認可外保育施設の乳児死亡事件 発生から10年 宇都宮市が新たな検証委員会設置へ
栃木県宇都宮市の認可外保育施設「といず」で生後9カ月の山口愛美利ちゃんが死亡した事件から7月26日で10年が経ちます。宇都宮市の佐藤栄一市長は25日の定例会見で、遺族から要望されていた外部の有識者のみで作る新たな「検証委員会」を設置する考えを明らかにしました。
愛美利ちゃんは、2014年の7月「といず」で宿泊保育中に熱中症で死亡しました。事件を巡ってはこの10年の間に施設長だった女の責任が問われた刑事裁判の有罪判決が確定し、遺族が損害賠償を求めた民事裁判でも、宇都宮市が抜き打ちで施設の立ち入り調査を行う注意義務を怠ったとする判決が2023年、確定しました。
会見で佐藤市長は、遺族から求められていた通り、宇都宮市子ども部は事務局を担当せず、外部の有識者のみで作る新たな「検証委員会」を設置する考えを示しました。
委員には医師のほか、教育と保育の学識経験者、安全管理分野の専門家、弁護士などを想定しています。事実関係の把握をはじめ愛美利ちゃんや遺族の立場に立った検証を行い、再発防止策を協議していくのが目的で、遺族の了承が得られればすぐにでも設置する方針です。
この問題を巡っては、子ども部の事業に関する昨年度の包括外部監査報告書でも「改善策を講じているが総括的な議論はされていない」などと指摘されていました。佐藤市長は検討委員会の設置と合わせこれまで実現していない遺族への謝罪も早い時期に行いたい考えを示しています。