Photo: Artem Golub / Gizmodo US

8月8日に発売されたばかりのBeatsのスピーカー新モデルBeats Pill。バッテリーもち24時間と防水防塵に優れたワイヤレススピーカー。日本での価格は2万4800円。

発売されたばかりのスピーカーを米Gizmodoがレビューしました。

最近はすっかりヘッドホン寄りなBeatsでしたが、スピーカーも作っていたことを思い出したようです。Apple(アップル)傘下のオーディオブランドとして最後に出したスピーカーはBeats Pill+、10年ほど前のこと。今回新たにリリースされたBeats Pillは、かなり時間は空いたもののその後継機という位置付け。

Beats Pillをレビューしている間、比較対象として頭にあったのはソニーのUlt Field 1。Pillが150ドル、Let Field 1が130ドルで同じ価格帯なんです(日本ではPillが2万4800円、Ult Field 1が1万9800円)。デザイン始め、ポータブル性やオーディオマニアではない一般層をターゲットとしていること、モノラル出力であることなど、類似点が多くあります。

デザイン:もっとタフでよかった

外観デザインを見ると、Pillはポータブル性に力を入れたんだろうなって思います。シリコンやゴム使用は衝撃吸収を意識してるだろうし、長めのストラップはハイキングなんかでバックパックに装着する想定なんだろうなって。IP67は、最高基準の防塵、ほぼ最高基準の防水(最高はIP68)。コンパクトなスピーカーをアクティブに楽しむすべてが詰まっている感じがします。

が、スピーカーをどこにでも持っていくタイプの人(私がこのタイプ)にとっては、Ult Field 1のほうが安心感があるんです。IP67性能は同じなのですが、Ult Field 1のほうが見た目にも持った感じにもタフさがあるから。耐久性能の数字以外、感覚的にこっちのがタフな気がしちゃう。もしかしたら、Ult Field 1のUSB Type-Cのポートにカバーがついていることがその真理に影響しているのかも。ビーチの砂も入りこまない物理的安心感というかね。

Photo: Artem Golub / Gizmodo US

ポータブル性でいうと、ストラップもUlt Field 1の勝ち。太くて丈夫。さらに二重にできることで、ハンドルにもなってシンプルに使い勝手がいいんです。あとは重さ。Ult Field 1が650gなのに対し、Pillは680g。少しだけど重い。

…Pillレビューのはずが、Ult Field 1のいいところばっかり言ってる気がしますが、それもここまで。バッテリーがすごいから。

バッテリー:ライバルたちの2倍

バッテリー持ちは24時間。デザインでさんざん比較したUlt Field 1は12時間なので、Pillは2倍も音楽が楽しめるということ。レビュー期間は1週間ちょいでしたが、充電は最初の1回だけ。この価格帯では最高峰のバッテリー持ちです。

バッテリーは圧勝ですが、それ以外にも同価格帯のライバル(Ult Field 1やSonosのRoam 2)より秀でている点があります。それは、USB-Cで接続すればロスレスオーディオを楽しめること。音の違いを、若干ですが確かに感じました。これはワイヤレスの機動性をとるか、有線で音をとるかで悩むやつ。

Apple傘下ですが、BeatsブランドとしてAndroidユーザーもターゲット。iOSプラットフォームと同じ機能をAndroidユーザーもデフォルトで使用することができます。ワンタッチ接続もFind My的な機能も両プラットフォームで可能。当然、LightningではなくUSB-Cポートです

サウンド:高音>低音

アップデートしたというBeats独自のレーストラックウーファーで、動かせる空気が9割増加。パワフルな低音を実現。ただ、Ult Field 1と聴き比べると、低音好きはUlt Field 1のほうが好きそう(むしろ低音強すぎなくらいです)。低音ブースト仕様をオンにすると、Pillもちょっと低音が効きすぎな気もします。が、ここは好みかな。

Pillが得意とするのは中音と高音。ボーカルは前モデルよりも確実にクリアで、層のある素晴らしい音になっています。オーケストラも全体それぞれの音が聞こえ、ごっちゃにならないクリアなサウンド。これは、シャープな高音と重厚感ある中音のために再設計されたツイーターによるもの。高音重視の曲を聴いてみましたが、確かに良サウンドでした。

この価格帯で、サウンド増幅モードとステレオモードという2種類を準備しているのは驚きました。増幅モードは、Pill2台を同期させて使用し音を大きくする仕様。ステレオモードは、その名の通りPill2台でオーディオを左右に分割しステレオスピーカーとして空間ある音を楽しむ仕様。

レビュー用に2台お借りしていたので両モードを試してみましたが、まず設定がめちゃくちゃ簡単なのがいい。2台を近づけて、それぞれのマルチ機能ボタンを長押しするだけ。たとえば、普段はカップルで1台それぞれ使って、ホームパーティーで2台一緒に使うなどけっこう重宝しそうな気がします。

Photo: Artem Golub / Gizmodo US

総評:低音重視しないなら買い!

一番評価したいのは、この価格帯にしては太っ腹なモードがついて、バッテリー持ちもいいということ。逆に言えば、控えめな価格設定で非常にお手頃感が強いということ。Apple傘下でありながら、Apple価格じゃないところが驚き。

音よし、ポータブル性よし、増幅・ステレオモードにロスレスオーディオと機能よし。24時間のバッテリーもちは、同価格帯のスピーカーでは圧勝。AndroidユーザーでもiOSユーザーでも同じように使用可能。唯一おすすめしない人がいるとしたら、それは低音重視派だけです。

いいところ:適切な価格設定。中音と高音がとてもいい。サウンド増幅モードとステレオモードがいい。USB-C接続でロスレスオーディオ対応が単なるギミックで終わっていない。この価格帯でこのバッテリーは素晴らしい。

残念なところ:低音がパンチにかける。ポータブル性を考えるともっと頑丈な作りがよかった。

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