古田さんが調査して自ら描いた、桂川に生息する魚を紹介する看板(京都市右京区)

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桂川下流域に生息する魚を約3年かけて調べた京都市右京区の高校生の成果が1枚の看板になり、同区の渡月橋上流に登場した。淡水魚の細かな特徴や複雑な色を色鉛筆で本物そっくりに描き、桂川の豊かな生態系を表している。

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京都先端科学大付属高1年古田隼弥さん(15)。幼い頃から大の魚好きで自宅には水槽がずらりと並ぶ。日本さかな検定準1級(現在は廃止)、深海生物検定2級を持っている。

調査のきっかけは、桂川の魚を紹介する1枚の看板を目にしたことだった。コイ、アユなど9種類の魚が描かれていたが、1994年に設置された古いものと分かり「今はどんな魚がいるのか、自分の目で確かめたい」と、小学3年生から川での魚の採集や観察を始めた。

2019年からはさらに本格的な調査を開始。22年10月までの約3年半で、渡月橋下流から松尾橋上流までの約2kmに6カ所の調査点を設け、44種の魚を確認した。

看板は、古田さんの活動を知った嵐山保勝会が今年5月、渡月橋から約500m上流の桂川左岸に設置した。アユやオイカワをはじめ、琵琶湖・淀川水系の固有種で希少なヨドゼゼラや、府のレッドリストで絶滅危惧種に分類されているアカザなど38種の魚が描かれている。

独特のうろこの模様や複雑な色合いも丁寧に描き込まれ、足を止めた観光客がスマートフォンのカメラを向ける様子も見られる。古田さんは「もともと看板をきっかけに調査を始めたので、自分の絵が看板になって感動した。これだけの魚がいることを知って環境を大切にするきっかけにしてほしい」と話した。

調査結果は、水生生物に関心のある研究者や学生、愛好家でつくる「魚類自然史研究会」の会報に掲載されている。

(まいどなニュース/京都新聞)