大谷50−50は「普通のやり方では達成しない」 最終盤のMLBに“超人”糸井氏が熱視線
「ABEMA」で「宣伝本部長」に就任、佳境のMLBを大いに盛り上げる
日本ハム、オリックス、阪神で強打の外野手として活躍し、抜群の身体能力から“超人”の異名を執った糸井嘉男氏。2022年限りで現役を引退し、現在は野球解説者としてプロ野球はもちろん、「ABEMA」のMLB中継でもおなじみだ。9日から始まる「どこでもアベマでMLBキャンペーン」では「宣伝本部長」を務め、最終盤を迎えたMLBを盛り上げる。
地区優勝やワイルドカードを巡る熾烈な争いもさることながら、今ファンの最も大きな関心事と言えば、ドジャース・大谷翔平選手の「50-50(50本塁打-50盗塁)」の達成だろう。そこで、超人・糸井氏だからこそわかる、超人・大谷の本当のすごさとは何か──。思いの丈を語ってもらった。
「193センチ、95キロの人が1試合3盗塁したら、普通は次の日に寝込む」
大谷は8月23日(日本時間24日)に史上6人目の40本塁打&40盗塁を達成。現在は史上初の50-50へ向けて猛進中である。糸井氏は「彼のことだから、普通に達成するのではなく、シーズン最終戦に達成するとか、ドラマティックに決めるのではないですか? 『もう無理そうだ』と思わせておいて、1試合3本塁打で決めるとか……。不可能を可能にする男ですから」と見ている。
糸井氏が特に注目するのは、“走力”における大谷の格段の進化だ。今月2日(同3日)のダイヤモンドバックス戦では自己最多タイの1試合3盗塁をマーク。最終的には過去自己最多の年間26盗塁(2021年)の倍にも達する勢いだ。
自身もオリックス時代の2016年に35歳で53盗塁をマークし盗塁王のタイトルを獲得している糸井氏は、「大谷くんのように193センチ、95キロの人が1試合3盗塁したら、普通は次の日に寝込むことになります。僕も体が大きい方(188センチ、92キロ)でしたが、それくらい足に大きな負担がかかり、消耗が激しいものなのです。それを大谷くんは簡単にやってのけているように見えます」と目を丸くする。
もっとも糸井氏は今年、春季キャンプでの大谷の様子を見た時点で、盗塁増をある程度予想していた。「昨年とは走り方が変わりました。僕も現役時代に陸上競技のコーチからアドバイスを受けたことがありますが、普通の人は速く走ろうとする時に足指でしっかり地面を蹴ろうとするのに対し、陸上選手は(跳ねるように足裏の)接地時間が非常に短い。今年の大谷くんも、つま先で地面を小刻みに叩くイメージで走っています」と説明。「春のキャンプでスプリント練習に力を入れていたので、それが裏付けになっているのだと思います」と指摘した。
開幕当初にあった一抹の不安「手から帰塁できないのではないか」
ただ、一抹の懸念要素もあった。大谷が昨年9月に右肘を手術していることから、「当分は一塁に出て牽制球を投げられた時、手から帰塁できないのではないか。そうなると、リードもあまり取れないのではないか」(糸井氏)という点だ。実際、開幕当初の大谷は帰塁の際、もっぱら足から滑り込んでいた。それでも「今は手から戻るシーンを見ますし、盗塁のペースもどんどん上がってきた。肘の状態もいいのでしょう」というのが現状の見立て。「とにかくリハビリをしながらこの数字ですから、驚くばかりです」と苦笑した。
ドジャースは現在、メジャー最高勝率でナ・リーグ西地区の首位を走っているだけに、今季はポストシーズンでも大谷のプレーを見ることができそうだ。「エンゼルス時代から『熱い戦いがしたい』と言ってきた大谷くんが、メジャー7年目にして初めてのポストシーズンですからね。そこを目指してやってきたことを再確認し、感動、満足感を得られる舞台になると思います」と糸井氏。昨年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)がそうであったように、ファンは普段とはまた違う大谷の魅力を堪能できそうだ。
今季はポストシーズンには、ダルビッシュ有投手と松井裕樹投手を擁するパドレス、菊池雄星投手をトレードで獲得したアストロズ、今永昇太投手と鈴木誠也外野手が活躍中のカブスも進出する可能性があり、楽しみは広がる。
「日本人選手だけでなく、伸び盛りで、これからスーパースターになろうという選手を見るのも楽しいですよ。スケールが桁違いの選手がいます」と糸井氏は付け加える。代表的な例として、オリオールズの若き二遊間コンビ、20歳のジャクソン・ホリデー内野手と23歳のガーナー・ヘンダーソン内野手の名前を挙げた。
大谷を軸に魅力満載のMLBが、いよいよ佳境を迎える。(Full-Count編集部)