南仏アビニョンで、公判に臨むドミニク・P被告(右)を示す法廷画(2024年9月2日作成)。(c)Benoit PEYRUCQ / AFP

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【AFP=時事】フランス南部アビニョン(Avignon)で2日、強い鎮静剤で妻の意識を失わせてインターネットで募った男数十人にレイプさせたとして起訴された電力大手フランス電力(EDF)の元従業員ドミニク・P(Dominique P.)被告(71)の裁判が始まった。事件は全仏を震撼(しんかん)させている。

 本件では、主犯のドミニク被告を含め51人が、同被告の妻で現在72歳の女性をレイプした罪に問われている。警察は、計92回のレイプが行われ、72人の男が関与したことを確認。うち計51人の身元を特定した。年齢は26〜74歳とされる。

 女性の代理人弁護士アントワーヌ・カミュ(Antoine Camus)氏は、公判は女性にとって「過酷な試練」になるだろうと指摘。

「彼女は事件後かなりたってから初めて、10年以上にわたって受け続けたレイプの苦難に耐えなければならない」と語った。女性はレイプの「記憶がなく」、2020年になって初めて自分がレイプされていたことを知ったという。

 カミュ氏によれば、女性が非公開審理を求めなかったのは「被告らが非公開審理を望んでいた」ためだという。

 もう一人の代理人弁護士、ステファヌ・バボノー(Stephane Babonneau)氏によれば、ロジェ・アラタ(Roger Arata)判事は女性の希望通り、「最後まで公開審理」を行うと発表した。

 バボノー氏は、女性は「自分の身に起きたことをできるだけ大勢の人に知ってもらい、こうした事件が二度と起きないようにすることを希望している」と語った。

■事件発覚のきっかけは盗撮

 事件発覚のきっかけは、2020年9月にドミニク被告がショッピングセンターで3人の女性のスカートの中を盗撮しているところを警備員に取り押さえられたことだった。

 警察がドミニク被告のパソコンを調べたところ、妻の写真と動画数千点が見つかった。妻は明らかに意識がなく、ほとんどは胎児のような姿勢で体を折り曲げていた。

 これらの画像は、アビニョンから33キロほど離れた人口6000人の村マザン(Mazan)にあるドミニク被告夫婦の自宅でのレイプ数十件の場面を撮影した時のものとみられている。

 捜査当局は「coco.fr」呼ばれるサイトで、ドミニク被告が自宅での妻との性行為の参加者を勧誘するチャットログも発見した。このサイトは警察によって閉鎖された。

 ドミニク被告は、妻に強い鎮静剤、主に抗不安薬のテメスタを投与したと自供した。

 レイプはドミニク被告夫婦がパリ近郊で暮らしていた2011年に始まり、2年後にマザンに引っ越した後も続いた。

 検察によると、ドミニク被告もレイプに加わってその場面を撮影。下劣な言葉を言うよう男たちをけしかけていた。

 金銭の授受はなかった。

 レイプに加わった男たちの職業はフォークリフト運転士や消防士、社長、ジャーナリストなど。独身者から既婚者、離婚経験者までさまざまで、既婚者の中には周囲に家庭的な父親として知られる男らもいた。ほとんどは1回だけの参加だったが、中には6回レイプに加わった男もいる。

■ドミニク被告には余罪も

 多くの被告は、奔放な夫婦が望むプレーに協力しているだけだと思っていたと主張しているが、ドミニク被告は捜査当局に対し、妻に気付かれないように薬物を投与していたことを全員が認識していたと証言した。

 専門家の一人は、女性の状態は「睡眠というより昏睡(こんすい)に近かった」と指摘している。

 ドミニク被告は検察に対し、自宅を訪れてすぐ帰ったのは3人だけで、他の男は全員、妻との性行為に及んだと証言した。

 ドミニク被告の弁護人は2日、AFPに対し、同被告は「自分の家族と妻」に向き合う覚悟ができているとし、「彼は自分の行いを恥じている。その行いは許されるものではない」と述べた上で、この事件は「一種の依存症」によるものだとの見方を示した。

 ドミニク被告は1991年の事件で殺人とレイプの罪でも起訴されているが、起訴事実を否定している。1999年の事件でもレイプ未遂罪に問われ、こちらはDNA鑑定の結果、罪を認めた。一方、ドミニク被告自身も、9歳の時に男性看護師にレイプされたと主張している。

 専門家らは、精神疾患の可能性を否定する一方で、AFPが確認した文書では、女性の体に対する支配願望を指摘している。

 初公判で、女性は3人の子どもたちに支えられながら出廷。裁判所の前では、黒ずくめの格好をした十数人のフェミニストが抗議活動を行った。

 12月20日に結審予定。

【翻訳編集】AFPBB News

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