戸松遥インタビュー/「みさえの目線で見ています(笑)」自分の成長を感じさせてくれる『クレヨンしんちゃん』の魅力
幼い頃、お腹を抱えながら笑って見ていた『映画クレヨンしんちゃん』。ギャグシーンの面白さは大人になってから見ても全く色褪せないが、一方で、成長した今だからこそ感じられる、奥の深いストーリー描写も魅力のひとつ。

毎回話題になる『映画クレヨンしんちゃん』だが、8月9日公開の最新作『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』はぜひとも「父・ひろし」にも注目して見てほしい。舞台となる恐竜テーマパーク「ディノズアイランド」のガイド・アンジェラ役の戸松遥が、本作の魅力やアフレコ秘話をたっぷり語る。後編では、戸松自身の夏休みの思い出や声優業についても聞いた。

撮影/すずき大すけ 取材・文/青山香織
ヘアメイク/加藤ゆい(fringe) スタイリング/國本幸江


しんのすけにデレデレされる役を演じる喜び


―― 出演が発表されたときに、『クレヨンしんちゃん』の映画に出られる喜びをブログに綴っていらっしゃいました。アンジェラは本作における「きれいなおねいさん」キャラクターですが、しんのすけにデレデレされる一連のやりとりを収録したときの感想は?

子どものときから、しんちゃんが「きれいなおねいさん」にデレデレしているのを見ていたので、「まさか自分がその役をできるなんて! やったー! しんちゃんにデレデレされる!」と、すごく夢のように嬉しかったです。

でも、アフレコではむしろ「もうちょっと引いた感じで」と。もっと「えっ……」って戸惑うというか、アンジェラの「なんだこの子…!?」っていう感じを出してほしいというディレクションがあった思い出があります。

―― アンジェラって最初は元気なお姉さんというイメージですが、お話が進むにつれてバックボーンが明らかになっていきますよね。どういうところが演じがいがありましたか?



お話の前半、中盤、後半で見せる表情が違うんですよね。ディノズアイランドの組織のひとりでもあり、ビリー(声/北村匠海)との関係もあり…、っていうところで終わるかなと思ってたら、最後の最後でまさかの展開になって(笑)。その「もう一個あった!」というか、最後の最後まで油断する暇がなく見られるキャラクターなのがとっても面白いなって思います。

中盤ぐらいまでは、父親の支えになりたいっていう思いと、でも父親がやってることが果たして正しいことなのかっていう葛藤がせめぎ合って。だからたまに落ち込んじゃって、しんちゃんに悩みを打ち明けたりもして。

そういう「重み」みたいな部分も出しつつ、コメディシーンがあるときはその流れに全力で乗っかっていけるようにしました。どういうポジションに立っても、アンジェラが持っている根っこの部分、芯の強さや優しさは必ずブレないようにしようと思っていましたね。

―― 中盤のシリアスなシーンがあってこそ、終盤のお祭り感が引き立つというか(笑)。

そうなんですよね(笑)。あんまりふざける役じゃないのかな?って思ってたんですけど…。

アンジェラはふざけてるわけじゃないんですけど、周りが「えっ…」って呆気にとられる感じで、とても楽しかったです(笑)。終盤のほうは本当に「もう振り切ったぞ!」みたいな部分ですね。アンジェラの気持ち的にも、「私は私のやりたいようにやる!」っていう潔さがありました。



アフレコではずっと水樹奈々さんと一緒だった


―― 他のキャストさんたちと一緒にアフレコされたそうですね。とくに熱が入ったシーンはありましたか?

渋谷が舞台になる終盤のシーンは、アクションという意味でも緊迫感という意味でも、みんなの熱量が高いところでしたね。実際に役者が動くわけじゃないんですけど、(キャラクターと)一緒に走ったり戦ったりしているような気持ちになって、すごく呼吸が浅かったというか。汗だくになるぐらいの感覚で演じていました。

―― 共演者の方とのやりとりで印象に残ったエピソードは?

今回、スタジオに3つぐらい部屋があって、そこにグループごとに入って、他の部屋の方々の声をイヤホンで聴きながら同時に収録する形式だったんです。1つの部屋に全員が集まるんじゃなかったぶん、だからこそ、逆に同じ部屋になった人たちとの団結力がすごく芽生えて。私はナナ役の水樹奈々さんとずっと一緒だったので、待ち時間もよくお話させていただきました。

たまたまなんですけど、私たちが地下のスタジオでアフレコしているときに、その地下のトイレが壊れていて(笑)。「トイレに行きたい方はエレベーターで上まで行ってください」って感じだったので、トイレのタイミングがすごい難しくて。「いつ行きます? 行くとき便乗していいですか?」みたいなことも話していました(笑)。



ひろしのセリフに涙…親の目線で作品を見るように


―― 本作はひろしの「父親」としての一面がすごく出ていたなと感じました。戸松さんから見て、ひろしのシーンで印象に残ったところはありますか?

私、本当に大好きなセリフがあって。ビリーがナナを連れて自分の家に逃げたシーンで、父親から「使えない子どもたちめ!」って罵られたときにひろしとみさえがすごく怒るんです。ひろしが、「子どものこと信頼しないでどうするんだ!」「子どもは親が知らないところで勝手に成長して、いろんなことを経験していくものなんだ!」って。そのセリフがすごい心に刺さっちゃって、本編を見ながらばーーーーー!って(涙が出る仕草)。

今までしんちゃん側として見ることが多かったので、変な話、みさえにも怖いイメージがあったんですけど(笑)、こうして映画で改めて野原家を見ると、「なんていい家族なんだ!」ってすごく思いました。

他にも、ナナが一瞬恐竜の本能をむき出しにしてしんちゃんがケガをしてしまうシーン。あのときも(ケガに気付いたひろしが)すぐ「しんのすけ!」って駆け寄ったけど、しんちゃんは(ナナをかばって)「転んだ」って嘘をつく。その嘘に対する反応にも、父ちゃんの愛や優しさをすごく感じました。

―― 父親目線だと、「ケガをさせるなんて危ないから、ナナとしんのすけを離したい」となってもおかしくない場面ですが、ナナをかばったしんのすけの想いを尊重するんですよね。

すごく子供を信頼しているのが伝わりますよね。本当はたぶん転んでないけど、しんのすけを信用しようってひろしが決めた瞬間みたいな。「いいなあ! ひろしって優しいなあ…!」って本当に思いました。



―― 子どもの頃と大人になってからで、キャラクターの見え方がガラッと変わるのも『クレヨンしんちゃん』という作品のいいところですよね。

今は完全にみさえの目線から見ていることが多くて(笑)。自分も大人になったんだなあって思いますが、実際は年齢的にはみさえも超え…みたいな感じで。みさえってまだ20代なんですよね。若いんですよ!

―― すごくしっかりしてますよね。

『クレヨンしんちゃん』って子どもたちの冒険のお話のように見えるんですけど、実は大人の成長物語も入ってたり、一歩引いて子どもを見守る大人の構図が描かれていたりして。敵が襲ってきたときにも、みさえとひろしはまず子どもを守るんですよね。

本作でローンが32年残っている家が壊れたときも(笑)、絶対に、何よりも先にしんのすけとひまわりとシロを守る。親の愛を強く感じる描写がとても多くて、そういうところにも目がいってしまうので、自分も見方が変わってきたんだとすごく感じます。

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『戸松遥インタビュー/「今は中間管理職みたいなポジション」デビューから15年以上、自身に訪れた変化』
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戸松遥(とまつ・はるか)
1990年2月4日生まれ。愛知県出身。2007年、アニメ声優デビュー。主な出演作に、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(安城鳴子 役)、『ソードアート・オンライン』(アスナ/結城明日奈 役)、『ハピネスチャージプリキュア!』(氷川いおな/キュアフォーチュン役)、『妖怪ウォッチ』(天野景太 役)など。

・公式サイト:https://www.tomatsuharuka.com/
・ブログ:https://ameblo.jp/tomatsuharuka-blog/


作品情報


『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』
2024年8月9日(金)恐竜フィーバー!!!
https://www.shinchan-movie.com/2024/

©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2024

プレゼント情報


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