日本がタイへの水産物輸出拡大も、中国市場に取って代わることは難しい―中国情報サイト
2024年8月16日、中国食品業界の専門ポータルサイトである食品伙伴網の情報サイト、食品情報センターは、コンサルティング会社の山西鮮蘊科技有限公司が発出した「日本はタイ向けの水産物輸出を拡大しているが、中国市場に取って代わるのは依然困難」という記事を紹介した。
同記事は、「福島第一原子力発電所からの処理水の海洋放出が始まってから約1年が経過した。この影響で、日本から中国への水産物輸出が減少したため、新たな水産物輸出市場を模索している」とした上で、「重要であった中国市場と簡単に取って代わることは難しく、現在、代替市場の拡大は十分ではない」と指摘。「中国市場の穴埋めのため、日本は香港や米国への輸出を強化している他、タイを新たな市場として開拓している」と紹介した。
そして、記事では、タイ最大の(農業関連の)アグリビジネス企業であるチャロン・ポカパン・フーズ と合弁企業を設立し、日本産水産物の販売に注力している魚力や、バンコクで水産物を中心とした日本食品を取り扱う卸売市場を開設した日本航空(JAL)グループのJALUXおよび総合商社の双日、8月からタイで水産物卸売事業を始める外食産業の運営会社であるスプラウトグループ の事例を、日本の水産物関連企業のタイでの活動の好例として挙げた。
また、日本貿易振興機構(JETRO)バンコク事務所が発表した「2023年度タイ国日本食レストラン調査 」の、昨年タイの日本食レストランの数が過去最多となる前年比8%増(430軒増)の5700軒となったという調査結果や、17年以降、日本食レストランがバンコク以外の5県にまで広がっていることを紹介した上で、上述のような日本企業の動きを「タイでの日本料理人気に乗じたもの」と説明している。
他にも、日本の水産庁が24年6月に発表した水産白書の「2023年度、タイは日本産水産物の輸入国として第5位にランクインしており、日本産水産物の総輸出額3兆9000億円のうち6.3%を占めている」「処理水放出による懸念から中国や韓国による日本の水産品輸入量が減少している」といったデータを引き合いに出し、日本企業にとってタイ市場の重要性が増していると伝えた。
記事は最後に、「タイは日本産カツオの最大の市場となり、サバもベトナムに次ぐ第2の市場となっている」とした上で、「タイ市場は力強く成長しているものの、中国市場と完全に取って代わるには、日本にとって大きな課題が残っている」と中国市場の重要性を主張した。(翻訳・編集/奈良)