女性8人を並ばせた、金正恩「見せしめショー」の恥辱行為
北朝鮮当局は、折に触れて性売買行為の集中取り締まりを行っている。
咸鏡北道(ハムギョンブクト)の清津(チョンジン)に住む情報筋は米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し、「全国的に増加している性売買行為を根絶するための中央の指示が出ている。これを受け、市安全部(警察)と青年同盟が合同作戦を開始し、若者に対する思想教育と集中取り締まりを行っている」と明らかにした。
情報筋はまた、「取り締まりは、平壌の某中央機関の幹部が夜の街で、女性らが客を探す姿を見て金正恩総書記に報告書を上げたことがきっかけに始まった」と説明している。
清津市では、安全部の警ら隊と青年同盟が合同で、駅前や公園なをパトロールし、取り締まりを行っているという。
また、別の情報筋によれば、同様の作戦は咸興(ハムン)でも行われているとのことだ。
一方、青年同盟は取り締まりとともに、思想教育も教化している。清津の情報筋によれば、「市内各区域の青年同盟委員会が管内の若者をいくつかの場所に集め、「退廃的な反動思想文化を排撃し、非社会主義的な行為に巻き込まれてはならないとする金正恩の『お言葉』浸透(伝達)集会と政治講演会を行っている」という。
あるときには、市内の水南(スナム)区域では現地の青年同盟委員会が区域内の若者を集めた中、集中取り締まりにより摘発された女性を舞台に立たせ、公開批判を行ったという。「集会では、舞台に立たされた8人の女性の名前と年齢、家の住所、職場までをすべてさらして自己批判させた。大衆の前で恥辱を与えるやり方だった」(情報筋)とのことだ。
北朝鮮では、このような「見せしめショー」が頻繁に行われている。さらし者にされる対象者の中には、多数の女性に鬼畜行為を働いた幹部など、罪に問われるべきケースもある。
(参考記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面)
だが、いま北朝鮮社会でこうした行為が増えているのは、多かれ少なかれ経済難が影響しているはずなのだ。追い込まれた女性らの行動は、果たして「見せしめ」にされるような罪なのだろうか。
しかも、このような仕打ちが金正恩氏の命令に基づいて行われている以上、当局の取り締まりは、庶民の共感を呼ぶどころか、権力からの民心のいっそうの離反を招くことだろう。