Photo: ヤマダユウス型

2022年5月3日の記事を編集して再掲載しています。

多摩川ごちそうさまでした。

日本での暮らしにおいて、水で困ることはそうないと思います。ですが、登山やキャンプのようなアウトドアを楽しむ場合、どれくらい飲み水を持っていくかは難しい問題。必須ではあるけど荷物にもなるんですよね。

そんな時に活躍するのが、川や沢、浅い水たまりの水を飲めるように濾過してくれる浄水器。アメリカのSAWYER PRODUCTSは様々なポータブル浄水器を手掛けてきたブランドで、「Sawyer mini(ソーヤー ミニ)」は約55gの超小型モデル。

こうしてペットボトルの先端に取り付けて使える、シンプル&コンパクトな浄水器です。小さな本体ながら、内蔵されているフィルターは0.1ミクロンの無数の孔を持つ中空糸膜の働きにより、バクテリアや微生物を99.99999%も除去可能(水に溶けている化学物質やウイルスは除く)。

これは米国環境保護局の環境基準を上回る数値なんだとか。

本当に微生物は減っているの? 事前に水質調査

さて、スペック的に飲んでOKと言われても、本当にそのへんの水を飲んでお腹を壊さないか心配じゃないですか? そう考えた編集部員のリチャードは、レビュー前日に個人的な水質&浄水性能の調査をしたそうな。

彼の私物の実験セット一覧。一般細菌試験紙とか、普通の家には無いんだよなぁ…。

さて、リチャードが行なったのは「どれくらいSawyer miniが自然界の水を綺麗にできるのか」の調査。具体的には以下のような内容です。

1. 川と沢の離れた2地点から水を採取。

2. 採取したままの水と、採取後に「Sawyer mini」で浄水した水を、それぞれ大腸菌群試験紙と一般細菌試験紙に付着させる。

3. 試験紙を密閉して、35〜37度前後の保温器にて15〜24時間保管し、微生物を培養。

4. 浄水前の試験紙と浄水後の試験紙の微生物の数を比較。

というもの。浄水後の水に浸した試験紙から微生物が減っていれば、浄水できているといえるわけですね。ではでは、試験紙をチェックしてみましょう。以下からは写真左が川、右は沢での採取です。

浄水前の大腸菌群の結果。赤い斑点が多く見られるということは、大腸菌のコロニーがいっぱいあるということ。こいつは飲むべきじゃあないな…!

浄水前の一般細菌(微生物やバクテリア)の結果。こちらも斑点が見られます。

これらの結果から、浄水前の水には微生物がいっぱいいることがわかりました。では次からは、「Sawyer mini」で浄水した水の試験結果を見てみます。果たして、どうなるか…!

浄水後の大腸菌群の結果。すごい、真っ白だ!

浄水後の大腸菌群の結果。すごい、真っ白だ!

浄水後の一般細菌の結果。こちらもほとんど真っ白。この結果をみるに、「Sawyer mini」はしっかりと微生物を除去できたのがわかりましたね。これがポータブル浄水器の威力ッ!

いざ、多摩川の水を採取&ドリンキング

24時間の実験をもって、「Sawyer mini」はちゃんと飲み水を作れることがわかりました。とはいえ、リチャードの自宅も無菌室はないので実験の信頼度はほどほどってところですが、自分の目で結果を確認できると商品への信頼度も増しますね。

浄化性能は充分であることがわかったので、いざ多摩川の水を浄水して飲んでみます。採取して…。

多摩川の水、ゲットだぜ。あんまり濁ってないですね。

また念の為に、多摩川の水に対して浄水前と浄水後で飲料水に適しているかテストをしました。アルカリ性全量、pH、全硬度、鉄、鉛、銅、窒化物、塩素、フッ化物を含有率を見るキットを使用(2本1組として検査)。左が浄水前、右が浄水後。浄水後の検査結果はアルカリ成分や鉄分の量がやや減っていました。

多摩川の水入りペットボトルに「Sawyer mini」を取り付けて、コップに水を注入。微生物除去性能は問題なし、水質調査もOK。よし、じゃあ飲むぞ、多摩川!

ごくり…ごっくり…。

うむ、普通に飲料水です。やや鉄イオンの金属臭というか、古い水道管を通した水に近い味がする程度で、水道水の味と遜色ないです。「Sawyer mini」が手元にあれば、多摩川そのものを飲み水にできることがわかっちゃいましたね!

ちなみに「Sawyer mini」は同梱のシリンダーでメンテナンス可能で、丁寧に使えばフィルター交換なしにずっと浄水できるそう。メンテナンス方法は浄水をシリンダーで吸い取って、飲み口から注入(水道水はNG)。フィルターに詰まった物質を押し流す感じです。

「Sawyer mini」の濾過性能は、スペック上では最大約38万リットル。一日10リットル飲んでも100年使える計算だそうな。ポータブル浄水器は「気になってるけど本当に飲めるの?」と気になってる人も少なくないと思いますが、今回、こうして化学とお腹にて飲料OKであることが実証できました。多摩川を飲んでも、僕は元気に過ごしてます(リチャードも)。

アウトドア好きはもちろん、災害時の備えにも有効な浄水器。意外とお安いので、転ばぬ先の杖としてひとつザックに忍ばせておくと良いかも。

※使用した試験紙は焼却処分しました。

Source: AmazonPhotos: ヤマダユウス型

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