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はじめに

ある意味、メルセデスAMGの2代目GTは存在するだけで拍手を送りたいクルマだ。上級スポーツカークラスは、ビジネス的には常にチャレンジだった。その理由のひとつが、このクラスではポルシェ911の人気が絶大すぎることだ。

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また、最近になって本格パフォーマンスクーペが減ってきたことには、ほかにもより広い範囲に当てはまる理由がある。しかし、結局行き着くところは同じだ。選択肢の少なさである。ジャガーFタイプやアウディR8はリタイヤし、レクサスはLCの英国での販売を終了した。そのどれも、今のところ後継モデルの情報はない。


テスト車:メルセデスAMG GT63 4マチック+プレミアムプラス    JACK HARRISON

AMGがロングノーズに出し惜しみのないエンジンを積んだフラッグシップをフルモデルチェンジしたことは、おおいに歓迎すべきだ。たとえ価格が劇的に上がり、911に対抗すべく融通を効かせようとして初代の味を薄めてしまったとしても。

詳しくはこれから見ていくが、新たなレイアウトは奔放な初代GTにはなかったリアシートとフロントのドライブシャフトが加わった。それはプラスにもマイナスにもなりうる。

本当に知りたいのは、AMGが先代のエネルギッシュさと活発さをどうにか残しつつ、ヤンチャさを手懐け、よりGTカーらしい魅力的な長距離走行を手に入れようとしたのか、ということ。綱渡りのように微妙なバランスだが、もしも実現できれば、われわれをノックアウトするようなクルマが出来上がるはずだ。

意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆

メルセデスAMGは、2代目GTの開発を、R232世代のSLと並行して行うことにした。この2モデルはキャビンの構造や内装、エンジンやアルミスペースフレームの大部分をシェアしつつ、デザインや定義づけをはっきり分けた。スポーツカーのマーケットで手に入れうるシェアを最大化しようと試みたのだろう、と思うのではないだろうか。

だが、それは事実ではない。SLは2座の補助的なリアシートとパートタイム4WDシステムの4マチック+を備え、従来モデルより使い勝手を高めたかもしれないが、よりハードなAMG仕様のサスペンションを得てスポーティさを増したように感じられる。


エンジンはV8が2機種のほか、4気筒を設定するマーケットもある。トランスミッションはクラッチ式ATで、エンジン直後に搭載される。    JACK HARRISON

GTはというと、多くは共通だ。先代は2シーターの後輪駆動だったが、新型はそれを捨てた。全車4WDとなり、全長は30cm近く伸びた。重量は250kg程度、2016年に計測したGT Sロードスターと今回のテスト車を比べれば、277kgの増量だ。800psオーバーのPHEVとなった、GT63 S Eパフォーマンスのような電動デバイスを一切持たないにもかかわらず、である。

サイズは増しても、エクステリアは先代との類似性が明らかだ。ワイドなロングノーズと力強く踏ん張ったテールは、ボディパネルやディテールがすべて変わっているにもかかわらず、2代目もすぐにAMG GTだとわからせてくれる。

エンジンもSLと同じく、チューニング違いで2タイプのAMG製4.0LツインターボV8を設定。英国未導入のGT55には475ps/71.3kg−m、今回のGT63は585ps/81.6kg−mだ。また、北米仕様などには、4気筒のGT43も存在する。

ギアボックスは、先代のリアマウントされたトランスアクスルDCTではなく、湿式クラッチを用いたスピードシフト9速ATをエンジン直後に搭載する。4.0LのV8ユニットは、インタークーラーの配置を変更し、吸排気ポートを改良。オイルパンを再設計し、クランクケースに放熱対策を加えた。

サスペンションは前後とも、アルミ素材を主体としたマルチリンク。SLのように、スプリングはスティールのコイルで、伸び側と縮み側それぞれにバルブを持つ新型アダプティブダンパーを装備する。

GT55とGT63には、AMGのアクティブライドコントロールを採用。これは、みごとだった先代のGTブラックシリーズで導入され、SL63にも与えられるシステムで、スタビライザーに代えて、各輪に設置した油圧アクチュエーターで車体の傾きをコントロールする。マクラーレン的に、各ダンパーは油圧で相互接続されている。

これにより、たとえば左前輪側のダンパーが縮むと、右前輪側は伸びる。圧を変えることもでき、強い圧をかければロール剛性は高まるし、逆も可能だ。

四輪操舵も標準装備。100km/hまで、最大2.5度の後輪操舵が可能だ。さらに、リアには電子制御LSDを搭載し、パワーをかけた際にもコースティング中にも可変ロッキング効果を発揮。ブレーキを用いたトルクベクタリングも採用している。

リアトランスアクスルを廃し、エンジンとトランスミッションを隣接させたことで、前後重量配分は大幅に変化した。先代は47:53だったが、新型は54:46だ。

内装 ★★★★★★★☆☆☆

車内には、ちょっとした驚きや、初代GTのような特別感は影を潜めている。初代は、上下幅が狭い独特の前方視界が、背中のすぐ後ろにトランスアクスルの気配がある感覚と相まってエキサイティングさを高めていたが、もはやそれも過去の話だ。

高くて幅広く、多くのボタンが並んだ先代のセンタートンネルは、エルゴノミクス的に癖があったものの、それもまた特別感があった。新型は、それより低く、実用的になっている。シフトセレクターはコラムレバーへ移り、スイッチ類は大画面の縦型タッチ式ディスプレイへと組み込まれた。ただし、ステアリングホイールにも多くのスイッチが設置されている。


SLとの共用化がススメ、先代のような特別感は薄れた。センタートンネルは低くなり、スイッチ類やシフトセレクターはほかの場所へ移った。    JACK HARRISON

ドライビングポジションは上々だ。技術的には見慣れたもので、使いやすさは十分。ふんだんに使われたサテンクロームとツヤのあるカーボンの装飾は、いい感じにきらびやかだ。新たに与えられたリアシートはかなりアップライトだが、おそらく体格の小さい乗員でも短距離座るのがせいぜいだろう。

とはいえ、雰囲気は普通な感じというか、メルセデスらしいもので、特別感は薄い。高額で、驚くほど能力が高いフラッグシップにはふさわしいものだろう。

多少引き上げられたルーフ高は、ヘッドルームの拡大に寄与している。さらに明るさと開放感を高めているのガラスルーフだ。荷室は、スポーツカーとしては広い。リアシートを倒せば、321Lから675Lへ拡大できる。PHEVのGT63 S Eパフォーマンスでは、リアの電動ドライブユニットにより、積載容量が目減りする。

走り ★★★★★★★★★☆

このホットVレイアウトのV8は、GクラスからCクラスまでさまざまなクルマに積まれ、10年にわたってAMGを支えてきた。しかし、おそらくもっとも刺激的なのは、キャビンがリアに寄ったスチームパンク的で背が低いクーペのノーズに収まったときだろう。

まず、野太く気だるいエキゾーストノートや、出し惜しみしない過給から想像するより、レスポンスははるかにいい。懐の広さも驚くほどで、鍛造クランクは信じられないくらい低い回転域からよく回り、スムースに推進力を増していく。81.6kg−mの最大トルクは2500rpmにも満たないうちから発生し、重いクルマを軽々と動かす。


AMGで数多く使われたV8だが、低回転から高回転まで力強く、大出力の過給ユニットでありながらリニアでレスポンスに優れる。    JACK HARRISON

そこからこのV8はすばらしいリニアさを示し、エキゾーストノートはハードになり、7000rpmのレッドラインで最高潮に達すると、DCTのようにキレがよく鋭いシフトアップをみせる。シフトの激しさをはじめ、スロットルペダルのシャープさやエキゾーストノートの騒がしさ、オーバーランした際の芝居がかったような激しい振動と音は、例によってエコからレースまでの走行モードによって変化する。

そのフィルターのかかっていない楽しさには、内燃機関が発する昔ながらの魅力的な音が存分についてくる。数字的にも、思ったより悪くない。ローンチコントロールを用いた0−97km/h加速は3.1秒で、後輪駆動だった先代のスペシャルモデルであるGT Rより0.5秒速い。

中間加速もかなりのもので、3速での64−97km/hはたったの1.5秒、48−113km/hは2.7秒に過ぎない。ポルシェ911ターボSがいるこのクラスでは最速とはいえないが、それでも上位に位置する速さだ。ちなみに、よりピーキーなポルシェは、ゼロ発進から2.5秒で97km/hに達し、4速での64−97km/hは1.4秒。2速ではなんと1秒フラットだ。

ブレーキについても、特筆すべきものがある。ペダルはリニアでカッチリしており、ABSの介入はほとんど感じられない。なお、ブレーキテストの制動距離は、通り雨があった後に計測したものだ。

使い勝手 ★★★★★★★★☆☆

インフォテインメント

GTを日常的に使おうというなら、おそらくもっともありがたい改善点はマルチメディアシステムに関する部分だろう。先代はクリック付きダイヤルで操作する、古さを感じさせるシステムだった。新型はそのダイヤルをなくし、MBUXの最新世代を採用。縦型11.9インチのディスプレイは角度調整が効くので、日差しが映り込むときには助かる。

多少の慣れは必要だが、反応遅れはなく、鮮明で、必要と思われる機能は揃っている。エアコンは実体パネルではないが、温度と送風を調整するアイコンは大きくて常時表示されるので、操作したいときに探さなくて済む。音量は、画面下のスライダーと、ステアリングホイールのタッチスイッチで調整する。


旧式の操作ダイヤルを持つ先代のシステムから、大きなタッチ画面を備える最新のMBUXに変更したことで、使い勝手は向上した。    JACK HARRISON

走行中の静粛性はとくに高くないが、ブルメスター製サウンドシステムはロードノイズに負けていない。Apple CarPlayやAndroid Autoとの連携もよくできているが、表示部はディスプレイの大きな部分を占める。

燈火類

GTのヘッドライトはメルセデスのデジタルライトで、アダプティブハイビームアシストプラスを備える。今回はテストできなかったが、以前に使用した際にはすばらしかった。

ステアリングとペダル

ペダルのポジションは、この手のクルマに典型的なもので、運転する際に靴を選ばなければいけないほどレーシーではない。ステアリングコラムの調整幅はかなり広い。

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

ハンドリングに関していうと、先代GTは好き嫌いがはっきり分かれるものだった。動揺するほどクイックなステアリングレスポンスと、じつに、なんというか、よく動き回る後輪により、ドライバーはめったに気が抜けなかった。このハイリスク・ハイリターンなアプローチを愛するドライバーもいれば、身が持たないというドライバーもいる。路面が濡れていると、ちょっと怖いことが多いという声もある。

2代目も、初代のワイルドさの痕跡が感じられるところはある。少なくとも14.1:1というステアリングのイニシャルレシオと、アグレッシブなフロントキャンバーはその理由となっている。もちろん、フロントタイヤのグリップは強力。それらが相まって、ショッキングなほど積極的にコーナーへ切り込んでいく。


先代M5コンペティションのようなxドライブのBMW Mモデルとは違い、トラクションと思いどおりのヨーとのスイートスポットは見出せない。    JACK HARRISON

AMG GTに対しては、断固たる態度で臨む必要がある。というのも、かなりレスポンスがよく、表面上は正確だが、いつもこの上なく従順というわけではない野獣的なクルマだからだ。あるテスターは、ターンインでフロントアクスルがタイヤを必要以上にすり減らそうとしているように思える反面、コーナー出口へ向かう際にはステアリングがセンターに戻りたがらないように感じる、と口にした。

フロントはまた、コーナリング中のバンプや路面の波打ちを、思ったより敏感に拾ってしまう。もちろん、サスペンションをコンフォートモードにすれば、それらは穏やかになるが、持って生まれた神経質さは残る。エキサイティングでもあるが、直感的でないこともある。

その反面、4マチック+の採用により、シャシーのアジャスト性からはナチュラルさや激しさが減っている。それにより、全天候型の安心感が増しているのは狙いどおりだろう。

基礎はしっかりしている。コーナーインはこの上なく楽で、ボディコントロールもみごと。しかし、LSDを最大限効かせて、ESPを緩めても、とくに遊ぼうとする感じはない。後輪駆動モードにすることもできるが、街乗りで使いたいようなものではない。

快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆

先代GTは、掛け値なしの猛獣だった。本質的にはV8ホットロッドで、そこに豪華なインテリアと、とくに後期モデルは驚くほど上質なハンドリングを持ち合わせていた。ロードマナーと呼ぶようなものには特別注意を払ってはいなかった、といえる。

その点、新型の提案するものは異なる。目指したのはより使いやすく、仰々しさをやや抑え、わかりやすいものの、先代の野性味がもたらす緊張感は薄めたクルマだ。


高級GTとしては、乗り心地の穏やかさや静粛性に不満が残る。高速道路での室内騒音は、あの911ターボSと同レベルだ。    JACK HARRISON

AMGはたしかに、より軟化したクルマをつくることには成功した。視界は改善され、ロードノイズは低くなり、キャビンはよりリラックスできるスペースとなっている。しかしながら、静粛性はもっと高めてほしいし、単純な2地点間移動ではサスペンションの過敏さを抑えてもらいたい。

胸がドキドキするような興奮を削ったわりには、穏やかさが十分に増したとは言い難い。サスペンションをコンフォートモードにしても、常に路面に対する不要な過敏さがある。ノイズについても、113km/hで74dBAというのは、高速道路でのキャビンのうるささで知られるポルシェ911ターボSと同等だ。

刷新されたシャシーと新たな狙いからすれば、もっと親やすいクルマになってもいいはずだ。

購入と維持 ★★★★★★☆☆☆☆

16万2105ポンド(約3112万円)というのが新型GTの最安値で、先代のような10万ポンド(約1920万円)程度のモデルはなくなった。それがあれば、ポルシェ911カレラGTSあたりの顧客層を取り込むこともできただろう。

テスト車は、これに2500ポンド(約48万円)相当のオプションが追加されていたものの、標準装備も充実の内容だ。816psのGT63 S Eパフォーマンスは17万7715ポンド(約3412万円)から。ライバルは、このクラスでわれわれがもっとも高い評価を与えているフェラーリ・ローマが18万5975ポンド(約3571万円)から、ポルシェ911ターボが15万9100ポンド(約3055万円)からだ。


3年後の予想される残価は、新車価格の半分程度。高いように思えるが、高級GTカーとしては当然のことだ。

価格は高いが、少なくとも4.0LのV8は、長距離走行では驚くほど経済的。クルージングでの実測燃費は10.9km/Lで、満タンでは750km以上走れる計算だ。ロンドンからル・マンまで無給油で行けるということになる。

荒れた路面や勾配のきついガレージへのアプローチも恐るるに足らず。地上高は極端に低くないが、ノーズリフトシステムも標準装備で、フロントのクリアランスを30mm上げることが可能だ。室内の装備も充実しており、ロードノイズが我慢の範疇に入るなら、GTカーの守備範囲は完全にカバーできる。

スペック

レイアウト

プラットフォームは7代目SLと共用で、63はかなり共通部分が多い。54:46という前後重量配分や、スタビライザーを使用しない点も同じだ。

GTとしては、初代モデルと大きく変わったのが、ギアボックスのレイアウトだ。トランスアクスルから、エンジンの後ろに続くより普通の配置になった。

エンジン


プラットフォームは7代目SLと共用で、前後重量配分は54:46。ギアボックスは、トランスアクスルだった初代GTとは異なるレイアウトとなったため、荷重比率はフロントのほうが大きい。

駆動方式:フロント縦置き四輪駆動
形式:V型8気筒3892cc、ツインターボチャージャー、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ83.0×92.0mm
圧縮比:8.6:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:585ps/5500〜6500rpm
最大トルク:81.6kg−m/2250〜4500rpm
エンジン許容回転数:7000rpm
馬力荷重比:308ps/t
トルク荷重比:43.0kg−m/t
エンジン比出力:147ps/L

ボディ/シャシー

全長:4728mm
ホイールベース:2700mm
オーバーハング(前):993mm
オーバーハング(後):1036mm

全幅(ミラー含む):2100mm
全幅(両ドア開き):4190mm

全高:1354mm
全高(テールゲート開き):1920mm

足元長さ(前席):最大1150mm
足元長さ(後席):550mm
座面〜天井(前席):最大980mm
座面〜天井(後席):770mm

積載容量:321L

構造:スティールモノコック
車両重量:1895kg(公称値)/1972kg(実測値)
抗力係数:−
ホイール前/後:10.5Jx21/11.5Jx21
タイヤ前/後:295/30 ZR21 HL/305/30 ZR21 HL
ミシュラン・パイロットスポーツS5
スペアタイヤ:なし(パンク修理剤)

変速機

形式:9速クラッチ式AT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:5.35/7.7 
2速:3.24/12.7 
3速:2.25/18.3 
4速:1.64/25.1 
5速:1.21/34.1
6速:1.00/41.4
7速:0.78/52.9 
8速:0.72/57.3
9速:0.60/68.9 

最終減速比:3.27:1

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:7.0km/L
ツーリング:10.9km/L
動力性能計測時:3.3km/L

メーカー公表値:消費率
低速(市街地)4.2km/L
中速(郊外):6.8km/L
高速(高速道路):8.2km/L
超高速:8.4km/L
混合:7.1km/L

燃料タンク容量:70L
現実的な航続距離:492km
CO2排出量:319g/km

サスペンション

前:マルチリンク/コイルスプリング、油圧クロスリンクダンパー
後:マルチリンク/コイルスプリング、油圧クロスリンクダンパー

ステアリング

形式:電動機械式、ラック&ピニオン、後輪操舵
ロック・トゥ・ロック:1.8回転
最小回転直径:12.5m

ブレーキ

前:390mm通気冷却式ディスク
後:360mm通気冷却式ディスク
制御装置:ABS、ブレーキアシスト
ハンドブレーキ:電動、ステアリングコラム右側にスイッチ設置

静粛性

アイドリング:60dBA
全開時(3速):93dBA
48km/h走行時:64dBA
80km/h走行時:70dBA
113km/h走行時:74dBA

安全装備

ESP/ABA/ABSA/ALKA/プリセーフ
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人−%/子供−%
歩行者保護性能:−%
安全補助装置性能:−%

発進加速

テスト条件:晴天・乾燥路面/気温18℃
0-30マイル/時(48km/h):1.2秒
0-40(64):1.7秒
0-50(80):2.4秒
0-60(97):3.1秒
0-70(113):4.0秒
0-80(129):4.9秒
0-90(145):6.1秒
0-100(161):7.4秒
0-110(177):8.9秒
0-120(193):10.6秒
0-130(209):12.7秒
0-402m発進加速:11.4秒(到達速度:198.9km/h)
0-1000m発進加速:−秒(到達速度:−km/h)

ライバルの発進加速

ライバルの発進加速
ポルシェ911ターボS(2022年)
テスト条件:晴天・乾燥路面/気温20℃
0-30マイル/時(48km/h):1.1秒
0-40(64):1.5秒
0-50(80):2.0秒
0-60(97):2.5秒
0-70(113):3.2秒
0-80(129):3.9秒
0-90(145):4.7秒
0-100(161):5.7秒
0-110(177):6.9秒
0-120(193):8.0秒
0-130(209):9.4秒
0-402m発進加速:10.4秒(到達速度:218.7km/h)
0-1000m発進加速:19.0秒(到達速度:276.5km/h)

中間加速

20-40mph(32-64km/h):1.4秒(2速)/2.2秒(3速)

30-50(48-80):1.2秒(2速)/1.6秒(3速)/2.5秒(4速)/4.2秒(5速)/6.2秒(6速)

40-60(64-97):1.5秒(3速)/2.0秒(4速)/3.0秒(5速)/4.5秒(6速)/6.2秒(7速)

50-70(80-113):1.6秒(3速)/2.0秒(4速)/2.7秒(5速)/3.6秒(6速)/5.0秒(7速)/7.7秒(8速)

60-80(97-129):2.0秒(4速)/2.8秒(5速)/3.4秒(6速)/4.3秒(7速)/6.7秒(8速)/10.5秒(9速)

70-90(113-145):2.2秒(4速)/2.8秒(5速)/3.4秒(6速)/4.1秒(7速)/5.8秒(8速)/9.5秒(9速)

80-100(129-161):2.5秒(4速)/2.9秒(5速)/3.6秒(6速)/4.2秒(7速)/5.4秒(8速)/8.5秒(9速)

90-110(145-177):3.0秒(5速)/3.7秒(6速)/4.4秒(7速)/5.7秒(8速)/7.7秒(9速)

100-120(161-193):3.3秒(5速)/3.9秒(6速)/4.6秒(7速)/6.0秒(8速)/8.1秒(9速)

110-130(177-209):3.8秒(5速)/4.1秒(6速)/4.8秒(7速)/6.5秒(8速)/9.2秒(9速)

制動距離

テスト条件:晴天・乾燥路面/気温18℃
30-0マイル/時(48km/h):8.3m
50-0マイル/時(64km/h):22.0m
70-0マイル/時(80km/h):42.5m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.35秒

ライバルの制動距離

ポルシェ911ターボS(2022年)
テスト条件:晴天・乾燥路面/気温20℃
30-0マイル/時(48km/h):7.4m
50-0マイル/時(64km/h):20.1m
70-0マイル/時(80km/h):38.3m

各ギアの最高速

1速:54.7km/h(7000rpm)
2速:88.5km/h(7000rpm)
3速:128.7km/h(7000rpm)
4速:175.4km/h(7000rpm)
5速:238.2km/h(7000rpm)
6速:289.7km/h(7000rpm)
7速:315.4km/h(7000rpm)
8速:315.4km/h(7000rpm)
9速(公称値):315.4km/h(3243rpm)

9速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):1633rpm/1871rpm

結論 ★★★★★★★☆☆☆

これは結論を下すのが難しいクルマだった。一方でメルセデスAMG GTの2代目は、耳をつんざくオールドファッションなV8を積み、そのパフォーマンスを日常的に年がら年中楽しませてくれる駆動系の安全性を確保したスマートなスタイルのクーペだ。さらに、広く快適なインテリアには、大きくて使いやすい形状の荷室や、最新のインフォテインメントを備えた。

一見すると、これはまさにソウルフルで順応性がある、懐の広いGTのヒーローで、見ていてうれしくなるクルマだ。しかし他方では、プラットフォームをSLと共有した、妥協の痕跡も否定できない。


結論:恐ろしいほど速く、本当に実用的。しかし、以前ほど魅力的なクルマではない。    JACK HARRISON

AMGは2代目GTを、先代よりも馴染みやすいクルマに仕立てようとした。だが、動きには激しやすいところもしばしば見られ、巡航スピードでは明らかにうるさい。また、先代にあった走りの特殊性も多少ながら残っており、それでいて笑いが止まらないくらいスロットルで車体の向きを変える能力は放棄している。

結局、この力強いAMGは、どういうクルマになりたかったのかという点でやや迷いがあったように思える。そういうものが、卓越したスポーツカーになれることはめったにない。

担当テスターのアドバイス

リチャード・レーン

まろやかになったGTだが、この新型プラットフォームでのGT3クラスのレースカー製作を、AMGはやめないはずだ。先代ではビジネス的に大成功を収めているのだから。ちなみに先代は、ロードカーの4.0Lツインターボではなく、SLSの6.2L自然吸気を搭載していた。そうなれば最高だが、今回は無理だろう。

マット・ソーンダース

多くの点で、このクルマの主役はやはり、これまでどおりアファルターバッハで手組みされるV8だ。7速で60km/h弱から320km/h近くまで引っ張れるのはすばらしい。

オプション追加のアドバイス

英国仕様の63は、プレミアムプラスとアルティメットの2グレードで、後者はリアスポイラーとAMGダイナミックプラスパッケージが備わる。また、期間限定で設定される発売記念のローンチエディションは、ゴールドのホイールを装備して、価格は18万ポンド(約3456万円)だ。

改善してほしいポイント

・先代には十分すぎるほどあった、スロットルでのアジャスト性を取り戻してほしい。これは4WDのキャラクターを残したままでもできるはずだ。
・エントリーグレードとなる後輪駆動仕様もほしい。
・フロントのアグレッシブなジオメトリーは、多少穏やかにしてもらいたい。ターンインがちょっと不自然に感じることがある。