アイドルへ愛を注ぐファンによって咲き誇った華のステージ!『華Doll* -Air Quotes- Anthos* Stage Event 2024』[夜公演]レポート
■2024.08.04『華Doll* -Air Quotes- Anthos* Stage Event 2024』[夜公演]@文京シビックホール 大ホール
人体に特殊な花の種を埋め込み、その成長に合わせて潜在能力を最大限まで引き出す医療技術を用いて、高い才能を持ったアイドルを人工的に生み出す「華人形(ハナドール)プロジェクト」。自らの人生と引き換えに「華」を得るべく、厳しいオーデイションを経て、デビューを手にした6人の少年たちは、さらに一人の仲間を加え、7人組アイドル・Anthos*としてデビューした。そんな彼らを応援し、見守るキャラクターCDシリーズ『華Doll*』のリアルライブが開催。「Anthos*」のアイドルたちを演じるキャストが、彼らの“華ある”歌声を放った夜をレポートする。
■華を咲かせるAnthos*。彼ら史上4度目のステージが幕を開ける
7台のトルソーが置かれ、静寂の中にあるステージ。観客たちのざわめく声も、そこにあるすべての音も吸収してしまうのか、舞台の上だけがまるで目にも見えるかのようにシンと“静寂”に包まれているのを感じさせる。
静けさを切り裂いたのはダンスビートのSE。会場の照明が落ち、フロアは静謐な空間へと変貌する。『華Doll*―Air Quotes- Anthos* Stage Event 2024』とイベントタイトルがビジョンに映し出され、Anthos*のメンバー一人ひとりを紹介する映像が流れると、それぞれのアイドルの姿に歓声があがる。
色とりどりのペンライトが揺れ、アイドルたちの名前を呼ぶ声が響く中、最初に歌声を奏でたのは影河凌駕。演じる濱野大輝が低く艶ある声を響かせると、歌声が繋がっていき、7つの声が重なれば、ステージに立っていたトルソーはAnthos*へと変わっていた。
(C)2019HANA-Doll
華やかなアイドルの深く奥底に渦巻く熱を交差する7色の声で感じさせたのは3月にリリースされた『華Doll*3rd season THINK OF ME:ROOM』収録の「Liberation」だ。低く全身を震わせるような歌声が印象的な一曲に続いたのは「R.N.P.N」。美麗なユニゾンと各々の艶めく歌声によってドラマティックに放たれる一曲は2023年10月にリリースされた『華Doll* 3rd season THINK OF ME:OTHER』収録のナンバー。歌の途中、増田俊樹演じる清瀬陽汰の「バーン」には悲鳴があがる。結城眞紘のラップもこの曲の聴かせどころの一つ。演じる山下誠一郎がキレあるラップラインでフロアを席捲した。
■アイドルたちの想い宿るソロチューン
如月薫役の土岐隼一をメインMCに、全員が挨拶。“今年も7人が揃った”と喜ぶ彼ら。ステージイベントは実に4回目を数えるという彼らが、ここまでの歩みへの想いや今回のライブのタイトルの解釈などを語ると、Anthos*のファン(以下Antholic(アントリック))は大きな歓声と拍手で共感を伝えた。
看板番組の出張版としてスタジオの外へと出てきたAnthos*のチャレンジ企画の様子を届ける朗読劇を挟み、ステージは中盤へ。アイドルたちがそれぞれに自分自身に焦点を当ててきた今回のシーズン。ソロ曲では自分自身の言葉で歌詞を紡いできたところにも、アイドルとして、人としての彼らの成長を見せてきたシーズンでもあった。そんな時の経過を感じさせたステージの中盤は2023年8月からリリースされてきた『Anthos* 2nd solo series -Air Quotes-』に収録されたソロ曲が並ぶ。
土岐隼一 (C)2019HANA-Doll
まず登場したのは土岐隼一。薫の「Girl,it’s you」からステージは再開。ダンサーを伴い、歌う土岐隼一。バラを手にし、切々と想いを歌い上げる。伸びやかな歌声に青いペンライトの光が揺れる。
増田俊樹 (C)2019HANA-Doll
続く曲のイントロが響くとフロアから「陽汰―!」と歓声が響く。駆けこんできた増田俊樹は土岐隼一と笑顔でタッチを交わすと、快活で可愛らしさも滲むダンスナンバー「Favorite Playlist」でAntholicのテンションをあげていく。会場一体となって一緒に歌いながらオレンジの光に包まれた会場を明るく盛り上げた。
伊東健人 (C)2019HANA-Doll
暗転のあとにフロアの空気を変えたのは灯堂理人。都会的なトラックに情緒たっぷりに歌い上げる伊東健人が理人の「一方恋」をダンスと共に魅せた。
駒田航 (C)2019HANA-Doll
続いたのはチセ。演じる駒田航が英詞の「Diamond」を歌い上げる。ビッグビートのダンスナンバーなから、チセの軽やかさと繊細さとを内包したボーカルが印象的な一曲だ。
堀江瞬 (C)2019HANA-Doll
軽快なビートの後には静けさのなかで歌い上げられる八代刹那の歌う「Something in the air」。刹那役の堀江瞬がエモーショナルに歌い上げる。キャラクターの想いがそのままに詰まったようなソロ曲から、彼らの心情がまっすぐに届き心を揺さぶる。それもまた「華Doll*」のアイドル、Anthos*の魅力だろう。
濱野大輝 (C)2019HANA-Doll
続いたのは華やかなビッグバンド的なゴージャス感あるサウンド。凌駕役の濱野大輝が歌う「My CAMERA」だ。ジャジーなサウンド感を軽やかに歌い上げつつ、ラップでも彩って聴かせると、フロアでは緑の光が揺れた。
山下誠一郎 (C)2019HANA-Doll
ソロの場面、最後に登場したのは山下誠一郎。眞紘の「RED Toxic」。アグレッシブなビートが妖艶なトラックと共に赤い情熱を思わせる一曲を、パワフルに聴かせて、フロアの赤と共に会場を情熱的な深紅に染め上げた。伸びやかな薫のフェイクの冒頭からユニゾンが美しく響く「Mirage in Mirage」で改めて7人の歌声で“華”を咲かせるAnthos*。チェアに座って一つひとつの言葉をAntholicへと手渡すように歌い上げると、フロアの色とりどりの光はそよぐように揺れた。彼らが咲かせる歌という華の美しさを強く感じさせるシーンだった。
■Antholicと共に種を蒔き、華を咲き乱れさせていきたい
アニメ制作決定などの最新情報の告知とダンサーの紹介に続き、一人ずつが挨拶をする。
「華を開くためにはみなさんの水が必要になってくるので、どんどん呼応するようにコンテンツを拡げていけるようによろしくお願いします」と駒田航。伊東健人は「アイドルはすごいですね。マジで毎年、どんどんリスペクトみたいなものが積みあげられていくんです。今後もAnthos*、灯堂理人を極めていこうと思います」と語る。
堀江瞬が「今日見に来てくださったみなさんと、配信で見てくださっている世界20か国以上のみなさまに、主に朗読劇で僕がいかに優れた声優かをお届けできたと思います」と話すと、会場から笑い声が湧き、楽しかった先刻の朗読劇が思い出され、山下誠一郎も「4年、5年と歩みを続けていくといろんな思い出があったり、周りでもコンテンツを知ってもらえることが増えて嬉しいです」と笑顔を見せ、Antholicに種を蒔く係をお願いします、というと会場から歓声が湧いた。
(C)2019HANA-Doll
「世界のたくさんの国々で応援してくださっているみなさん、今日も会場に足を運んでくれたみなさんがいてくれて嬉しいです。これからも一緒に頑張っていきましょう」と濱野大輝に続けて増田俊樹は「僕らが『華Doll*』としてみなさんにお届けできるものがたくさんある今年、来年のはじまりを思わせてくれる、希望にあふれたライブステージになったと思います」と熱を届けた。
最後は土岐隼一が「乗り越えなければいけなかった2020年を乗り越えて、今、このステージが作れているのは、何度も言いますが、応援してくださっているAntholicのみなさまのおかげです」と感謝を届けた。
そしてラストチューンは山下誠一郎の曲紹介から「Clap! Clap! Clap!」。軽妙なサウンドのなか、声を重ね、笑顔いっぱいに歌い上げるナンバーを会場のAntholicも声をあげて歌う。大きな歌声の塊をさらに大きくするように煽る駒田航。伊東健人と堀江瞬もステージを右へ左へ、と歩み、Antholicへと手を振り、笑顔を見せた。ラストの盛り上がりはまさに未来への希望に満ち溢れた時間に。大きな歓声と共に幕を閉じたライブ。またいつか、彼らの華あるステージを見られる日まで、Antholicは種を蒔き、彼らへと水を注いでいく。
(C)2019HANA-Doll
取材・文:えびさわなち