10代のYouTuberを装って286人の女性に接触し、性的な動画を撮影するよう脅したとして、オーストラリアの裁判所は29歳のムハンマド・ザイン・ウル・アビディーン・ラシードに対し17年の懲役刑を言い渡しました。

Muhammad Zain Ul Abideen Rasheed sentenced to 17 years in jail for sexual abuse of hundreds of victims - ABC News

https://www.abc.net.au/news/2024-08-27/muhammad-zain-ul-abideen-rasheed-sextortion-sentencing/104274776



Man posing as teen YouTuber gets 17 years for horrific global sextortion scheme | Ars Technica

https://arstechnica.com/tech-policy/2024/08/man-posing-as-teen-youtuber-gets-17-years-for-horrific-global-sextortion-scheme/

オーストラリアに住むムハンマド・ザイン・ウル・アビディーン・ラシードは多くのフォロワーを持つ15歳のYouTuberを装って国内外の女性にSNS上で接触。ラシードはまず別の著名インフルエンサーなどの画像を送信した上で女性とチャットを行い、被害者からの信頼を得ました。信頼を深めるにつれてラシードは女性に対して性的な画像や動画を送信するように要求したとのこと。

さらにラシードは、被害者に対しカウントダウンタイマーを提示し、「さらに過激な画像を送らないと、スクリーンショットを友人に送る」と脅迫しました。オーストラリア・ワシントン州地方裁判所のアマンダ・バロウズ判事によると、ラシードは被害者から送信された動画を保存し、最も多いときには98人もの大人に対してそれらの動画をライブストリーミングしたそうです。



ラシードは日本やイギリス、アメリカ、フランスを含むのべ286人の女性に対して一連の脅迫行為を続けていました。そのうち180人の被害者が16歳未満の少女でした。

2020年に逮捕されたラシードはその後被害者の特定が進められ、2021年に起訴されていました。665件に上る事件の286人の被害者の中にはラシードによる「極度な恐怖」や「過度な苦痛」を感じて自殺した被害者もいるとのこと。オーストラリア連邦警察は「一部の被害者は自身の自傷行為に関する画像をラシードに送信しましたが、ラシードからの要求は止まりませんでした」と報告しています。

判決でバロウズ判事は「ラシードの犯罪は女性の品位を傷つける屈辱的なもので、他の小児性愛者にコンテンツのライブストリーミングを行ったことは事態のさらなる悪化につながりました」と指摘。また、ラシードがかつて14歳の少女に2度にわたる性的虐待を加え、懲役5年の有罪判決を受けていたことから、「再犯のリスクが非常に高い」として裁判所はラシードの懲役刑を17年に延長しました。なお、ラシードは早ければ2033年に仮釈放を申請できるようになる予定です。



裁判の中でバロウズ判事は「被害者は、あなたに送信した画像や動画がさらに広まるのではないかという恐怖を永遠に抱き続けるでしょう」とラシードに説いています。また、オーストラリア連邦警察のデビッド・マクリーン副本部長は「彼の忌まわしい行動と、被害者による明らかな苦痛や屈辱、恐怖を軽んじたことが、オーストラリアで起訴された最も恐ろしいセクストーション事件のひとつにつながりました。今回の事件の被害者は生涯にわたるトラウマに苦しむことになるでしょう」と指摘しています。