「Stripeはあえて一部のAPIを提供しないことで各種財務データを人質に企業からより多くのお金を引き出している」という批判
オープンソースの課金管理システムである「Lago」の共同創業者のアントー・チュオン氏が、競合相手のStripeについて「各種の財務データを人質に収益を拡大している」と批判しました。
Stripe Data vs Open‐Source Alternatives: a MRR example · getlago/lago Wiki · GitHub
https://github.com/getlago/lago/wiki/Stripe-Data-vs-Open%E2%80%90Source-Alternatives:-a-MRR-example
MRR(月次経常収益)は毎月繰り返し発生する売上のことで、サブスクリプション型のサービスにおいて成長度合いを測る指標として重要です。Stripeのダッシュボードでは一目でわかる位置にMRRやMRRの伸び方の指標が表示されており、StripeもMRRの重要性を理解していることが分かります。
企業が独自に財務を分析する場合、こうした各種の指標をAPIで取得するのが一般的です。しかしStripeのAPIは必要最低限の部分しか存在しておらず、MRRを一発で取得する事はできません。チュオン氏は「Stripeは世界でもトップクラスのエンジニアチームを用意しており、利益を最大化するためにわざとAPIを用意していない」と述べています。
チュオン氏はさらに、「ユーザーがより多くのデータにアクセスするには別途料金を支払ってStripe SigmaやStripe Data Pipelineを利用する必要があるものの、Stripeの基本料金が決済サービス競合のPayPalやSquareよりも高いことを考えると、これは少しばかげている」と批判。「こうした問題を解決するためにオープンソースの課金管理システムとしてLagoを作成した」とのこと。
Lagoはサブスクリプションや使用量ベースの課金を管理できるシステムで、Lagoを使用することで「誰にいくら請求すれば良いのか」が分かります。Stripeと違い決済については別のサービスを使用する必要があるものの、逆に言うとあらゆる決済サービスプロバイダーとの統合が可能で、ベンダーロックインが発生しないというメリットがあります。
Lagoでは全てのデータを自社で所有できるため、Postgresデータベースから自由にMetabaseなどオープンソースの分析ツールに取り込んで分析することが可能。MRRなど重要な指標についても制限なく算出することができます。
チュオン氏は「クローズドソースの企業は成長するにつれて、ユーザーに追加で課金してもらうために基本機能を低下させる傾向がある」と指摘。「企業は財務データを人質に取られるべきではない」と課金管理ツールを使用するメリットを強調しました。