。
天板を閉じたところ。MIL-STD-810Hに準拠しながら薄型の筐体デザインとなっている
ExpertBook Pシリーズのマザーボードに載っているCore Ultraシリーズ2。左側にある2つの黒い四角が統合されたメインメモリ、中央にあるのが各タイル(コンピュート・タイル、プラットフォーム・コントローラー・タイル、フィルター・タイル)だ
ExpertBookシリーズの新たなラインナップ
○ついにNUCもCopilot+ PCに、NUC 14 Pro AI
小型デスクトップPC「NUC」シリーズにも、Core Ultra シリーズ2を搭載した新モデルが発表された。
NUC 14 Pro AIの実機。最大でCore Ultra 9プロセッサを搭載可能。前面右側にCopilotキーも備える
ASUSは2023年7月にIntelから小型PC事業「NUC」を引き継いでおり、「ASUS NUC 14 Pro AI」は高さ34mm・幅130mm・奥行130mmのコンパクトな筐体(0.6L)にCore Ultraシリーズ2を搭載した最新モデル。対応するAIアプリは前世代と比べ最大3倍のAI性能を提供するという。こちらもCopilot+ PCの要件を満たす“Copilot+ PC レディ”の製品だ。
インタフェースはThunderbolt 4×2や2.5G対応イーサネット、USB 3.2 Gen 2およびGen 1、HDMI、Bluetooth 5.4、Wi-Fi 7など豊富に搭載。前面にCopilotキー(ボタン)を搭載している点もユニークだ。小型デスクトップ型のCopilot+ PCは本機くらいとなるため、販売を期待して待ちたい。
NUC 14 Pro AIのインタフェース側
画面が360度回転する「Vivobook 16 Flip」もCore Ultraシリーズ2搭載の新モデルが登場
このほか若年層向けのスタンダードブランド「Vivobook」の新モデル「Vivobook S 14」もCore Ultraシリーズ2モデルが追加された。価格は1,299ユーロから