[7.25 国際親善試合 G大阪 0-1 ソシエダ パナスタ]

 日本滞在60時間足らずという厳しい強行日程の中でも、ソシエダ日本ツアーの主役を担ったMF久保建英はキレのあるプレーで観客を沸かせた。新シーズン初陣とあってプレータイムは52分間にとどまったが、機を見たドリブル突破と献身的なプレスバックの鋭さはチームメートの中でも異質な仕上がり。久保によると、オフの終盤からこの試合に向けてコンディションを整えてきていたという。

 シーズンオフを日本で過ごしていた久保は今月13日、金沢市で行われたなでしこジャパンの国際親善試合を観戦してからスペインに渡航。現地時間15日から練習に合流し、短い調整を行った後、再び23日に来日するという過酷な長距離移動を乗り越えてきた。それでも久保はこの日、当初の予定以上のプレータイムをイマノル・アルグアシル監督に志願していたようだ。

「(新シーズンに入って)4、5回しか練習をしていなかったので、車で言うと試乗みたいな感じ。でもコンディションは思ったより良かったので、後半もう5分くらいプレーさせてと監督に言った。コンディション自体はいい滑り出しかなと思うし、日本でもしっかりと練習していたので悪くないと思います」

 チームメートの中には動きの重い選手も目立った中、久保はモチベーションの高い育成組織出身の若手選手と同様の鋭い動きを披露。前半にはスピード自慢のG大阪FW山下諒也に追いつくほどのスプリントも見せていた。

 大阪のファン・サポーターにプロフェッショナルな姿勢を見せた久保は、試合終了後もスタンドに近づいて場内に挨拶。「1試合目に怪我なく終われたのはいいスタートかなと思う。ここからスペインに帰って、チームとしても個人としてもいい準備ができれば」と冷静に振り返った。

 もっとも、チームの顔として来日した立場。こうした強行日程への改善を求める姿勢も忘れなかった。

 久保は「正直キツかったですね。僕個人的には(来日の)5日前まで日本にいて、やっとスペインに慣れてきた頃に帰ってきて、着いたのは一昨日の夜だったので」と振り返りつつ、「練習する機会もなく日程が強行だったというか、そこがタイトで、僕らも本来はもっといいプレーができたと思うし、次はちゃんとしたいい日程で来られたらと思いました」と提言した。

(取材・文 竹内達也)